5work「短い物語 夏宮雪奈の勇気」

私の名前は四季波 雪奈

かの有名な財閥「四季波」家の長女だ


私のお父様の名前は四季波 氷

私のお母様の名前は四季波 凍子

政略結婚で生まれた子供

それが私


私は小さい頃から幽霊が見えた

でもその時の私は幽霊だと思わなかった

なんかの芸だと思っていたのだ

でも霊感があることをお父様とお母様に言ったことはない

そんなことを話せば見限られる

捨てられると本能的に察したからだ


そして私はそんな二人の一人娘だ

跡を継ぐために勉強もさせられる

四季波家は代々天才が集う

お父様の場合・・・勉強もトップクラス

運動も出来る

まさに完璧超人だった

それに比べ私は全て常人だった

でもそれで捨てられたく無くて

私は頑張った

人並み以上に 常人以上になるために


でも どんなにいい点数や結果をとっても

お父様もお母様も褒めてはくれなかった

それが普通だったとしても

私は褒めて欲しかった

どうしても 褒めて欲しくて

「頑張ったね」って言ってもらいたくて


そして八歳のとき

私は捨てられた

お母様が・・・ではなく

四季波家が

お父様とお母様が私を捨てたのだ


「・・・雪奈ちゃんは・・・」


秋さんが言う


「もう 君を捨てて殺そうとしている理由を知っているのかい?」


えぇと私は答える


「四季波家は天才が必要でそれが四季波家を支えてるんですつまり・・・」


四季波家に秀才はいらないのだ

だから私は捨てられ殺さかけた 


「・・・私は・・・いらない子・・・なんでしょうか・・?」


「!!雪奈ちゃん!!」


と秋さんの顔が少し変わる


「少なくとも・・・・春実の前でそんなこと言わない! いらない子だったら・・・春実は君を拾っていなかったんだよ?」


・・・・あぁ・・・・

そうだ

私は 一回絶望に落ちた

でもそこからあがれたのは・・・・


「・・・おかあ・・・さん・・・」


泣き顔で私はお母さんを見る


「ごめん・・・なさい・・・ごめんなさい・・・」


お母さんは答えない

でもそれで良かった

心の中で・・・お母さんが


「雪奈 あなたは私の自慢の娘 とてもいいこよ」


といっているようだった

私はずっとその場で泣き崩れた


~~~~~~~~~~~~


雪奈ちゃんが泣きつかれて寝ている

僕はふと有沢を見た


「・・・・・有沢 君なにしてるんだい?」


「いやぁ 入りずらかったからなぁ・・・」


有沢はそう答える


「入りずらいって何がだい? 君はそんなことじゃないだろう?」


「やはり・・・気づいておりますか」


「あぁ」


と僕は言う


「やっと君の能力がわかるんだ ちょっとワクワクするんだよ」


「わいに何も能力もありまへん ただ守れればそれでいいんや」


相変わらずしらをきるなぁ・・・

まぁ いつもそこで僕は違う質問にするんだけどね


「有沢・・・君はどう思う?」


「どう・・・って?」


「今雪奈ちゃんがおかれている状況さ」


僕がそう言うと有沢は首をかしげた


「状況かいな? やばい状況としかいいようが・・・」


と有沢が言う


「確かにそうだね でも一体どこで雪奈ちゃんが生きてるとバレたか?」


僕は坦々と言う


「四季波家 財閥だ 情報力は侮れない」


でも・・・でもだ


「こんな小さな町の情報なんて入るだろうか?」


春実は雪奈の状況にある程度察していた

だから今まで「そうだん屋」の仕事なんて関わらせてなかった

対する雪奈ちゃんも自分のことがバレないように配慮をしていた

なのになぜバレたか?


「秋はん その答えわかってるんか?」


「あぁ もちろん」


と僕は言う


「四季波 凍子 その人の故郷がここだからさ」


僕は言う


「えーっと・・・ちょっとまってーな 雪奈はんはこの町で捨てられたんやろ? それでその雪奈はんのおかーはんがここの出身で・・・?」


フフ 有沢が困惑しているね


「まぁ あの人の旧姓を言っておこうか 旧姓は梅田」


僕がそう言うと有沢は


「それって・・・・この町の有権者の一つ・・・」


そうだよ と僕は言う


「梅田家は衰退しているからね 繁栄を願おうと政略結婚先に四季波家 そして嫁いでいったのが梅田 凍子・・・現在の四季波 凍子なのさ」


そして捨てた理由


「そのことについては雪奈ちゃんが言った通りのことなんだと思うよ 『四季波家に秀才はいらない』その被害者になったんだ」


そしてなぜこの町に捨てたか


「四季波 凍子の精一杯の配慮なんだろうね 四季波家の人間ならなにも違和感なくするんだろうけど彼女は元梅田家の人間だ」


四季波家の決まりに共感出来るはずもない でも嫁いでいった以上従わなきゃいけない


「彼女にとっても苦痛だろうさ 褒めてあげられない たった一人の可愛い娘に

「頑張ったね」の一言さえもかけてあげられない」


それで彼女は悩んだ 一人娘をどうするかで

そして彼女は決めたんだ 自分の生まれ故郷においてこようと


