第29話 『敦盛の最期』まとめ

 『敦盛の最期』は、数ページの短い作品です。

 でも、多くの人に好まれる部分です。


 日本語だけど古い言葉で書かれていて、それだけで嫌な気分になります。内容がではなくて、難しいから避けてしまおうと思いがちです。


 でも、日本史を調べて源氏と平家って、こんな感じだったんだというのを知ってから読むと、なんとなくわかったような気分になりませんか? そこから、いろいろなことを自分で想像してみる。


 平安末期と令和に変わったばかりの今。違うことは多くあります。でも、過去があるから今があります。

 それに、皇位継承に大事な役割を果たしている三種の神器も関わっています。


 そして、物語の主人公たちは、過去に存在していました。フィクション部分は多いですが、彼らはかつてこの日本に地球に生きていました。


 いろいろな人の過去から続いている現在。

 それがほんのり垣間見えます。



 平家物語は無関係な存在の物語ではありません。

 誰かのご先祖が活躍しているかもしれないし、そうでなくてもそれを傍観していたかもしれません。


 噂を聞くだけだった人もいたでしょう。

 でも、彼らは確かにこの地にいて、ボクたちが歩いている道を、歩いていたのかもしれません。


 そういうことを想像しつつ、いろいろな部分を補足していったら、やけに長くなってしまいました。


 何度言ったかわかりませんが、教科書に載っていたのは『賞金首はいないか~!』から袖で顔を覆ってさめざめと泣くまでです。


 それではこの物語の内容は伝わらないのでは? とも思いますが、想像の余地を残してくれているのかもしれません。

 知りたくなったら自分で調べろということかもしれません。


『敦盛の最期』は、ひとりの大の男の気持ちが、大きく変化してしまう出来事だった。この物語を作った人は、そう考えたのではありませんか?


「手柄を立てるぞ~!」と意気揚々としていた四十過ぎのおっさんが、中三の男の子を殺し、それを嘆く話です。


 首を切った時の感触は、しばらく残ったでしょう。

 自分の子と重ねてしまい、悪夢を見たかもしれません。


 何も持っていないのに、手に何かがあるような感触。

 洗っても洗っても落ちない血の匂い。


 いつまでも自分を包むような悪いモノ。

 自分は悪くないと言い聞かせ……。


 今までの行動と、何が違うのですか?

 ずっと、してきたことのはずです。


 直実さんから話を聞いていないので、ボクはなんとも言えません。

 でも、総大将は、それらを受け止めなければいけないです。


 勝つために、それを望んでいたのだから。


 平家を滅ぼすことが、父や亡くなった兄たちの敵討ちになります。

 直実さんに『なんでそんなことしたの?』をボクは言うことができません。


「辛い役目を負わせてすまなかった」です。


 始まってしまった戦は、終わらせるのが大変です。

 兄上の源頼朝は、それを終わらせた人です。











参考文献:

古典(古文)説話・物語・軍記,秋山けん/西尾光一/峰村文人他編,ちくま書房

平家物語 古典文学全集10,長野じょう一,ポプラ社

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