第12話てんさいじ。

3人でゲームでもすんべ。って話になったのは、なんでだろ。わかんない。けど、キロがサキちゃんに悪い印象を持ってなさそうだったので、それはそれでありかーみたいな。

「なんか知ってるタイトルある?」

キロが、アイス食べながら本棚指差して聞く。俺じゃなくて、もちろんサキちゃんに向けて。

「んー、ごめん、私あまりゲームとかやらないから分かんないや」

サキちゃんは申し訳なさげにいった。

「じゃあさ、何か協力プレー出来るゲームにしない? その方が皆で楽しめるし」

「あぁ、じゃあ」

俺の提案に、キロは珍しく自分で腰をあげ本棚びっしりに詰まっているゲームソフトの中から一本選んでテーブルに置いた。

「あ、良いじゃん。 操作も分かりやすいし」

うん、良いのを選んだようだ。このソフトなら一つのディスプレイで二人同時プレーまで可能だ。

「じゃ、俺は1回目見てるよ。 2ステージ行ったらキロと交代ね」

「あい、おっけぃ」

なんだか、アイスを食べてからキロがおとなしい気がする。いつもはこんな調子じゃないので、逆にこわいなぁ……。

キロは、今までやっていたゲームを終了し、ディスクをもとのケースに戻して、例のゲームソフトを挿入した。流れるような動作。あ、もちろんキロはセーブするのを忘れなかった。さすが。

「ん、じゃ、はじめるか」

サクサクと準備を進めて、もうクエスト行けるし。協力体制も整ってるし。

「ってか、いつの間にコントローラー用意した!?」

いつの間にか、サキちゃんの目の前に2Pの方のコントローラーが準備されていた。え、仕事はやすぎね?

「じゃー、はじめるべ。 なんとなくノリで進めてくから、分からんことあったら、言ってくれたらわかる範囲で教えるよ」

言うが早いか、もうスタートボタンを押していた。

「え、もうはじまってる?」

サキちゃんは、きょとんとした表情だったが、ゲームが開始していることを確認すると、一気に集中力を増した。

サキちゃん、意外とゲーム向いてるんじゃね?

「こいつ、倒したい! どーやって攻撃?」

キロに質問。サキちゃんの集中力、どんどんあがってく。まーじか。すげーよ。

「私の手元みて。 ……。 こんな感じ」

「いや、わからなくね?」

俺はそう言って、サキちゃんに攻撃の仕方を教えようと向き直ると、……。サキちゃんは、もう攻撃をマスターしていた。ってか、指の動きもめっちゃ早いし。キャラも、めちゃくちゃ早かった。まぁ、そのサキちゃんのキャラよりも、当然のようにキロのキャラは早く動いてるんだけど。

ゲーム機が処理落ちするんじゃねーかってくらいの速度で動く二人のキャラを見ていると、なんだか爽快でさえあった。

「この映像でCMできそーじゃね?」

思わず、そんな言葉が、口からこぼれていた。

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