第31話 グリフィンとの戦い・3
『我が契約せし光の精霊よ 不浄なるものを祓い 我が瞳を清めよ 我に真実の姿を見せ給え』
ヴァイスは自らに幻術破りの魔導術を掛けた。その状態でグリフィンの肢体を見据える。
グリフィンの体全体が、濃い紫紺の煙で覆われているのがわかった。こんなに強い魔力の塊を見るのは始めてだ。
(……あった!)
濃い紫紺の煙の隙間から、グリフィンの体のちょうど中央の辺りに、何かきらりと光るものが見えた。
*
「グリフィンの姿は幻です! 心臓の位置に本体が!」
そう叫んで、他の者にも幻術破りの呪文を掛けた。
グリフィンの胸の奥、心臓の位置の物体は、先ほどのレイアの攻撃で少しだけひびが入っていた。図らずも、レイアの攻撃は怪物の本体を掠めていたようだ。怪物が必死でレイアを振り落としたのも納得がいく。
「おっしゃあ!!」
カッツェが答え、斧についた錘鎖をグリフィンの前足に巻き付けて捕らえた。
グリフィンに実体を持せたからこそ、物理的手段で拘束できるようになってしまっているのだ。確か王の話でも、王宮に忍び込んだ傀儡人形を一度は捕らえられたと言っていた。
「ノエル、今だ!」
カッツェの行動を見ていたノエルは、既に呪文を唱え終わっていた。
『・・・〈
――ズガァアアアアアッ!!!
凄まじい音とともに、ノエルの放った光の槍が寸分の狂い無くグリフィンの本体を刺し貫いた。
「ギャアアアアアアア……」
グリフィンの咆哮が次第に小さくなっていき、その姿が薄らいでいく。
ついに怪物は、紫紺の煙を残して消え去った。
*
怪物の姿が消え、ノエルがどっと疲れたように息を吐いた。
「はぁ、危なかった……」
「これが怪物の正体か?」
カッツェが拾い上げたのは、グリフィンの形をした小さな黄金の彫刻だった。
彫刻はちょうど心臓の位置を境に、上下に真っ二つに割れていた。
「そう……みたいですね」
グリフィンとの激戦を終えたヴァイス達は、傷ついたレイアやカッツェの体を治療し、さらに城の奥――魔王の間へと向かうのだった。
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◆冒険図鑑 No.31:
光属性の攻撃魔導術。
単体に対する攻撃力は
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