第8話 源義朝の9人の息子

 ボクの兄弟についてちょこっと。パパの息子は9人いると言われています。平治の乱の時に生まれたばかりのボクが九郎なので。

 平治の乱には四男までが参加していたようです。



① 長男 源義平みなもとのよしひら

 まず長男の悪源太兄ちゃん。途中までパパと一緒にいたようですが、それぞれが生き残るために別行動をします。一緒に死のうではなく、それぞれが生きて東国で会おうという作戦だったようです。パパたちは西国(京都とか)ではなく関東で力を持っていたので、そこで態勢を整えて再度挑戦という感じです。


 しかし、悪源太兄ちゃんは逃げている途中でパパが亡くなったことを知ります。兄ちゃんは「清盛の首を取る」と言ってパパの仇を討つために京の都に戻り、捕まえられて六条河原で処刑されます。


 この辺りが語られる平治物語は悪源太兄ちゃんが主人公らしいです。

 やっぱり悪源太兄ちゃん、主人公級です。


 亡くなったのは1160年みたいです。

 すぐに捕まったわけじゃないみたいです? 1~2か月くらいは逃げてたみていです。



② 次男 源朝長みなもとのともなが

 次男の朝長兄ちゃんは、逃げている途中で僧兵に襲われ傷を受け、それが悪化してパパに介錯かいしゃく(苦しまないように殺してもらう)してもらったようです。


 そういう絵が残っていて、それの解釈はなんかひどいことになってました。血塗られた河内源氏だから、単純に父が子を殺しているように思えてしまいますが、違います。


 パパにも朝長兄ちゃんにも会ってないけど、会っていたとしても覚えてないけど、でもボクは違うと思います。

 いくら苦しむからってそれまで苦楽を共にしてきた子供を殺すなんて、嬉しいわけがありません。ふつうに考えればわかるよね。ふつうじゃないかもしれないけど……。


 敗走しながら自分の息子も介錯しなければいけなかったパパの苦痛を想像してみてください。ボクなんか涙出てきますよ。泣きますよ。


 しかもそれで、パパは乳兄弟の家に行ってホッとしていたところを討たれたんですよ。お風呂入って「ふぅ」ってとこですよ。ひどくないですか? 泣きますよ、ボク、泣きますよ。

 おかげでボクはパパに会えなかったんだからね。



③ 三男 源頼朝

 兄上です。三男でも嫡男です。『嫡男』は跡継ぎってことです。河内源氏は兄上が継ぐことが決まってます。ネットで調べた感じだと、長男が継ぐって決まったのは徳川家康さんからみたいです。


 うちの源氏ではない源氏物語を読むとうっすら感じると思いますが、父親が天皇でも母親の身分がけっこう大事みたいです。一夫多妻制の弊害とでも言うのでしょうか。


 奥さんがたくさんいて、それぞれが子供を産んでいて、その奥さんたちが「ウチの子を天皇に」って考えてるわけですね。大奥おおおく、怖え。

 ※ 大奥は江戸時代に将軍様をお迎えするために作られたハーレムです(言い方が悪い)。似たような制度はいろいろな国で作られています。後宮こうきゅうとか。


 入内じゅだい(ざっくりと天皇の嫁っぽいものになる)した人だけでなく、自分の娘を天皇に嫁がせて、その天皇の血を引く皇子が天皇になれば、その人は天皇のおじいちゃんになれます。その場合、政治に口出しできます。だから、必死になります。内裏だいり(天皇が住んでるとこ)とかでは恋愛以外の恐ろしい感情から子作りがなされます。

 面倒くさいから、興味を持った人は自分で調べてください。




***




 琵琶湖かなんかでパパが「いつかまた会って、源氏の復興を!」みたいなことを言って、それぞれがバラバラに逃げるらしいんですが、兄上はそれよりも前にはぐれてしまったようです。すみません。ボク、この頃、母上に守られてぬくぬくしていたので知りません、ごめんなさい。


 兄上は捕らえられて清盛様の前に引き出されるそうですが、その時、清盛様の義母上の池禅尼様などが兄上の助命を進言してくださったそうです。「亡くなった息子に似ているから助けてください」というのもあったとか。


 ありがとうございます。きっとその亡くなった息子さんもすっごくイケメンなお子様だったのでしょう。兄上に似ているのなら、賢くてカッコ良くて凛々しかったに違いありません。


