第12話

 とおるの寝顔を見ていると、やっぱり年をとったな、という実感がある。互いに三十を過ぎたのだから、学生時代に比べるまでもないのだが、起きて話をしている時にはそうも思わなかった、肌の色艶は勿論のこと、顎の輪郭だとか、瞼だとか、そういった場所に時間が積もっているのを感じる。まあ、それは自分も同じことなんだけれど、と思いながら陽介ようすけは客用の薄いマットレスで眠る友人の躰にアクリルの毛布をかけた。

 テレビの傍に置かれた時計は三時半を指そうとしている。陽介は部屋の明かりを落とし、ローテーブルに残っていたグラスをキッチンの流しに運んだ。少し緩くなってきた蛇口から思い出したように落ちる雫が、重ねたままの食器の上でわずかな水音をたてている。紗代子さよこがこの光景を見たら、ゴキブリが出る、と血相を変えるに違いない。彼女は夜中であっても、どんなに眠くても疲れていても、汚れた食器を放置して寝てしまうような人間ではないのだ。

 しかしまあ、紗代子は留守だし、自分は一匹や二匹ゴキブリが出たところで別に驚きもしない。亨も多分そうだろう、と勝手に想像して、陽介はリビングに戻った。寝息をたてている友人の傍を抜けて暗い廊下に出ると、しんと冷えた空気が心地よい。煙草は吸わないとはいえ、男二人が飲み食いしていた場所の空気は相応に澱んでいて、それはある意味で学生時代を思い出させる、懐かしい気配でもあった。

 洗面所で歯を磨き、シャワーは明朝という事にして、陽介は寝室に入るとスウェットのままでベッドに横になった。少し前までは眠気が強かったのに、酔いが醒めてきたのか、奇妙に目が冴えている。裏にあるコインパーキングの照明のおかげで、この部屋は明かりを消しても物の輪郭ぐらいは十分に判る。その薄暗がりの底に沈んで天井を見上げていると、先ほどまでの亨との会話がよみがえってくる。


「まあそんな感じで、全てが犬中心で、俺はそれ以下の扱いというわけ」

 待ち合わせ場所にしたコンビニで買った缶ビールを飲みながら、陽介はその夜の顛末を語った。 義母に持たされたすき焼きを温め直し、一緒にもらった蟹缶は冷蔵庫に残っていた大根ときゅうりを刻んで和風ドレッシングで和えた。その二品が主な肴だったが、霜降り肉が気前よく詰め込まれたすき焼きは十分に食べごたえがある。

「でも、肉の脂の乗り具合を考えると、陽介はかなり大事にされてるんじゃないかな」

 冗談とも本気ともとれないいつもの口調で、亨は彼の見解に反論する。

「それは単に、餌で釣ってるだけだよ」

「なるほど。男なんて胃袋さえ押さえとけば大丈夫って事か。手の内を読まれてるな」

「そう。だから俺は、引き取られた二匹目の犬みたいなものなんだ。大人しく言う事を聞きそうだって」

「まあいいじゃないか、それで全て丸く収まってるなら。陽介だって別に、現状を変えたいと本気で考えてるわけじゃないんだろ?」

「そりゃそうだけど。俺は逆に、現状を維持できないと判ってるから怖いんだ。あの犬がいつ死ぬか、そしたらどうなるか」

 そして陽介はビールの新しい缶を開けると、残り少なくなった亨のグラスを満たし、空いている自分のグラスにも注いだ。空腹にいきなり飲んだせいか、かなり酔いが回ってきた感じがする。亨も似たような状態らしくて、酔った時の癖で、左手で頬杖をついたまま、指先で軽く目尻を押さえている。その少し眠たげな瞼を見ながら、陽介はあらためて、彼はどうして今夜ここにいるんだろうと不思議に思った。

