1 基礎知識のようなもの
第3話 源氏物語と平家物語
源氏物語が源氏の話で平家物語が平家の話なんじゃないの? と誤解している人もいるのではないでしょうか。源氏だし平家だし両方とも物語って書いてあるし。
名前だけ見ると、セットのようですが内容はまったく違います。
ざっくりと言うと、源氏物語は平安時代に紫式部が書いた恋愛小説です。平安時代の天皇の皇子なのに臣籍降下で源氏になった
一方、平家物語は平安末期の源氏と平家の戦いを描いた軍記物語です。恋愛小説と軍記物語。柔と剛という感じでしょうか? そのでき方もまったく逆な感じです。
源氏物語は源平合戦(源氏と平家の戦い)の200年弱くらい前の1001年くらいから紫式部によって書き始められ、宮中(京都で天皇がいるような場所。貴族でも偉い人しか入れません)で流行し、平家物語が琵琶法師によって語られたのは鎌倉時代で、こちらはふつうの人々にも楽しまれました。
源氏物語は作者が紫式部とはっきりわかっているのに平家物語はわかりません。紙で残っているのと口伝であるということが主な原因です。物が残って後世に伝わるのと、人々の記憶が伝えられることの違いでもあります。文字が読めない人が多かったので、物語が音として伝わります。
源氏物語と平家物語、関係ありそうなのに全く違います。
両方とも、長い年月を重ねても人々から愛される作品であることは同じです。両方の物話を知ることができる現代人はかなりお得だと思います。
ただし、源氏物語を読んでいれば平家物語を読むための基礎知識は備わります。源氏物語の中でも身分が大きく関わっています。光源氏が色々な女性と恋愛をするのがメインですが、光源氏はみるみる出世していきます。
そもそも光源氏の父親が天皇だし、兄が天皇になり、兄の婚約者に手を出して須磨に流され、そこで皇后(天皇の奥さん)となる明石の姫君が生まれます。光源氏が父親の嫁(義理の母)と通じ(不倫して)生まれた子供も天皇になります。平安時代の貴族に好まれた恋愛小説です。
そして光源氏も
太政天皇は譲位をした天皇につけられる名前だそうです。けっこう細かい設定があるようで、それは置いときます。上皇とか法皇とかその辺りです。退位した天皇という扱いでしょうか?
天皇や身分についてわかるし、占いや祈祷がどれだけ重視されていたかということもわかります。光源氏の子供を産んだ正妻の
それがふつうに描かれています。また、光源氏の出世の様子は彼が占ってもらった通りなんです。子供は3人でひとりは天皇になりひとりは家臣で最も高い位置になり一人は皇后になる。細かく言うとキリがなくなるのでこの辺りで止めます。気になる人は読んでください。
マンガで読むとめちゃめちゃ面白いです。
日本が誇る長編恋愛小説です。
***
源氏物語は臣籍降下した直後の光源氏の物話です。光源氏は天皇の息子だったので、天皇の臣下として最高の地位につけました。裏技的に息子が天皇になってるわけだし。後ろ盾がなく、天皇になれないから源氏にすると父に思われた光る君。光のように輝く美しい子供だからそう呼ばれていました。
美しいだけで地位が上がっていたようです。
美しくて女性からモテモテで、恋愛めちゃめちゃしてるのに、パパの正妻にもお兄ちゃんの婚約者にも手を出していたのに地位はバンバン上がります。お兄ちゃんの時はさすがに流されましたけど、そこでも嫁とりしてます。京には紫の上がいたにもかかわらず。
後ろに藤原氏の勢力争いが見え隠れしてましたけど、なんかうやむやになる。
では、臣籍降下してしばらくしたボクのとこの源氏などは……。
煌びやかさなどは失われておりました。
だって、光源氏がぽんぽんともらっていた地位を清盛様のお父さんが頑張って頑張ってやっともらっただけでとやかく言われました。平家でその扱いでした。
あ、ボクはそうでもないです。平家全盛の頃でもママのおかげでわりといい暮らしができました。それに奥州平泉の藤原氏のところではぬくぬく暮らしていました。
ぜいたくしなければ、人はなんとか生きていけます。
では、臣籍降下して宮中とはまったく関係なくなって武士になるしかなかった子孫たちがどういう行動を起こしたのかを次にお話します。
※ 参考文献「あさきゆめみし」
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