 ここで兄上がお亡くなりになっていたら、ボク、兄上に会えませんでした。

 世界中の人たちに「ありがとうございます」と言いたいボクは。


 それで、兄上は伊豆に流されます。

 詳しいことは、大河ドラマなどを観てください。


 でも、兄上はボクのトラウマなんてトラウマと呼ぶのも恥ずかしいくらいに辛い目に遭われていると思います。だって、父上パパや兄ちゃんたちが近くで亡くなっています。ボクだったら泣きわめきます。



④ 四男 源義門みなもとのよしかど

 ものすごく影が薄い、兄上のすぐ下でお母さんも同じ兄のようです。平治の乱に一瞬いて、いつの間にかいなくなっていた(記録から)そうです。


 実は兄上の双子で、双子は不吉だからと隠されて育って、平治の乱で兄上と入れ替わったとか? すみません。この辺り、ホントによくわかっていないので、皆さんと同じような感想しかありません。


 このまま源氏として生きていくよりも、「お前はふつうに生きておくれ」とパパに言われ、兄上やボクや範頼兄ちゃんとかが挙兵した後もふつうに田んぼを耕してお米を作ってたとか。


 そうだったらいいなあ。

 そういう兄ちゃんがいたらいいなあ。


 一人ぐらい、そういう兄ちゃんがいてもいいとは思いませんか?

 一人ぐらい清盛様に差し出されることなく、地道に生きた兄弟がいてくれたら、ボクは嬉しいんだけどな。



⑤ 五男 源希義みなもとのまれよし

 兄上と父母が同じです。平治の乱が終わった後に伯父さんによって清盛様に突き出されたそうです。ひどいなあ、おい。


 土佐に流され、兄上とかが挙兵した時に平家から追討令が出されて討たれたそうです。ボクが屋島で勝てたのは、希義兄ちゃんのおかげかもしれません。霊的にとかじゃなくて、四国に行ってからも味方が増えてました。兄ちゃんが準備をしてくれていたのかもしれません。


 現在、鎌倉の兄上のお墓のところに、希義兄ちゃんのお墓の石が置いてあります。今を生きている人たちが、ボクら兄弟が(あの世で)仲良く会えますようにと置いてくださっています。希義兄ちゃんのお墓は兄上のお墓のところに地図があるので、いつか行ってみたいです。



⑥ 六男 源範頼みなもとののりより

 ボクと一緒に義仲君を討ち、一の谷・壇ノ浦を戦いました。ボクが屋島行ってた時は九州にいたそうです。だから省略。



⑦ 七男 阿野全成あのぜんじょう

 ボクと父上も母上も同じ全成兄ちゃんです。母の常葉に連れられていた、今若・乙若・牛若の今若兄ちゃん。


 記憶にございません。


 母上が清盛様のところに行った後、ボクは母上と共に過ごしていましたが、今若・乙若兄ちゃんは即、寺です。


 今もWikipediaをみて驚きました。

 一番、長生きしてないか?


 地味に有名人じゃん。

 何? 阿野氏って。武家でも公家でも残ってるの?


 マジで知らんかった。



⑧ 八男 源義円みなもとのぎえん

 乙若兄ちゃんです。寺に預けられ、兄上たちが旗揚げすると一緒に立ち上がり、平家の人と戦って亡くなったそうです。


 一条長成様のお名前をいただいているらしいです。

 やっぱりママはすごいね。パパとの子供は3人とも源氏として頑張ってるし、長成様とのお子さん(ボクの弟)は公家になってるんだよ、えへん。



⑨ 九男 源九郎義経

 ボクです。歴史に残る稀代の英雄。

 でもボクがすごいのは兄上のおかげだよ。ホントにすごいのは兄上です。


 鎌倉幕府を作っちゃったんだからね。

 だからボクが主人公のお話がい~~~~っぱいあります。


 悲劇の英雄、上等!





 自分の兄弟のことなんだけど、知っているのは一部であることに気づきました。8人も兄弟がいれば、会っていない兄弟もいます。だからマジでみなさんと同じ気持ちでWikipediaを読んでいました。


 それでも平家は倒せました。

 なんかとっても『ごめんなさい』という気分です。




※ Wikipedia「源義平」「源朝長」「平治物語」「源頼朝」「源義門」「源希義」「阿野全成」「義円」

※ ボクの趣味は源平(主に源氏)に関わるところへの旅行です。父がトレジャーハンターなので、わりと小さい頃から長期休暇を利用して一人旅をしています。

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