 偶然近くまで来てたから、というのが亨の話だった。「着信があったんで、行ってみようかと閃いたわけ」と説明したけれど、一体何の用でこの辺まで来ていたのかという話になると「まあ、仕事ってことかな」とはぐらかす。彼は陽介がそういった事をしつこく詮索できない性分だというのを判っていて、あえて口をつぐんでいるのだった。

 俺は見くびられてるんだな、と陽介は考える。学生時代、亨の恋愛事情だとか、何となくちらつく女の子の影について、それとなく尋ねてみたこともあったけれど、「そんな事ないって」の一言でいつも片付けられていた。陽介はそれを照れのようなものだと理解していたし、友達づきあいとはまた別な事だと思って深追いもしなかった。しかし今考えてみると、自分は単に子供扱いされていただけのような気がしてきて、釈然としない。俺だって、何も判ってないわけじゃない。そんな気持ちがふいに言葉になった。

「お前、紗代子の事、知ってたんだろ?自分が前につきあってた相手だって」

 それでも彼はじっと頬杖をついたままだった。ただ、その睫毛のかすかな動きで、視線がいったん陽介の方に向かいかけて、またテーブルの上へと戻ったのが見てとれた。それが肯定である事は、長年のつきあいでわかる。

「いつわかった?年賀状の写真見て?」

 亨はゆっくり首を振ると、「たぶん結婚するかもって、メールくれただろ?彼女の名前と出身校で気がついた」と答えた。

「じゃあどうして、何も言ってくれなかった?」

「言うって、何を?」

「紗代子が、その、自殺、しようとした事だとか」

「それは彼女と俺の間に起きたことで、陽介には関係ない」と言い切り、亨は頬杖をやめて背筋を伸ばすと、こちらを見た。

「関係なくはないだろ。結婚して一緒に生活しようって相手に、昔そんな事があったって判ったら、少しは考えるって」

「つまり、知ってたら結婚してなかったという意味か?」

「それは」と、陽介は言葉に詰まった。別にそこまで後悔してるというわけではないし、それを理由に全てを白紙に戻したいと考えているのでもない。

「とにかく、知ってたらもう少し違った心構えで結婚してたと思うし、彼女との接し方も違ってたはずだ。俺は何て言うかやっぱり、怖いんだ。自分の嫁さんが本当は全く知らない人間だったような感じがする。その彼女が、大事にしてる飼い犬が死んじゃったら、またどうにかなって、同じような事するんじゃないかって怖いんだよ」

「しないさ」

 低いが、断固とした口調で、亨はそう言った。

「なんでそんな事がお前に判るんだ。彼女とは少ししかつきあってないって聞いたけど、実はそうじゃないとか?」そう反論しながら、陽介は自分に呆れていた。そんな筈はないと思っていたけれど、俺はこいつに嫉妬してるんだろうか。しかし亨は彼のそんな挑発にのる気配もなく、グラスに残っていたビールを飲み干すと、「俺もそうだから」と答えた。

「どういう意味?」

「だからさ、俺も一度、死のうとした事があるんだ」

 それはまるで、自分も屋久島に行ったことがある、と話すような軽い口調で、うっかり「ああそうか」と頷いてしまいそうだった。陽介は酔いも手伝って、まとまりのつかなくなってきた思考の焦点を無理やり合わせた。

「それって、いつの話?大学行ってた時?」

「いや、わりと最近。仕事辞めて、離婚して、しばらくした頃。何か本当に全てから逃げたいっていうか、終わりにしたくて。あと少しで死ねるってとこまでは行ったんだけど、結局そこで引き返してきた」

 それはやはり何だか、屋久島に行こうかと計画したんだけれど、実行はしなかった、という風に聞こえた。しかし、陽介にはよく判る。亨にはそうやって、自分の体験をまるで他人事のように突き放して語るところがある。だからこの話も事実であることに間違いはないはずだ。

