第24話まちじかん。

『はい、もしもし』

「もしもし、おひさー」

『おう、今日はどーした?』

声のかすれ具合とか、口調とか、なんとなく以前と変わりが無くて安心する。 こいつは、多分、体調がずっと良くなさそうなことが、体調が良い証明になっている人種だと思う。 ……。 自分でもなに言ってるのかよく分からなかった。 ともかく、福原は、福原に関しては体調が悪そうだから、本当に調子が悪い、なんてことは当てはまらないのだ。

「みんなでゲームでもしながらピザ食おうかなって。 今キロん家いて、これから大学の友達もひとり増えるかもなんだけど、お前初対面とか苦手だっけ?」

『いや、大丈夫だぞ。 いくわ。 なんかいるものある?』

「じゃ、飲み物だけなんか頼むわ。 お金あとで払うし。 酒買いたいなら買っても良いよ」

『了解ぃ。 じゃあまた後で連絡するかも。 今から向かうから、多分30分くらいで着けると思う』

「おう。 さんきゅ。 じゃまた」

『また』

そんな感じで通話を終えてキロの方はどうなったかと見てみると、キロも通話は終わったらしくスマホをテーブルに置いて、さっきいれた麦茶を飲んでいた。

「サキちゃん来るって?」

「おう。講義終わったら来るって」

どうやらキロは電話ではなく、メッセージで連絡をとったらしい。 ってかサキちゃん、講義は真面目に受けましょう。 まぁ、俺が言えた立場じゃねーか、(笑)。

じゃあ、二人とも来るのはだいたい30分後ってことになるのか。

「おい、キロ」

「なに?」

残り少なくなった麦茶のコップを片手にキロが応じる。

「二人とも、あと30分くらいしなきゃ来ないと思うけど、何して時間つぶす?」

「んー、ゲームは何となくなしだねー」

「だなー」

なんとなく、さっきのでゲームの気分ではなくなってしまっていたので、ゲームは無しの方向で決まる。

「ボードゲームも……、あ、この家には無いか」

「ないねー」

ってことで、ボードゲームもなし。 あと何があるかなー、って少し考えて俺もキロもともに沈黙。

「30分ならアニメでもみる?」

「アニメ。 あり」

今度の提案は、あっさり通った。 ってことで、二人が来るまでアニメ観賞会ー。

キロは、「それじゃ」と腰を上げて棚をガサゴソする。なんだかんだ、ものが多いので手間取っているようにも見えたが、比較的短時間で目当ての品を見つけ出す。

「これにするか」

キロが取り出したのは、5分アニメのDVDだった。 これならディスク1枚で全話見れるし、だいたい30分で見終わる。そう思ったので、俺もキロに賛成。 この場には俺達ふたりしかいないなので、全会一致で可決。

そういうわけで、ふたりで5分アニメを見ることになった。 よくよく考えると、まあまあカオスだよなぁ……。

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