「それはなんでや?」



「自分の生まれ故郷だ 自分の町ことはよく分かっている」


自分のあの町なら 雪奈ちゃんを 彼女の大切な可愛い一人娘を生きてあげられるだろうと

つまり彼女は雪奈ちゃんを逃がした


でもこのこともそうとう悩んだと思うよ

自分のところから離れていってしまうからね

でも彼女は決心した

自分の近くにいなくても 雪奈ちゃんが生きていてくれるならそれでいいと

そしてときは流れつい最近のことだ

おそらく四季波家の情報網で・・・いや

四季波 氷は察していたんだろう

雪奈ちゃんが生きていることを知る

そしてそれは四季波 凍子が意図的にしたことも分かったんだ

おそらく彼はこう言った


『自分の責任は自分でとれ』ってね


でも彼女は行きたくなかった

でも自分が行かなければ

雪奈ちゃんを助けてあげられない

でもずっと・・・きっと雪奈ちゃんと再開してからでも彼女は悩んでいたんだ

本当に殺していいの?

雪奈ちゃんに幸せを与えていて絶望を与えてたんじゃないかと

彼女は悩んだんだ


「そうですよね? 四季波 凍子さん」


僕は廊下でその人の名を呼ぶ


「・・・いつから気がづいていたのかしら?」


「最初から・・・・じゃおかしいですか?」


僕はこう言う

春実を打ったあと

あなたは殺し屋を帰らせ一人隠れていた

そのまま放置するはずないから病院にいくと

そしてあなたはこっそりとそのあと追ったんだ

病院の待合室で待っていると

僕そして雪奈ちゃん会えた

場所までは突き止めたのはいいけれど病室は解らない

そこであなたは僕たちのあと追い

春実の無事を確認してから帰ろうとしたんですね


「そこで雪奈ちゃんの話が始まった」


自分の後悔を思い出しながら

そして雪奈ちゃんの気持ちを受け止めながら

あなたはずっとそこにいた


「泣きつかれて寝てしまった雪奈ちゃん あなたはそこで帰ろうとしたが次は僕のスーパー独り言タイム」


四季波 凍子に霊感はない

だから僕の言葉は全て独り言のように聞こえる


「そしてあなたは僕の話まで聞き入ってずっとそこにいたんでしょう?」


簡単な推理だよと僕は言う


「・・・・たいしたものね それがそうだん屋初代の実力なのね・・・・」


「実力って・・・一回依頼したことあるじゃないですか 梅田 凍子さん?」


「たしかに・・・・そうね」


彼女は了承する

凍子ってどこかで聞いたことあったからもしかしたらって思ったんだよね


「・・・・良かった・・・・雪奈・・・」


と彼女は雪奈ちゃんに近づく


「私の可愛い娘・・・生きていて・・・・本当に・・・良かった・・・」


彼女にとって春実は感謝の耐えない人物だ

そんな人を殺しかけた

罪悪感しか残らないだろう


「・・・・」


彼女はこの場を立ち去ろうと思う


「今回のことは謝るわ あなたの銀行でいいかしら? 振り込むの」


「別にいいですよ それよりもあっていかないのですか?」


「いいのよ 今の私では雪奈は恐怖の対象だわ・・・・雪奈を・・・私の娘をよろしくおねがします」


彼女はそれを言い 立ち去った

~一週間後~


「ねぇ?もう退院していいよね?ね?」


「ダメですよ春実さん 体力戻ってないんですから」


お母さんが紅葉さんに必死に交渉してる・・・


「お母さん 無理しちゃだめだよ まだ安静にしてなきゃ・・・」


「むー・・・でも暇なのよぉ!!」


ベットの上でお母さんが暴れる

現在そうだん屋の仕事は帰ってきた秋さんがやっている

現在秋さんと私は一緒に暮らしているのだが

秋さん 仕事だときっちりしてるんだけど

私生活面では抜けていて

仕事が来てない時は 仕事場で寝ているし

寝るのも私が学校にいく時間ギリギリ

そんなことをお母さんに言うと

『それでも早いほうなのよ』と言う

まぁ・・・休日なんて昼になっても起きてこなかったしね・・・

あれで一人で暮らしてたんだからすごい

一人だときっちりしてたのかな?

周りに幽霊とかいたけど 今と変わってないし・・・

秋さん・・・・すごいなぁ・・・・


「あ・・・お母さん もうそろそろ帰るね」


「また 来てねー雪奈ーお母さんはここで凄く寂しいのよー」


「うん 明日また来るね!」


私は病院を後にした


「春実はんのあんな行動おもろかったわぁ」


と有沢さんが言う


「意外な一面だね!」


そのまま家に帰る

そしていつの間にか有沢さんが後ろで止まってたらしく


「・・・・・・そろそろ・・・か・・・」


「?有沢さん何か言った?」


「なんでもあらへんよ」


と有沢さんと並んで帰る

大体の事情は秋さんから聞いた


お母様

ありがとう

私を殺さないでくれてありがとう

この町に捨ててくれてありがとう

またいつか会えるならば

怯えるんじゃなくて

精一杯の笑顔でお母様に会いたい

いつか・・・必ず・・・・

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