1話「これから1年」

私がそう言うと 雑通くんは笑った


「これから一年 よろしくな!」


「よろ しく」


「おーい!」


とドアから聞きなれた声が聞こえた


「天運くん」


「よっ 細道ー 今年も同じクラスだなー よろしくな!」


「うん よろ しく」


どうやら今年も天運君とは同じクラスみたい

中学からずっとだからね


「おー 蹴馬とも同じクラスかー なんかおこりそうだなー 赤点だけはやめてくれよー」


「なっ 希緯も同じクラスかよ! 別に俺は好きで赤点をとってるわけじゃ・・・」


「中学生の時 苦手科目は三年間全部赤点だったくせに」


「そう だった の?」


それは初めて知った

さすが情報通・・・


「お前・・・・・」


「へへー」


といたずらっぽく雑通君は笑った

私はふと教室の入口を見た

すると見慣れた姿が見えた

あれは・・・・

私はその人のところまで歩いていき


「十湖七 ちゃん」


「にゃっ!?」


と十湖七ちゃんは可愛い声を出した


「な・・・な・・・・心!? あなたこの学校に進学しましたの!?」


「う ん」


と私が答えると 後ろから天運君と雑通君の声が聞こえた


「細道ー 知り合いかー?」


「知らないのかー? 蹴馬 この人 私立病院の院長の孫 楓林 十湖七(ふうりん とこな)さんだよ」


「よ・・・よく知ってますのね 同じ学校でしたっけ?」


「ううん 違う学校 まぁ僕にかかればこんなことは簡単だよー」


雑通君はそう答える


「お・・・・恐ろしい人ですわね・・・・」


確かに そこまで知ってるとなると怖いよね


「まぁ ともかく・・・・これから一年よろしくですわ 心」


「こちら こそ よろしく ね 十湖七ちゃん」


「俺の名前は天運 蹴馬だオレらもよろしくな」


「僕は雑通 希緯だよー よろしくねー」


「お二方よろしくですわ」


十湖七ちゃんは二人にお辞儀をする

するとチャイムがなり 十湖七ちゃんの後ろに先生がいた


「おー 席につけー」


とみんなじぶんの席に付く


「えー 今日から1年担任をすることになった 目葉(めば)だ よろしくなー」


と先生は挨拶をする


「これから入学式だ 廊下に出席番号で並べー」


私達はそう言われ廊下に並ぶ

体育館に付き 校長先生の話や 生徒会長の話を聞く

何事も無く 入学式が終わると私は安堵する

よかった 何も発作も起きなかった・・・

中学生の時は良かったけど・・・

最近になって体の調子が良くない

これは少し用心しないといけないね

さてと・・・これからクラスでこれからと自己紹介みたい

友達沢山できるかな!


「天運 蹴馬だぜ! 1年間よろしく!」


あいかわずというか・・・そう言うところに憧れるなー


「雑通 希緯! よろしくね!」


雑通君も天運君と仲いいのがわかるなぁ・・・


「楓林 十湖七ですわ よろしくお願いしますですわ」


十湖七ちゃん・・・周りの人が引いてるよ・・・


「細道 心 で す よろしく おねがい します」


よ・・・よかった噛まなかった・・・

でもこの片言はどうにかしないとな・・・

多分第一印象って「障害者」な気がするよ

天運君とか雑通君は事情を知っているし

十湖七ちゃんは言うまでもなく 通院している院長の孫だし・・・

しばらくは視線がきついかも・・・

あ・・・・でもどうだろう? 結構知ってる人多いかも・・・

そして下校 明日はオリエンテーションみたいだけど

もう明後日からは本格的な授業!

が・・・頑張るぞ!!

高校に通わせてくれたお父さんとお母さんのためにも!


「よー! 細道ー! 一緒に帰ろうぜー!」


「う ん!」


「へー 女の子と一緒に帰るなんてやるねぇ 蹴馬」


「なっ!? ちっちげーし! 帰り道が一緒なんだよ!!」


そういえば高校に入るときにそんな話していたなー

それで天運君 私の体を心配してくれて一緒に帰ろうって言ってくれたんだよね

優しいなぁ・・・

あれ? 十湖七ちゃんがもう教室にいない・・・

帰ったのかな?

十湖七ちゃん車の迎えっぽそうだなぁ

ふふっ なんか本当っぽくなってきた


「そーいば お前の友達もいねーなー」


「う ん 先 帰った かも」


「そういえば細道さんは楓林さんと出会ったのって病院?」


「うん そ う 入院してる時に あった」


懐かしいなぁ・・・まだ 入院期間が長かった頃・・・

小学生の時だよ

それからたまに遊んでもらったりして・・・

それだけなんだけど・・・

でも あの時の大切な友達で

私に笑顔を取り戻してくれた大切な人


「へー それで知り合いだったのかー すげーなー」


「病院なんてところは 蹴馬には縁がない場所だよね!」


なにおーと雑通君を追い掛け回す

仲いいよね!

あれ? あそこにいるの・・・もしかして十湖七ちゃんかな?

あ・・・行っちゃった・・・・

あんな十字路でどうしたのかな?

というかそこで丁度天運君と別れる場所だね


「じゃーなー! また明日なー!」


「ばいばい 細道さん!」


「うん また 明日」


ここから家まで遠くないから大丈夫

そういえば十湖七ちゃんの家って十字路のまっすぐなんだね・・・

でももし帰り道一緒ならこれから一緒に帰れるよね!!

うふふ! これから学校が楽しみだな!!


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希望の空へ 港龍香 @minatoRK

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