「でも、こないだ聞いた離婚の話って、そこまで深刻な状況じゃないっていうか、むしろ淡々と別れたように思えたんだけど」

「うん、あれは一つの要因に過ぎない。ただ、俺が何もかも終わりにしたくなったのは、ずっと長いこと、危なっかしく積んであったものが、ついに崩れて前を塞いだせいかもしれない。たとえば、紗代子さんの事は、十年以上前になるけど、あの時はそれこそ怖かったんだ。紗代子さんが傷ついたのは勿論だけれど、俺も十分に傷ついた。別に今更、被害者面するつもりはないんだけど」

「いや、それは判るよ」と、陽介は頷いた。自分のアパートに帰ってみたら、そう長く付き合ったわけでもなく、自然消滅したはずの彼女が、勝手に上り込んで自殺を図っていたなんて事態には遭遇したくもない。

「あれがあってからしばらくは、部屋に帰ったらまた同じような事になってるんじゃないかって、それが怖くて仕方なかった。何とか実家には知られずに済んだけど、内定の取り消し食らったのには参った。紗代子さんの家って、こっちじゃかなり名の知れた一族だろ?」

「まあ、本家の方は市会議員出してたり、ロータリーの会員だったり、県警OBもいたかなあ」

 言われてみれば確かに、紗代子の父方の親戚はあちこちの要職についている、所謂名士という人物が多いし、母方は教育者一族で、法事や何かの折に集まると、陽介のような余所者には知る由もない街の噂の数々で盛り上がる。当然、紗代子の事件が起きた時も、亨の素性についてすぐに調べがついたに違いない。考えてみれば紗代子の姉である有希子は勿論のこと、いとこたちも皆、名の知れた大学を出て堅実な職業につき、釣りあいのとれた配偶者を得ていた。その中でたった一人、陽介だけが明らかに見劣りしているのだ。

 彼の両親は結婚前の顔合わせの時から、紗代子の一族に対してすっかり気後れしていたし、親戚の行事に招待されても長居せず、いつも逃げるようにして帰って行く。盆や正月に紗代子の実家のスケジュールを優先しても何の文句も言わないし、たまに連絡があれば「ご両親に失礼のないように」と必ず言われる。これまでは紗代子と結婚したのも、単純に互いの相性がよかったからだと思っていたけれど、冷静に考えてみると、紗代子は一族の中では「わけあり」の存在で、だからこそ陽介のような年収の低い勤め人との結婚も受け入れられたのかもしれない。

「まあそんな事もあって、俺はこっちでの就職はあきらめて地元に戻ることにしたんだけどさ、ちょっと出遅れた感じで」

「だよな。俺も不思議だったんだ。どうしていきなりUターンに変えたのかって。そんなに地元に愛着ないって言ってただろ?」

「よく憶えてんな」と、亨は苦笑を浮かべた。

「地元は地元だけど、親父はまだ単身赴任してたし、母親と二人暮らしにまた戻るのって気づまりなもんだったよ」

「弟はどうした?」

「あいつは専門学校出て、よそで就職した。兄貴よく戻る気になったな、って呆れてたけど。まあとにかく、俺は地元で就職してさ。でもずっと、あの事をひきずったままだった。変な話だけど、女の人が怖いんだ」

「そりゃ当然じゃない?」こんどは自分が頬杖をついたまま、陽介は亨の話に頷いた。

「特に自分と同年代の、ていうか、あの事を思い出させる世代の女の人が駄目なんだよ。だからわざと、十ぐらい年上とかさ。で、そんな人とも大して真剣にかかわらないようにして」

 相変わらず淡々と語る亨の言葉を聞きながら、陽介はまるで初対面の相手と話しているような気持ちになっていた。自分の知らない彼の顔は、わかっていたような感じもするし、まるで馴染みがないようにも思える。

