全て運、たまたまうまくいっている

東京には多少憧れるけれど上京というイベントを経なくても別に土日で原宿に遊びに行ける距離で産まれた。

小学校はいじめもあったし不登校にもなりかけたが、在学中に知っている限り自殺者は出なかった。

持ち回りでヤンキーを排出する公立中学校において、たまたま屈強な体育教師がいるタイミングで入学したので授業はきちんと受けられた。おかげで塾に通うのは中学3年生の夏期講習からで済んで、無事に偏差値そこそこの公立高校に進学ができた。

国立大学に進学できる学力はなかったけど、中高が公立だったこともあり、奨学金を借りずに親が私立大学の学費を4年間出してくれた。

残念ながら特技も才能も秀でたものは無かったし、人に勝るほどの熱量で努力したこともなかったので、いわゆる一流企業には就職できなかったが、たまたま受かった零細企業に入社したら、社長が代替わりして1年後に上場した。

興味本位で参加したタワーマンションの飲み会に大手企業の総務部長が居て、日本株に造詣が深かったため、自分が在籍している企業の勢いを知っていた。その会社の新卒なら営業力もありそうだしうちで働きなよと推薦を受けた。たまたまその男は、推薦を理由にセクハラをするような男ではなかったため何の対価も支払わず、転職をすることができた。

転職した1年目に前任者が残した大きな案件が決まり、それをきっかけに質の良い仕事が集まるようになった。

パートナー企業で働く出世頭の男と出会い、結婚した。その男はたまたまDVもせず浮気もせずギャンブルもしなかった。

たまたまお互いに不妊ではなく、子供も健康に産まれ、多少の喧嘩やいじめもあったが親から見た限りでは順調に育っている。


全て運良く、たまたまうまくいっている。一つでも歯車がずれていれば、自分には修復できる能力も才能もなかった。

やりきれないので、たまに少額の寄付をして心の平穏を買っている。

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