第25話わりとたのしぃ(わら)。

キロとみた5分アニメは、ギャグアニメで、内容は、多分、2日経てば8割方忘れてしまうようなものだったけど、不思議と面白かったという印象は、強く残った。 それは、作品が良かったからなのか、意外とよく笑うキロと一緒にみたからなのかは、定かではないけれど、どっちもだったら良いなぁと思う。

「このアニメさ、オンエアの時、みてた?」

キロがそう聞いてきたので、俺は正直に「みてなかった」と答えた。

「でも、公式がやってた、一挙配信みたいなのでまとめてみたなぁ……。 あれはたしか、2年くらい前だっけか」

言ってから、2年前のことを思い出す。 無意識に、その頃の情景を脳内に描き出す。 その頃俺は高校生で、キロとも、サキちゃんとも、もちろん出会ってなくて……。 不意にではあったが、そう思うと、なんとなく感慨深いような気がした。 そのこともあいまって、福原との付き合いの長さも感じられて、俺は、本当に周囲に恵まれたなぁなんて、ガラにもないことを考えてしまう。

「作品自体は、3年前くらいのだけどね。 3年かぁ……。 長いようで、短いよね」

キロは、そんな俺の感情を知ってか知らずか、画面から目を離さずにそう言った。

多分、作品のテンション的には、この楽しみ方は間違ってるのだろうけど、ギャグのシーンで沁々、色々なことに思いや、想いを馳せるのも悪くないなぁ。

「良いなぁ」

「ね。 名作だよね」

「あぁ」

そんな、一流のオペラを観賞した後みたいなテンションでギャグアニメ、それも1話5分くらいのカオスなやつを観賞してから飲む麦茶は、めちゃくちゃ美味しかった。

思ってたよりも、早く全話みおわった(オープニングとエンディングスキップするやつ選んだら再生時間が3分の2くらいになった)ので、どちらともなく話し始めたアニメの話題は、なぜかアニメのBGMの話しになり、イントロドンならぬBGMドンが始まっていた。

え、なんで!? そう思ったけど、まぁ、やってて楽しいから追及しないことにした。 お互いに、交代でスマホに入れてるのとか、動画サイトの音源とかからBGM流しあって、アニメのタイトルが当たるか相手がギブアップするかで次に行く。 まぁ、なんとなく始まったゲームなので、ルール等もふわふわしてて、勝ち負けとかもなく、純粋に楽しい。

「んじゃつぎ、これで」

キロのターンに移ったので、キロは端末を、操作して曲を流す。

「あ! これ、知ってる!! なんだっけ」

ずっと、この感じ。 オープニングやエンディングでも時々、聞いたことあるけどタイトルが出てこない時があるのに、BGMなら殊更その状態が多かった。

「もやもやヤバイよな」

「それ。 まじで思う」

いろんなアニメ思い出せるのもたのしぃなぁ。 これ、マジでおすすめ。 オープニング、エンディングでタイトル出すの、みんなで後でやりたいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る