第13話……。

「……」

「……」

「……」

「……!?」(スッ……)

「……」(チラッ……、コクリ)

「……」

っとまぁ、会話なくステージが制覇されようとしていた。会話だけみると(会話なんてほとんど、存在しないのだが)盛り上がりに欠けるように思われるかもしれないが、その実、二人はこれまでに見たことがないくらい盛り上がっていた。

協力プレーでステージの攻略を目指すゲームなのだから、別に無言でやる必要性なんてないと思うが……。

「っ! クリアー!」

突然サキちゃんが叫んだので、俺は少しビックリ。

「よし! つぎ!」

!? この後は、俺と交代のハズデハ……?

「おっけーです! どんどん進めましょう!!」

サキちゃんノリノリ。マジかよ。

で、数分後。

「……」

「……」

「!? ……??」(チラッ)

「……!」(スッ……)

「……」(コクリ)

まーた無の時間。すげーよ。そこまで意志疎通出来るなんて、ちょっと嫉妬しそーなレベル。いや、どっちにとかじゃなくて。あくまで喩えね喩え。

で、この無の時間に放り出された俺は、テーブルの所に胡座をかいて、冷蔵庫にあった麦茶と台所にあったガラスコップを拝借して、まぁある意味では一杯やりながら天井を見つめてる。

あー。悟り開けそー。このまま瞑想すれば、心理的な何かが見えんじゃね?

キロとサキちゃんのゲームによるカタカタ音をBGMに、俺は実際に瞑想してみることにした。っと言っても、正しい瞑想のやり方なんて習ったことないし、調べたこともないので、知識は皆無だから、ノリで精神を鎮めて落ち着き、無の境地に達することを試みた。

「……」

「……」

「!?……?」(チラッ、チラッ)

「……!! ……」(グッ! スッ……)

「!!……!」(コクリ)

「……」

「……」

「……」

「……」

「!?……」(ガタッ)

「……」(スッ……)

「……」(コクリ)

「……」

……。無の境地の時間、しゅーりょー。これ、結構謎だよな。語り部である俺が無の境地に入ると、この時間は、マジで無言だぜ。つれーよ。しんでーよ。

麦茶を一口飲む。もう、少しぬるくなってしまっている。氷入れときゃ良かったなぁーとか思いながら、また何も考えない時間に、今度は無意識に入って行く。あぁ、これが終わったら、一回、マジで修行でもするかーとか思いながら、しかし「これ」が終わったのは、この時から約三時間後のことなのだった。まぁ、キロとサキちゃんが仲良くなってくれたっぽいのは嬉しいけど、三時間かまってもらえなかったのは、正直、少し辛かった。えーん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る