013

「……おい、テュリス! 仲のいい女だと映像は鮮明になるんだよな!?」


「うぃ、その通りやで。でも、旦那がその女を好きかどうかより、その女が旦那のことをどう思ってるかで決まるんやで」


「そうか、なら、アイツらならいけるかも……!」


 俺がガバッと身体を起こすと、妖精は「わぁ」と頬から転落して太ももの上でトランポリンのように跳ねた。


 そんなことは気にもとめずにバンダナに手をかけ、ズルリと装着する。


 パッ、と違和感なく視界が切り替わった。

 ビジュアルのあまりの差のなさに、俺は「おおっ」と目を見開く。


 さっきまで初代プレステ以下だった世界は、一気に百年進化したような超絶美麗に進化を遂げていたからだ。


 場所は、俺ん家の風呂場の脱衣所。

 ルナナのことを視たつもりだったが、バンビも一緒にいる。


 その臨場感は、PS4……いや、PS5?

 いやいや、そんなレベルじゃねぇ、こりゃもうホンモノじゃねぇか……!

 さっきとは大違いだ……!


 音もニオイもしっかりある……!

 これはもうVRなんかじゃねぇ……まるでその場にワープしたみてぇだ……!


「おっ、家族を『視た』んやな。

 さすが肉親ともなるとクッキリハッキリしとるなぁ。

 ホラホラ、肌とか見てみ、毛穴までバッチリやで」


 俺は言われるまでもなく、ルナナのけしからん巨乳に寄っていた。


 ちょうどブラウスを脱ごうとしてたようで、ボタンという名の抑圧を解放するたびにふるふると谷間を揺らしている。


 顔を埋めるようにして覗き込んでみた。

 『俺の三角コーナー』と、透き通った肌に走る青い血管までもが、ハッキリと見える……!


 しゅるりという衣擦れの音とともに、ブラウスを肩から外すルナナ。


 うまく脱げないのか「あん……」という鼻にかかったような甘え声。


 どうやら、一番下のボタンが外れてないようだ。

 それじゃ脱げるわけがねぇ。


 それでも気付かず「はぁん、ふぁぁん」と悶えている。


 苦しそうに身体をよじるのにあわせて、胸の谷間から肌の香りが立ち上った。


 鼻をくっつけるようにしていた俺はその色香をまともに吸い込んでしまって、クラクラしてしまう。


 やっ……ヤベぇ……! これ、ヤベえよ……!

 女の肌って、こんなにヤバいニオイがすんのかよ……!


 肉親じゃなかったら、もうヤバいところだった……!

 もし俺が犬だったら、嗅覚がヤバいことになってた……!


 もうヤバいって言葉しか思いつかねぇくらい、脳がやられちまったよ……!


 いったいどんな善行を積み重ねたら、身体からこんなにいいニオイがするようになるんだ……!?


 いや、それ以前の問題としか思えねぇ。

 いったい前世でどんな善行を積み重ねたら、女という生き物になれるんだ……!?


 ちょっとショックなほどに尊さを感じてしまった。

 聖母っていうのはこういうのをいうのかもしれない。


 思わず手を合わせたくなって胸の谷間から顔をあげると、違和感に気づいた。


「うわぁ、ふたりとも汁男優に囲まれたあとみたいになっとるやん」


 テュリスの言葉どおり、ルナナとバンビは粘ついた白い液体まみれになっていた。

 髪までべったりで、ポタポタと床に垂れ落ちるほどに。


 ルナナもバンビも口のまわりに液が垂れてくると、舌でぺろりと舐め取っていた。


 唇の隙間から出てくる舌は、獲物を捕まえる軟体動物のようにぬめぬめと動き、巣に引き込むように白濁液を口に運んでいた。


 飲み下すときに細い喉がこくりと動くのも、妙に艶めかしい。


 しかしふたりの顔つきは妖艶ではなく、している行為とは真逆のあどけない表情だったりするのがインパクト大。


 なにやら不穏で、淫靡な空気が漂っているような気がした。

 もしかしたら俺は……コイツらの本当の姿を知らないのかもしれない。


 改めて、匂い立つような液にまみれる姉妹の身体を眺めまわしてみる。

 まずルナナ。


 ゆるふわヘアーに絡みつく、ねばつく液。

 垂れ落ちては長い睫毛にかかり、目を開けていられないようだ。


 コンデンスミルクのような液が鼻先から糸を引き、唇に貼り付く。

 そして顎をつたって胸の谷間にぽたり、と着弾する。


 こいつはいつもゆったりした服を着ているのだが、脅威の胸囲はぜんぜん控えめになんかなっていない。


 そんな焼け石に水の状態で、さらにブラウスという名の拘束具を解き放った今……もはやその存在感は絶対的。

 ブラだけになった白い暴乳は、地響きとともに押し寄せてくる王蟲のような……見ているだけで押しつぶされそうなほどのド迫力。


 白いレースの布ごしにもわかる、たっぷりとした量感と、ふっくらとした柔軟さ。

 身体の動きにあわせて遠心力が働き、ゆっさゆっさと揺れ、ふるふると肌が震える。


 まるで別の生き物のように動いているので、ついギュッとわし掴みにして押さえつけたくなっちまった。


 ルナナの服ごしでない胸を、初めて目の当たりにするバンビは大はしゃぎだ。


「うわ、乳デカっ!? アイツがボスキャラやったら、絶対あの乳で攻撃してきよるで! そいで乳首が弱点でピカピカ光りよるんや!」


 ……ルナナ自身から聞いたことがある。


 慌てているときに名前を呼ばれて振り向いたら、真後ろにいた人を胸でおもいっきりひっぱたいたことがあるそうだ。

 それも何度も。


 まさしく攻撃だが、それをされて怒ったヤツはひとりもいないという。

 むしろ若返りの薬を授かったように、感謝されまくるという。


 金を払おうとしたヤツもいたらしい。受け取らなかったそうだが。


 ルナナが前かがみになると、その凶器のような突起が真下を向く。


 重みに耐えきれずブラが変形。

 育ちすぎた桃がフルーツキャップからはみ出すかのように、カップからこぼれ落ちそうになる。


 胸の向こうにある脚の間から、スカートがストンと落ちる。

 身体を起こすとブラとおそろいの白いレースのパンツがまる見え。


 まだ綺麗なところがあるぞ……! とばかりに、黄みがかった液体が襲いかかる。

 あっという間に染みをつくっていた。


 ねばつく汚液はそれだけにとどまらず、ムチムチの太ももをつぅーと伝っていく。

 まるでその全てを穢しつくそうとしているかのように。


 ……うーん、いやらしい。

 肉親じゃなかったら思わずティッシュを二枚ドローしているところだった。

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