「まあそんな感じで仕事して、家には寝に帰るだけ、みたいな生活してたんだけど。ちょうど弟が結婚した頃かな。あいつが少しも帰省しないのもあって、母親から兄弟の順番が逆だとか、あれこれ愚痴られてうんざりしてたり、だったら俺も結婚した方がすっきりするかなって思ったんだな。その頃には例の怖いって気持ちもかなり薄らいでたし。いま考えると、単に一人暮らしすればよかったんだけど」

「それで結婚したんだ」

「相手は別に誰でもいいと思ってた。何かね、平凡なほどいいなって思ったんだ。そうすれば何事もなく暮らせるだろうから。でも失礼な話だろ?実際のところ、平凡な人って存在しないんじゃないかって、今ではそう思うのに。まあそれで、同級生が紹介してくれた人とそのまま結婚する事にした。それが別れた嫁さん」

「じゃあさ、そんなに好きじゃなくて結婚したってわけ?」

「そうなるね」と答えて、亨は少し汗をかいているビールの缶を新しく開けると、空になった自分のグラスに注ぎ、一気に半分ほど飲んだ。

「言い訳に聞こえるかもしれないけど、自分の親を見てると、別に結婚なんて大して好きな相手じゃなくてもできると思ってた。そう嫌いじゃなければ大丈夫、ってね。親父は俺が四年生の時からずっと単身赴任。それで家庭として成り立ってたんだから、夫婦なんてそんなもんだと納得してたんだ」

「でも実際はそうじゃなかった?」

「俺の頭の中にさ、結婚する相手の気持ちはどうなのかっていう考えがなかったんだ。すごく変なんだけど、わざと見落としてたとでも言いたいくらい、気にかけてなかった。大人しそうな人だから、特に自己主張もないんだろう、なんて思ってた程度。だからさ、後になって、会話が足りないだとか言われた時にはかなり驚いたんだ。

 でもね、俺が仕事を辞めた途端に彼女が実家に帰ってしまったところで、ようやく気がついたんだけど、こっちが平凡さを求めてたのと同じように、向こうも平凡が条件だったんだよね。平凡を人並みって言葉に置き換えた方が早いかもしれない。定職について、妻を養うだけの経済力を持った配偶者。その役割をこっちが一方的に放棄してしまったわけだ」

 そして亨は缶に残っていたビールを、陽介のグラスに注いだ。

「まあそんな感じで、前も言ったけど、俺はあっという間に仕事も家庭も失った。手放したという方が当たってるかな。そして持て余す程の時間ができた途端に、それまでの自分の選択がすべて間違っていたという考えに取りつかれた。実際そうなんだから仕方ない。仕事についてはまだ、上司やなんかを悪者だと考えることはできたけれど、それでもまたやり直すだけの気力が出てこない。おまけに離婚のダメージが予想以上に大きかった。別れた嫁さんに対してどうこう、というよりもむしろ、どうして自分は女の人とこういう風にトラブルになってしまうのか、致命的な欠陥でもあるんじゃないかという事なんだけど」

「それはちょっと、考え過ぎってもんだろ」

「今ならそう思うかもね。でもまあ、あの時はその考えが雨雲みたいにまとわりついていた。おまけに仕事をしてないもんだから、簡単に昼夜逆転してしまうし、家からは出ないし、あの頃の俺は多分、病人みたいな顔をしてたと思うよ」

「実際、病院行った方がよかったんじゃない?」

「正常な判断ができたらね。でも俺は代わりに、ネットの中の自殺サイトに行きついた。それしか頭の中の雨雲を追い払う手がないと思ったからだ」

 亨はそこで言葉を切ると、しばらく沈黙した。このまま話が終わるのだろうかと思いながら、陽介は床に敷いたラグの乱れた毛足を指先でならし続けた。亨はグラスに残っていたビールを飲み干し、再び頬杖をつくと口を開いた。

「しかしまあ結果として、俺は死ぬのを止めた。今はその時のことを、まるで他人事のように思い出している。そしてもう二度と、ああいう考えは起こさないという確信がある。紗代子さんもきっとそうだろう。あの事があってから、どれだけの時間がたったか考えてみろよ、その間に彼女だって大人になっただろうし、何より今はお前が一緒にいるんだから」

