第3話ウェディングパーティー
「こんにちは〜、
土曜日の朝、目覚めてからスマホのSNSをチェックすると理央から動画メッセージが届いていた。僕は最初1回見てショックを受け、落ち着いてから3回リピート再生した。
やはりね我が街を
その当の本人である理央がブラックとブラウンのワンピースドレスを着て目の前で
ここは丸尾の結婚披露宴会場だ。僕と理央は会場のちょうど真ん中あたりの丸テーブルに着いて特別美味くもない中華のコース料理に付き合っていた。他には見ず知らずの丸尾の友人たちと同席だ。会場内は明らかにをサンクトペテルブルグのエカテリーナ宮殿を真似して作られている。なんの偶然か、理央の朝帰りの舞台になった高級ホテルに
丸尾はメインステージで
「すげ〜な、丸尾のセフレも出席している」
「どこどこ?」
「
「は〜ん、美人ね、あいつらしい」
「……これからどうなることやら」
僕と理央は
「見つけたの、こいつしかいないって男を」
理央が自分から話を切り出した。
「彼となら
理央の話は続く。
「我が家は
そうして理央は恥ずかしそうな顔をした。
「……どおだった? 朝帰りのスキャンダル」
「おめでとう、驚いたけどね」
僕は
理央によると彼女の朝帰りの相手は東京のスタジオミュージシャンなのだそうだ。業界では知る人ぞ知る期待の新人。理央が休みを取って東京へ里帰りしたとき、パーティーで知り合ったという。申し分ないパートナー、僕にはかなわない。ちなみに理央はこの街で、なんと車の整備士をしている。
「理央はどうしてこの街に来たの? 東京出身だろ? こんな田舎」
「そうだね、言ってなかったね」
「……この街は私のママの
「ママの生まれ育った街を知りたくてここの大学に入ったわけ……そしてら
「そんなに? 経済的にも偏差値的にも恵まれていたのに」
理央は学生時代、勉強の成績がめちゃくちゃ良かった。なぜ東京六大学へ行かなかったのかという疑問は誰もが持つだろう。家も裕福だと
「いいのよ、ウォール・ストリートで働きたいわけじゃないから」
「今どき変わってると思う」
「そうね、そうかもしれない」
僕の素直な感想に理央は普通に答えた。こういうやり取りは
「子どものころ家族でかくれんぼしたことある?」
理央が話題を変えた。どこか遠くを見ている。
「いや」
「うちあるの。日曜日、パパが
ドレスアップした丸尾と新婦が
いつの間にか運ばれていた中華料理のメインディッシュである
「次の週末、あのクラブで
新郎新婦が去り、改めてテーブルに着いたあと理央が言った。恋人と東京へ帰る前に僕たちがよく行くエレクトロ系のクラブでDJプレイをするという。僕はその機会を
今日の天気は晴れだったか雨だったか。僕は色んなことがどうでもよく感じられるほど理央のことを想っていた。
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