第17話おはよ。

「おはよ」

「ん、おはよ」

 現在、講義開始の3分前。 キロからの到着の到着のメッセージは、あれからすぐにきて、食堂にいると返信をするとすぐにキロは現れた。

「まぁ、もうすぐ前の講義が終わるから、ここも混んでくると思うけど」

「じゃ、講義室向かう?」

「んー、それにはまだちょっと早いかな」

 そろそろ向かうべきだけど、まだ少し早い、そんな微妙な時間。 何かをするほどの時間は無いけれど、何もしないでいると持て余す時間。

「ジュース、買ってくる」

「あ、俺行くよ」

 まだ座ったばかりの椅子から腰をあげようとしたキロを制して、俺が腰を上げる。

「俺もなんか買おうと思ってたし。 何が良い?」

「コーラ。 お金後でいい?」

「ん、了解。 いつでもいいよ」

 自動販売機の方へ行ってコーラと烏龍茶を購入。 烏龍茶は結構冷えていたけど、コーラはいまいち冷えていなかった。 そういや、わりと自販機のコーラがいまいち冷えてない確率、高い気がする。

 ぴったりあったので、お釣りは出ていないはずだが、無意識にお釣りの出てくるところに手を入れて、キロのいる席へと戻る。

「ほい。 なんかいまいち冷えてないけど」

「あー、まぁいいや。 ありがと」

 すっげー力の抜けたお礼を受け止めて時計を見ると、あと30秒でチャイムがなる時間になっていた。

「あ、そろそろ鳴るぞ」

「ん? あぁ、じゃぁ、もういく?」

「そうだな」

 そういったのと同時くらいにチャイムが鳴った。 ここの大学のチャイムはなんだか調子の悪そうな、少しかすれた音がする。 ノイズが混じっているような。 入学時からずっとそうなのだが、いまだに直す気配すらない。

「よし」

 キロが腰を上げ、カバンを手に取る。 

「いきますか」

「そうだな」

 手に持ったコーラを一口飲んで、食堂の出口に向かって歩き出す。 俺は、それに金魚の糞のようについてゆく。 たしか、途中まで同じ道だったと思うのだが、どのあたりまで同じなのかはもう、忘れてしまっていた。

「キロの講義の棟、どこ?」

「D」

「あぁ、じゃ、あの通路まで一緒だ」

「Bだもんね」

 意外と、キロが俺の講義の棟を覚えていたことに少し驚く。

 講義の棟はA棟とC棟が通路で繋がっていて、B棟とD棟も同じような作りで通路で繋がっている。 その四つの棟が四角形に並んでいて、中心にここ、食堂や準備室等がある棟がある。 たしか、大学が決めている公式の名前もあったはずだが、覚えていない。 学生たちの間ではE棟と呼んでいる。 『E棟』と『eat』をかけたのかどうかは定かではない。 食堂だけに。

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