一章 始まり

第1話 悪夢の始まり

俺はただの正義の、善良な正義の味方になりたかっただけだ。

汚れた名声など欲しくも無かった…


世界が狂い始めたのはたった一年前だった。

その頃俺はまだ普通の会社員。

まだ社会人生活に不慣れな頃だ。


目覚ましのアラームが部屋に響く。

「あぁ…もう朝か…眠い。」

しかし金曜日と言うものはいいものだ。次の日が休みだと思うと心が軽い。

俺はいつも通り部屋から出て、朝食のパンをトースターに入れ、テレビをつけた。

『昨日未明、横須賀県横浜基地にて何者かが侵入した形跡があったとして警察が捜査しています……』

するとアナウンサーは画面外から原稿のような紙を受け取った。

『速報です。先ほど5:30頃、南ワシントン州、ブラジリア共和国にて、未確認生物による攻撃があったと発表しました。未確認生物は未だに捕獲できず、ブラジリア政府は軍を派遣する意思を表明しています』

だからなんだ。俺にはなんの関係も無い話だ。

そう思えるだけまだマシだった。その日の夜。

『先ほど24:00頃、ブラジリア政府は非常事態宣言を宣言しました。未確認生物の攻撃は強烈で軍が出動するも、撃破され、サン・パウロ地区が占拠され、他国に応援を要請する異常事態に発展しました』

かなり不味いのか?俺は土曜の朝から見たい番組を見ようとしてテレビをつけたら速報が流れていた。

さらに一夜。

『速報です。先日より攻撃されていたブラジリア共和国が陥落し、廃国になりました。周辺住民は周辺国に避難し、政府は亡命したようです。東京への到達は無いようです。』

…かなりまずく無いか?国が1日と少しで落とされる…

そんな危機感を持ちながら俺は近くのコンビニに買い物へ行った。

コンビニに入りコーラとパンを買い、近道の為、裏路地を通って帰る事にした。

暗い、ゴミがそこら辺に落ちている路地を俺はゆっくりと歩いて帰った。

少し近くに犬がいた。最近1人が寂しいから犬でも飼ってみようとでも思っている。

野良犬だったら飼ってみようかなー

そんな事を思った矢先だった。犬がこちらを振り向く。

そこに見えた顔は…片目が取れ、皮膚はただれ、体には短い触手のようなものが生えており、一部の皮膚は奇妙な色になっていた。

「…!?」

俺は恐怖のあまり、尻餅をついた。

その瞬間5m近くにあった間を一瞬で犬のような生き物は詰めてきた。

犬の口が牙を剥く

その瞬間世界がスローに見えた。

「あ…」

閃光が光った。

青白い一筋の光が化け物の体を真っ二つに分けた

化け物は奇怪な叫び声を残し体を2つに分けられ、倒れた。

「よいしょっと。」

そこにいたのは魔術師のようなローブを身に纏い、大剣を片手で持ち、透き通るような銀髪をした1人の少女だった。

「えっと…大丈夫…ですか?」

少女はやや戯けたような声でこちらへ声を向けた

「あ…はい。大丈夫です。これって…何ですか…」

俺は真っ二つにされ、まだ血が出ている化け物の方に指を指した。

「これですか?今話題の…民間に話していいんだっけ…まぁいいや。未確認生物である{感染体}です。」

未確認生物…ブラジリア共和国の…?

そんな疑問を抱いていると少女はこちらへ手を差し伸べた。

「立てますか?」

「あ、あぁ…ありがとう…」

俺は少女の差し伸べた手に掴まって立った。そして再び口を開いた

「それで...貴方、部隊に来ない?」

何の事だ?

「部隊って...?」

少女は不思議な顔をして、納得したようにした。

「そう言えば機密だっけな...えっとね、この国には感染体がいるように実は世界各国にもいるのよ。んで民間に機密で世界各国、ある人材を寄せ集めして作った組織があって、それの日本支部。」

…つまりはこの国にもいるのか。

「それで、私も寄せ集めの一部。スカウトも許可されてるから、素質がありそうな人を集めてるの。貴方には素質がありそうだからスカウトするわ。」

そんな事を言われてもな。

「俺、仕事あるんですけど…」

最もな不安要素をいう。

「あぁ。大丈夫よ。国が許可書くれるから。こっちの部隊の給料もそこそこあるのよ。

不安要素も消えた。楽しそうだし俺入りたい。

「えっと…じゃあお願いします。」

そう言うと俺は右手を出した。

そうすると少女は握手をし、

「こちらこそ!」

と言い返した。

「それじゃ、早速拠点に行きましょうか。」

そう言って彼女は腰から無線のような物を取り出した。

「こちらアリス。適正者1人確保。帰投する。」

『アリス了解。そちらにホールを開ける。』

訳のわからない会話だ。ホールってなんだ?

そんな事を考えていると、目の前に黒い穴が現れた。

「それじゃ、この穴に入って〜」

…どこかに繋がっているのか?さっぱりわからない。

取り敢えず入った。

出た先には無機質な灰色のコンクリートの部屋が待っていた。

「着いたね〜」

後ろから少女の声が聞こえる。

「ここは私達の部隊の基地の転移室。ここから任務のある地点に転移してるの。」

転移技術は聞いてはいたが、こんな所で実用化されているとは知らなかった。

「申し遅れたわね。私の名前はアリス。アリス・セラーニャよ。」

東京では聞かない名前だ。

「自分は角楼 レイです。」

「レイさんね。それじゃ、今から局長の所に行って試験受けましょうか。」

ですよね。何もしないで入れる訳無いですよね。








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