第2話 日記

ぺらり。


と、適当なところをめくると、そこには。


##


8月16日


体育祭。

負けた。

あーあ、三年間全部優勝、目指してたのになー、残念。

まあ、足を引っ張ってたのは多分僕ですが。

リレーのバトンミスするとか、マジで漫画の運動音痴主人公だよねー。

あの瞬間、ほんと静まり返ったもん、消えたい。

・・・ええーと、来年、来年の夏は頑張ろう。


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うーんと、高校生だろうか?中学?・・・まさか、小学?字はキレイだ。

___これ以上めくっていいのだろうか。

心晴は逡巡した。

だが、好奇心に勝つことはできず。

ぺらぺらとめくっていき、最近の日付。


##


10月3日


やっと見つかった。

とても可愛い人で、なんだか躊躇ってしまうけれど。

気ぃつかわなきゃね。

でも、こんなにいい人もいるんだなぁと思った。

これを書き上げたら、また写真になってしまうのかと思うと、なんとなくつまらない。


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なんのことだか、わからなかった。

だがしかし、これ以上じろじろ見ているのも、なんだかなぁ、と思ったので、戻そうとし。

心晴のなかに、ほんの少しいたずら心が芽生えた。

ポケットから鉛筆を取り出し、10月3日_昨日で終わっていて、そして多分今日書くのであろうページを開く。

さらさらと走り書き。


『体育祭、ドンマイでしたね。来年こそは頑張ってください(●^o^●)』


「・・・これでよし、と」


にひひと笑う。

どこの誰のノートかはわからないけれど、いつか取りに来たときに、これを見てくれたら。

___まあ、あたしに何の利益があるわけじゃないんだけどさ。

そう一人ごち、心晴は家路をたどり始めた。


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