4work「喜ばれない再開 自分の本当の名前」

「お・・・お母様・・・・」


私は言う

だって 目の前には私を捨てた

私を捨てたあのお母様

四季波 凍子がいたからだ


「さすがに名前は覚えてたのね 私もまさかあなたが生きてると思わなかったわ」


お母様は言う


「どうして・・・ここが・・・」


「えぇ あなたらしき情報を得てね あの人に見つかる前に私が処理しようと思ったのよ」


とお母様が言う

お父様に見つかる前に・・・・ということはやっぱり後ろの二人は・・・


「・・・殺してちょうだい」


と後ろの男性二人は銃を構える

あぁ やっぱり

私はここで殺されるのだ

四季波 雪奈こと夏宮 雪奈は

ここで死んでしまうのだ

こうなる日がいつか来ると分かっていたけど

やっぱり覚悟は出来ない

男性二人が引き金を引いた瞬間

私はその銃の直線上からずれた

変わりにいたのは・・・・


「ぐふッ!?」


夏宮 春実 私の・・・私の・・・お母さんだった

お母さんは私を横にずらし 自分を犠牲にしたのだ

私は焦る

お母さんは 残り少ない体力でこう言った


「は・・・や・・・・く・・・にげ・・・なさい・・・・」


と小さかったが確かにそう言った

私はそれを聞いた瞬間 必死に逃げた

逃げて逃げて逃げて

何も考えられなかった


「雪奈はん!!」


と有沢さんの声が聞こえた

気がづくと私はそうだん屋の前にいた


「雪奈はん どうしたんや? 血相かえて?」


その有沢さんの声で気づいたか 冬島 秋さんも表に出てくる


「どうしたんだい? あれ? 春実は?」


「・・・お母さんが・・・撃たれた・・・」


「何!?」


と秋さんは顔つきが変わるが

私はそんな変化には気がづかなかった


「私のせいで私のせいで私のせいで」


ひたすらに私はこの言葉を繰り返した


「お・・落ち着くんや! 深呼吸して・・・」


「はー・・・」


「落ち着いたかい?」


と秋さんは聞く


「はい・・・!ゆっくりしている暇じゃないんです!!お母さんが!お母様が!!」


「お・・・落ち着くんだ!!」


秋さんは言う


「まず・・・・話すんだ 春実がなぜその状況にあるのかを」


~説明中~


「・・・・・そうゆうことか・・・」


「お母さんが・・・・私のせいで・・・・私の・・・」


秋さんは私の肩に手を置く


「大丈夫だよ・・・春実なら・・・・ここにいたら君がさらに危ないね・・・安全な所に・・・」


「安全な・・・所なんてないですよ・・・・だって相手は四季波家ですから・・・」


と聞いた瞬間 秋さんは少し驚いていた


「四季波・・・・・あの財閥の?」


「はい・・・・」


「・・・・」


としばらく考え込み


「救急車呼びながら あの場所に行こう ゆいさん みっちゃんりっちゃん まきさん 松はここで待機 ロシャ 有沢は付いてきて・・・キーちゃんも」


と秋さんは幽霊にそう言った


「あの場所って?」


私は聞く


「うん 敵にしないかぎり絶対安全な場所だよ」


と秋さんはたしかにそう言った

外に出て 私は秋さんに付いていく

お母様に遭遇しないか心配だった・・・

夏鈴ちゃん 秋夜ちゃん 春梨ちゃん 藤堂さん 有戸宮さん 桜子さん 実さん・・・・

全員無事だろうか?

そう思ってしまう

そんなことを思っていれば


「ついたよ」


と秋さんの声が聞こえた

頭を上げて 見上げれば

病院だった


「ここが・・・?」


「うん ここ」


と秋さんは笑顔で言う


「四季波家ですよ!? 警察関連の病院だとしても・・・」


「違う 違う」


と秋さんはこう言った


「四季波家と同じぐらい大きい財閥がやっている 病院なんだよ」


と言ったのだ


~中~


病院・・・財閥・・・?

中に入ると 沢山の患者がいた


「あ 秋さん」


と一人の女の人が話しかけてきた


「やあ 紅葉(もみじ)さん 春実は?」


「集中治療室ですよ 紅(こう)さんがやってます」


「なら 安心だ」


「あ・・・あの・・・」


私は戸惑いを隠せなかった


「あなたが雪奈ちゃん? 春実さんから聞いてるわ 私紅葉って言うの」


「は・・・はい 夏宮・・・雪奈です」


「ここは 僕の弟がやっている病院でね 紅葉さんは弟の嫁さんなんだよ」


と秋さんが言う

その弟さんの名前が 紅ってことなのかな?

少しだけ分かった気がする・・・・・あれ?


「ここ財閥がやってるって言いましたよね?」


私はそう聞いた


「うん 聞いたことないかな? 松葉(まつは)家って」


・・・・聞いたことあるようなないような・・・・・


「・・・・あんまり記憶には・・・」


「松葉家はね 古くからいる財閥の一つなの」


と紅葉さんは言う

ってあれ? それなら


「秋さんって苗字冬島ですよね?」


「うん ちょっとした家系の事情で離婚しちゃってね 冬島は母方の性なんだよ」


へぇと私は頷く


「まぁ それでも親同士仲良かったし 生き別れみたいな状況にもなってないし こうやって知り合い受け入れることもないしね」


「紅!」


と奧から 紅と呼ばれた男の人が出てきた


「初めまして 雪奈ちゃん 松葉 紅といいます」


「な・・・夏宮 雪奈です!」



「紅・・・・春実は?」


秋さんは聞く


「急所は外れてたし 早めに処置が出来てたから大丈夫だよ ただいつもの状態になるまで時間はすごくかかるけど」


良かった・・・・本当に良かった

私はその安心感に その場で座り込んでしまった


「せ・・雪奈ちゃん!? 大丈夫!?」


秋さんはそう言って 手を差し出してきた


「だ・・・大丈夫です」


と秋さんの手をとって 私は立ち上がる


「会ってくる? 病室は・・・」


と紅さんはそう言って 案内してくれた


~病室~


病院のベットでお母さんは寝ていた

2~3個の機械に囲まれてお母さんは寝ていた


「まだ意識は戻ってないんだ さっきも言ったとおり急所外れてたから しばらくすれば意識戻ると思うけど・・・・それじゃ僕はもどるよ」


と紅さんは病室から出た


「・・・」


しばらく無言が続いた

鳴っているのは 機械の音だけ

しばらくして私は


「ごめん・・・なさい・・・・私の・・・せいで・・・」


そうつぶやいた

泣いてしまいそうだったけど 必死に堪えた

泣いてしまったら駄目だと思ったから


「・・・雪奈ちゃん・・・・春実を打った人達は誰なんだい? 君はずっと名前を言わなかったね」


「・・・・はい・・・全て話します・・・・」


そう私は全てを話す

全て・・・そう全てを


「お母さんを・・・いや私を殺そうとした人物・・・・それは『四季波家』」


ゆっくりと私はこう言った


「私の本名は 四季波・・・四季波 雪奈」


そして・・・


「私は現在四季波家当主 四季波 氷(しきなみ こおり)とその妻 四季波 凍子の一人娘なんです」


そしては私は語る

四季波家の長女 四季波 雪奈になってから

寒い雪の中 田舎の歩道の真ん中でお母さんに拾われ夏宮 雪奈となるまでの

長いようで短い物語を

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