希望の空へ

港龍香

プロローグ「私の名前は」

私が彼女と出会ったのは小学生の時だった

薄暗い病室 変わり映えのしない窓の外 

何回も入退院をしていたら飽きてしまう景色

そこで一人点滴を打たれながら私はいた

あるとき 病室のドアから彼女は表れた


「あら やっぱり女の子でしたのね」


私は彼女の方に振り向いた


「一回 会ったこと ある?」


「直接は無いですわ 私が病院内で見かけただけですの」


彼女はそう言った


「なんで 私 部屋に?」


「なんでと言われましても・・・」


彼女は少し悩み 言った


「親の仕事を間近で見たくて 病院内を散歩してたんですわ!」


「親・・・?」


「えぇ そうですわ 私の名前は楓鈴 十湖七(ふうりん とこな)楓林って聞いたことないかしら?」


そういえばと私は思う


「うん ある」


「それが私の親ですわ! 私この病院の跡取り娘ですの! 目指すはお医者さんですのよ!」


と彼女は言った


「すごいね 私 こんな 体 だから・・・」


そういえば結構病院にいますわねと彼女は言う


「体弱いんですの?」


「うん 退院 しても また 倒れちゃうの」


ふーんと彼女は言う


「それじゃぁ・・私が一人前のお医者さんになったとき あなたのその体を直して差し上げますわ!」


私は驚き 少し笑った

お母さんもお父さんも悲しい顔しかしなくて 笑った顔なんて久しぶりに見たから


「な・・何笑ってますの!? 私は本気ですわよ!?・・・まぁその夢が叶うのがいつになるかは解らないですけど・・・」


「ううん 嬉しいよ 十湖七ちゃん」


私がそう言うと 彼女は少し照れていた


「そういえばあなたの名前を聞いていませんでしたわ!」


「私 は・・・」


~~~~~~~~~~~~


彼と出会ったのは中学生の頃

体育の授業を見学していた時のことだった


「お前 体育出ないのか?」


「うん 体 弱い から・・・」


彼はふーんと言った


「体弱いって大変だなー 体動かすのは楽しいのに


十分に出来ないんだなー・・・」


「今 そうでもないけど 昔 入院 沢山 してた」


「まじで!? 俺入院なんてしたことねーよ!」


「いい な・・・」


と私は呟く 


「体 全く動かせないのか?」


「? ううん 軽い運動なら しても いいって」


「なら今ドッチボールするんだ 一緒にしないか?」


と彼は私に手を差しのべた


「・・・うん!」


私はその手を取り みんなのもとに行く


「そういえば 名前 」


「あ まだだっけ? 俺は 天運 蹴馬(てんうん しゅうま) お前は?」


「私は・・・」


~~~~~~~~~~~~~~


彼と出会ったのは 高校生の時だった

入学式 彼は私の隣の席だった


「これから一年間ヨロシク!」


「よろしく ね」


「へぇー 話には聞いていたけどさー・・・」


「噂 なってる?」


私がそう言うと 彼は悪戯のように笑い


「天運 蹴馬って知ってるだろ?」


「うん・・・」


「僕は蹴馬とは親友なんだ! 君の話題が度々あったから一回会ってみたいと思ったね!」


そうなんだと私は言った


「体弱いって聞いてたけど この学校大丈夫?」


「うん ある程度 良く なった」


「そうなんだ まぁ 成績良いしねー」


それを聞いたとき私は不思議に思い 彼に話しかける


「私 成績 知ってる?」


「そりゃぁ! 僕の知らないことはないよ!蹴馬風に言えば僕は情報通で雑学王だからね!」


私は笑う


「そうだ 自己紹介先にしとこうか 僕の名前は 雑通 希緯(ざつつう きい)! 君は?」


「知って いるんじゃ?」


「本人の口から直接聞いてみたいもんだよ!」


「・・・・うん 解った 私 名前 は・・・」


私の名前は・・・・

細道 心(ほそみち こころ)

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