第12話 ともにいる意味
ステーキ弁当はとても美味しかった。
あまりにんにくとかを食べる方ではなかったけど、こんなに美味しいのかと驚いた。トマトスープはほんのりピリッとしていて、ついつい進んでしまう系のスープだ。
にんにくの利いたステーキとぴりっと辛いスープを飲んで、全力疾走もしていたので結構汗ばんでしまう。
今食べた食事が血肉になっていくような感覚は心地いい。
たっぷり昼寝してしまったのと、スタミナ系の食事お陰で体調はすこぶる良い。
少しぬるめのシャワーをゆっくりと浴びて、夜のお楽しみリフクエタイムにダイブだ。
俺がログインして冒険者ギルドへと向かおうとするとミーナさんからコールが来る。
『こんばんはー、今日は遅いんだねー』
『こんばんはー、ちょっと夜ご飯が遅くなっちゃって……どうします?
今日もパーティで狩りしてみます?』
『そうしよそうしよ! 弓スキル早く覚えたいし!
そしたら噴水前にいるね!』
そういえば、ミーナさんはなんで俺を誘ってくれるんだろ?
あんまり深い意味はないんだろうけど少し気になったので聞いてみた。
「うーん、別に、なんとなく?
なんか、♀アバターだとしつこい人多いんだよね、リュウヤ君そういうのないからかなー?」
ほんとに深い意味は無かった。
「あとはー、知ってる人と同じ名前だったから。かな?」
「なるほど……」
「もしかして、迷惑だった?」
「ううん! 全然そんなことないよ。
むしろ誘ってもらえて嬉しいよ、あんまりこういうゲームとかやらないから……」
「実は、私もあんまりゲームってやらなかったんだけど、なーんか手に取っちゃったんだよね……」
あ、俺と同じだ。と思ったけど、言葉には出さなかった。
特に理由があったわけじゃない。
「すごい人気だよねこのゲーム」
「でも、わかるよね。すごいもんこのゲーム」
その場で手を広げてクルクルとまわるミーナさん。
俺はその言葉にウンウンと頷いていた。
このゲームは凄い。
その後は普通にゲームの話を中心になんでもない話をしながら黙々と狩りを続ける。
「ダブルショット!!」
二本の矢が敵に辺りボンッと敵の姿が消える。
「スキルは勝手に身体が動くから楽だよね、俺は弓なんて出来なそうだけど……」
「試したいならオートモードで使えばいいじゃん!」
「オートモード?」
「あれ? もしかして知らない? コンソールの設定の攻撃方法で……」
なんと、攻撃方法をオートなんて便利な方法があった。
これを使えば攻撃って思えば決められたモーションになっちゃうけど敵に攻撃を放ってくれる。
「し、知らなかった……」
「このヒントすごい量だもんね。暇な時眺めてるだけでも楽しいよね。
あ、オフラインモードでもヒントは読めるよ」
いいことを知った。
「でも、なんとなくだけど、マニュアルのほうが楽しいよね。
こう自分で攻撃してる感じが……」
「あ! それすっごいわかる!
特に弓はね~、的中! って感じですっごい気持ちいいんだよ!」
キャッキャと楽しそうに話すミーナさん、最初に出会った友達がこの人で本当に良かった。
その後も二人で夢中で狩りを続けてレベルも9まで上がった。
「あー、時間切れー……ってもう寝ないと。今日もありがとうね。
明日も時間があったら一緒に行こうね!」
「うん、凄く楽しかった。ありがとう!」
バイバイと手を振りながらミーナさんのキャラは消えていく。
俺ももう、あまり時間がないな。
「明日はレベル10になって討伐クエスト受けられるようになるから、もっと早く成長できるな!」
こうして、俺の二日目は順風満帆に経過していったのでありました。
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