「確かに、彼女の姉さんもそう言うんだけど、俺は別に彼女にとって二匹目の飼い犬じゃない。彼女の好きな事だけさせて、彼女を支えるためにだけ結婚したんじゃない」

 口ではそう反論したものの、陽介はまだ先ほどの亨の言葉を整理しきれずにいた。自分の内側にあるネガティブなものだとか、異性関係だとか。昔だったら、友達である陽介に対してもほとんど明かすことのなかった奴なのに、弱み、といっていい部分を晒してしかも平然としている。この変わりようはどうだろう。酔っているから、と片付けるにはまだ十分に冷静に見えた。

「あのさ、嫌なら答える必要ないけど、教えてほしいんだ。そこまで行って、死ぬのを思いとどまれたのは、どうしてなのか。家族の事とか、考えたからかな」

 亨はほんの一瞬、やっぱりその質問か、とでもいいたげな表情を浮かべた。頬杖をついている薬指の先でそれを消し去ろうとするかのように目尻を何度かこすり、「そこに彼女がいたんだ」と低く答えた。

「彼女って、もしかして、みおさん?」

「そう。まあ要するに、彼女も死のうとしてたわけ。なんだか一人で死ぬのも踏ん切りのつかない人間が、集まって狭い場所で練炭でも燃やしましょうかって集まりに」

 陽介はただ黙って話の続きを待つしかなかった。

「本当に初対面の、その場限りの、年齢も性別もばらばらのメンバーが全部で五人。声をかけた人間は参加者の意志を試すみたいに、何度も時間と場所を変更したし、途中で抜ける奴だって勿論いて、結局最後まで残ったのがそれだけだったんだ。そこまで決意が固かったはずなのに、俺は澪とほんの一瞬目が合っただけで、気が変わってしまった。どうしても彼女と話がしたいと思ったんだ。君は絶対にここで死ぬべきではないと伝えなければって」

 話の深刻さとはうらはらに、亨の声は自嘲めいた笑いを含んでいた。

「つくづく自分の馬鹿さ加減に呆れるんだけどね。男って生き物の救いがたさか、それとも結局、死にたくないという本音がうまく口実を見つけただけなのか。とにかく、俺は薬を飲んで自殺に加わったふりをして、皆が眠ってしまったところで澪を連れて逃げた」

「あ、あとの人は?」

「死にやしないよ。火を消して、窓を全開にしておいたから。風邪ぐらいはひいたかもしれないけど」

 そして澪と彼の間に何が起きたのか、陽介が想像を膨らませるのを遮るように、亨は乾いた声で付け加えた。

「まあだからって、その後がドラマみたいな逃避行になったわけじゃない。彼女も俺も、自分が元いた場所に帰っただけだ」

「でも、彼女とはつきあいが続いてる」

「そう」と肯定して、亨は「ごめん、何だかすごく眠くなってきた」と両手で顔をこすった。時計に目をやると、もう三時を回っている。陽介は慌てて「布団出すよ」と声をかけ、立ち上がった


 こんな時間でも、神崎橋を渡る車の音がふいに浮かんでは消えてゆく。陽介は寝返りをうつと枕に頬を押し当てて、亨と澪の事を考えた。

やっぱりあの二人は特別な関係なのだ。

 死ぬつもりで薬を飲み、図らずも生還した澪の眼に亨はどのように映ったのだろう。二人はどんな言葉を交わしたのだろう。その事に思いを巡らせると、あの日、彼女がこのマンションで一夜を明かした時の事が甦ってくる。明け方迎えにきた亨の腕に、食い込むようにすがりついていた彼女の白い指。

 本来なら紗代子との今後を考えるべき時なのに、その白い指は陽介が無理やり閉じた瞼の裏側に爪をたて続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る