第66回にごたん参加 盆提灯
盆提灯(現代ドラマ短編)
第66回にごたん参加
お題:【アニメーション】【走馬燈】【トリック・オア・トリート】<かぼちゃ>
イベント「トリックオアトリート!!お菓子をくれなきゃ…?」参加用
居酒屋「
「ったく、はろいん、だあ?」
孫娘の美樹が曾孫の
「でもさ、なんか、アレだよ、あれ、あの、ほら、なんだか、テレビでなんだか、仮装してどうこうとかね、アレさ、アレ」
「アレじゃわかんねえんだよ」
俺もボケてるが松子も大概だ。
「なんかね、若い子が魔女? そうだよ、アレさ、悪い魔女の、ホラ、とんがり帽子の」
「魔女がどうしたんだい」
「その格好すんのさ、魔女の」
「なんで」
「アタシに聞かれても知らないよ」
「ああ、わあった、わあった。魔女な」
「そうだよ、魔女だよ」
「じゃあ、
「なんで箒なのさ」
「魔女ったら箒だろ。おめえもこの前テレビで見ただろ、なんだ、あの、漫画で魔法使いの女の子がパン屋で働いて荷物運んで」
「ああ……、ああ。アレ。アレ……、でも、なんで箒さ」
「箒にまたがって飛んでただろうが、なに見てたんだ」
「ああ……、それで箒」
「もういいよ。それで、他にはなんだ、なに飾りゃいいんだ」
「魔女なら、トンガリ帽子なんてどうさ」
「そんなのどこにあんだよ」
「昔アタシが被ってたでっかい帽子があるよ」
「あれは麦わら帽子だろ」
「似たようなもんじゃない」
「……、まあ、しょうがない。じゃ、帽子はそれだ。で、あとは」
「なんかね、提灯を飾るんだよ、そういえば。テレビで見たよ」
「提灯ってどんな」
「アレさ、ほら、あの、ホラ、盆提灯みたいな」
「おお、盆提灯か、それならどっかにあっただろ」
「どこにしまったかねえ。ずいぶん長いこと出してないから」
「納戸だろ」
「あ、盆提灯じゃないよ、違う違う。なんかぐるぐる廻る……」
「走馬灯?」
「違うわ、回らない」
「回るのか回らないのかどっちなんだよ」
「くり抜くのさ」
「くり抜く?」
「そう、なんか顔みたいにね、くり抜いて、中にろうそく立てるのさ」
「くり抜くって何を?」
「なんだったかねえ。
「食いもんか?」
「おっきいのさ」
「大きい」
「そうそう、それをね、ぶら下げて、子どもたちが」
「仮装して?」
「そうそう、そうだよ、そう」
「魔女の格好で?」
「そうそう」
「……、なんだかよくわかんねえが、わかった。魔女で提灯だな」
「そんな感じだわあ」
「おう。で、くり抜くのはなんだ?」
「……、
「この時期、西瓜はねえだろ」
「メロンとかどうだい」
「あんで俺に聞くんだよ、知らねえよ」
「魔女だけじゃないわ、
「急になんだよ。今度は骸骨だあ?」
「骸骨がね、喋るのよ」
「はあ?」
「お化けがね。そうそう、魔女だけじゃなくてお化けの格好して歩くのよ」
「……、魔女だかお化けだかの格好して提灯持って歩くんだな?」
「そうそう、お父さん、さすがだわあ」
「おいおい……、で、骸骨は?」
「この前、ラーメンスープ作るって買ってきた豚骨あったじゃない」
「おお、そりゃいいな。本物は喜ぶだろ」
「ラーメンスープはいつ作るのさ」
「……、そのうちだ。で、お化けはどうする?」
「白い布でもぶら下げておくかい?」
「しゃああんめえ。お化けはそれでいくか。おい、で、提灯はどうすんだ」
「店の提灯で勘弁してもらうかい?」
「なんかくり抜くんじゃなかったのかよ」
「そうだけどさ」
「もういい。……、いや、待てよ……。そうだ!」
昌次の目がキラリと光った。
◇ ◇ ◇
「トリック・オア・トリート!」
双子の梨里杏と芽亜里が、声を揃えながら樽昌の立て付けの悪い戸を開ける。ふたりの目の前に、目鼻口をくり抜いた
終わり
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