Cルート Endingです。
”彼女の顔も変えない現状のままでいい”
なんでだろう…自分でもわからないが箱を引く瞬間、そんな事を考えていた。
『そうか』
『君の願い、叶えたよ』
願い?僕は願いなんて言ってないぞ
「願いなんて言ってないです。現状のままでいいって…」
『いや、君の願い、確かに叶えたよ』
え?
『1つだけ聞いていい?どうして現状のままでいいの?』
なんでだろう。僕にもなぜだかわからない
「わからないです」
質問に対する正直な気持ちを神様に伝えた。
それを聞いて神様は一言、
『GOOD良い回答だYO!』
その言葉を最後に僕は気を失った。
でも僕が気を失う瞬間、神様が笑ったように見えた。
「ん…うぅ…」
「ちょっとユウ君大丈夫!?」
気がついた時、僕はDIONの中にある休憩室にいた。
「ヒカリ…?」
「よかった…びっくりしたよ急に倒れるんだもん」
そうか…僕は夢をみていたんだな。
夢なんてすぐ忘れるものなのに、今でも鮮明に覚えてる。
変な夢だったな…フッ
「ユウ君何笑ってるの?本当に大丈夫?」
心配そうに僕を見つめるヒカリ
「あぁ、大丈夫。ありがとう。ちょっと変な夢みちゃってさ」
「夢?」
「うん、夢の中でさ、神様と会って、願いを1つだけ叶えてもらえることになってさ、それでブサイクな…」
「ブサイク?」
あっ…しまった。しまったしまったしまったああああ!!まずいまずいまずいいい!!おもわず口がすべっ…
「いや、違うんだヒカリ、ブサイクっていうのは家で飼っている犬のことであって、決してヒカリのことじゃなくてだな…」
あ、墓穴ほった。アッー
「ユウ君…」
やばい、激おこだ。これはまったなしのスーパー激おこぷんぷんタイムだ。
何かを悟ったように僕を見つめるヒカリ。
いや違うんだ!違うんだよ!これはだな…
「もういいよユウ君、わかってる。私の顔が可愛くないから、神様にお願いしようとしたんでしょ?」
「いや…ちがっ」
「いいよ。そんな無理しなくても。ユウ君、すぐ顔にでちゃうからわかっちゃうんだよ」
少し笑いを含みながら彼女は言う。
あれ?おこじゃない…?
「それにね、私もお願いしたんだ。神様に」
え?どういうこと?
「私の顔を可愛くするために整形したいですって。その為にお金が必要だからどうか宝くじが当たりますようにって」
そういうことだったのか…ヒカリの奴、やっぱり自分の顔の事気にしてたんだな…
「ヒカリ…」
「私ね、自分がブサイクだってこと知ってるよ。自分が一番よく知ってる。でもね、そんな私でも好きになってくれた人がいる。その人のために少しでもその人にふさわしい彼女でいようって思ったの」
「でもね、色々頑張ったけど自分の顔だけはどうにもならなかった。だからお金があれば整形して、それでやっとユウ君にふさわしい彼女になれるかもって。そう思ったんだ」
「それが私がこの神社に来た理由。笑っちゃうよね」
彼女はどこか寂しげに微笑みながら僕に言う。
笑えない、笑えるわけがない。
僕はバカだ、大バカ野郎だ。今までなんて事を考えていたんだ。僕は自分勝手に考えていた自分が恥ずかしく、許せないと思った。
「ごめん…そんなことを考えていたなんて」
「なんでユウ君が謝るの?別にユウ君に非はないよ?」
「いや………ごめん」
彼女に対して、本当に申し訳ないと思った。
彼女にふさわしい男になるために頑張らなきゃいけなかったのは自分の方。
やっと気づいたよ。ごめんなヒカリ。
「ユウ君?」
よし…!
「ヒカリ!!!僕、頑張るから!」
「え?なにが?」
僕の急な大きな声にキョトンとする彼女。
「いや、なんでもない。ただ一つ、ヒカリ!」
「うん?」
「整形なんかしないでほしい。僕はありのままのヒカリが好きなんだ」
なんでだろう、本当なら恥ずかしくて「好き」だなんて、なかなか言えないはずのに不思議と自分の気持ちを素直に言えた。
「え?」
突然の「好き」というワードにさらにキョトンとしながらも、だんだん頬が赤くなっていく彼女。
「もう一度言うよ。整形なんかしないでほしい、整形なんかしなくてもヒカリが好きだよ」
「ユウ君…」
その時の顔を真っ赤にして照れているヒカリは、天使のように本当に可愛く見えた。
あの時以来、僕は本当の意味で彼女を好きになった。
ブサイクでもいいじゃないか。僕の彼女は外見より中身が美人なんだ。
心が美しい。時折見せるなにげない仕草も可愛い。
誰にも渡したくない。彼女の全部が大好きなんだ。
そして僕たちは順調にデートを重ね、それから3年後の12月25日に僕は彼女にプロポーズした。
神様、ありがとう。あの一件があったからこそ、自分の未熟さに気づき、本気で彼女を愛するようになりました。おかげで、今は彼女といっしょに幸せに暮らしています。
『彼女との距離が15センチ…いや0センチになりました』
神様、本当にありがとう。僕はこの上ない幸せ者です。
完
僕の彼女はブサイクです 佐藤どさんこ @dosanko1115
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます