第2話 題名が思いつかなかったのでデートの話 その2です。

2017年5月3日、大型連休がやってきた。


2週間前の15回目のデートで、彼女が行きたいと言っていた場所に僕たちは来ていた。


「今日も暑いね。まだ夏じゃないのに。」


少しお肉のついた、でも白い綺麗な二の腕で汗をぬぐいながら彼女は言う。


確かに暑い。夏でもないのになんて暑さだ。でも今の僕はそれどころじゃなかった。

彼女から流れ落ちる汗…すっごくえっちだ!なめたい!なめたい!なめたい!

汗フェチかもしれん…って変態か!僕は!いや、男はみんな変態なんだ。こんなことを考える奴はきっと僕だけじゃないはず!でもいいんだ、口に出してないから。脳内だけだから。もし、口にだしてしまったら人生終わる。 でも女の子の汗いいなぁ…


そんなことを考えていると


「どうしたの?顔赤いよ?」


と彼女が僕の顔を覗きこんできた。


「そ…そう?暑いからだよ。ほら僕って暑さに弱いじゃん?」


暑さよりも、自分の妄想で赤くなったなんて死んでもいえない。

やっぱり女の子の汗って魅力を感じる…なんでだろう。


読み手の皆様はどうだろうか。特に男性の方。女の子の汗に魅力感じない?

というか、僕って世の中ではかなり変態な方なんじゃないか…。いや気のせいだ!気のせい気のせい…っと。


そんな僕を見て、彼女はクスっと笑っていた。  

それもまたドキっとする。


「と、とにかくいこうか。」


「あ、うん」


ひとまず鳥居をくぐると、そこは不思議なことに、雑音などが一切なく、心が安らぐような気持ちのいい空間に包まれていた。僕の欲望まみれの汚い心が浄化されていくようなそんな感覚があった。

神社って本当に善のエネルギーが満ちる場所なのかもしれない。


「綺麗な場所だね。心が落ち着く。こういうの好き」


彼女は、空を見上げながら僕に言った。


「うん。浄化されていくよ」


「浄化?」


「ファッ?!い…いやなんでもない!忘れて」


いかんいかんつい口に出してしまった。気をつけねば。


「う…うん、まあいいけどそろそろ本殿に行こうよ」


少し不思議そうにしていたが、彼女は何も聞かなかった。


「そ…そうだね あ、そういえばヒカリは何をお願いするの?」


「もちろん宝くじが当たりますように。だよ」


どうしてそこまでして宝くじを当てたいんだ。

お金なら僕より持ってるはずなのに。


2人で鈴をならし、100円をいれて手を合わせる。


パンパンッ!


「……」


(今年も健康でいられますように)

……

(彼女がブサイクじゃなければなぁ…)

……

……はっ!お祈り中に僕は何を考えてるんだ。まったく


皆様もこんなことはないだろうか。お祈り中になんとなく別のことを考えることって。…僕だけ?


もう一回やり直しだ。


パンパンッ!


(今年も怪我、病気なく健康でいられますように…ブサイク)


ブボボッなに言ってんだ僕は。ブサイクというワードから離れろ。

健康健康健康健康…ぶつぶつつぶやいていると、


『素直になろうYO!』


…え?

今の声はなんだ


『…』


…気のせいか。

くそっ、もういっかいだ。神様ごめんなさい、3回もお祈りやり直す奴って僕だけですよね泣


パンパンッ!


「今年も健康でいられますように」

…それと少し、いやほんの少しでいい。


「彼女が可愛くなりますように」

「彼女が可愛くなりますように」

「彼女が可愛くなりますように」


そりゃこの願いが叶わないことなんてわかりきっている。ただ、神様に自分の願望くらい話したっていいじゃないか。


『その願い叶えてあげるYO!』


え…誰?


「ユウ君…ねぇユウ君ってば」


「へ?あぁ…なに?」

九官鳥のような変な声を出してしまった。恥ずかしい

どうやら彼女に気づかないほど強く念じていたみたいだ。


「ユウ君ってばすっごい形相でお祈りしてるんだもの。そんなに大事なお願いだったの?」


「え、まぁね…ヒカリの方はやっぱ宝くじが当選しますようにってお祈りしたの?」


「うん、そうだよ。それともう一つ」


もう一つ?なんだろう。痩せたいとかか?十分スタイルいいけどね


「ユウ君とずっといっしょにいられますようにって」


っ…こいつ…


「バ…バカッ!そろそろ帰るぞ」


と、後ろを向いた瞬間、


「まって、ユウ君」


と、彼女が僕を引き止めてきた。


「わたしね、もう一つ行ってみたい場所があるの。」


もう一つ行ってみたい場所?なんだろう?


「うん。この近くにDIONっていうショッピングモールがあるの。その中にね、宝くじ売り場があるんだ」


ふーんなんだか予想がついて来たぞ。


「で、その宝くじ売り場っていうのがね、神社を参拝したあとに宝くじを買うとよく高額当選が当たるんだって。実際にネットでも有名になってたし。わたしもそこへ行って宝くじを買いたいの。いい?」


「まあ、別にいいけど。時間あるし」


「やった!ありがとユウ君」


正直けっこう疲れていたが、ヒカリのうれしそうな顔を見るとなぜだか断れなかった。そもそも僕は女の子に何か頼みごとをされると断れない性分だ。欲望には忠実だが。


そして僕たちはDIONへ向かうのだった。



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