11.それぞれの役割 『少女が諭す、やってから考えろ』

長く暗い階段を、森野達は登っていた。

エリスとハノンはもちろん、結局もと居た二人も付いてくることになった。

辺りは静かであった。しかし、時折遠くから爆発音のような音が聞こえる。

どうやら檻は地下にあったようだ。どのくらい深い所にあったかは知らないが、もと居た場所まで戻るのには一苦労しそうである。

「エリスちゃん、探査術はまだ使えない?」

森野は後ろから付いてくるエリスに問いかける。

「……まだ、仙機術が使える様子は無いです。たぶんそれは、どんな種類の術でも同じかと……」

「そうね……。ハノンちゃんはどう?」

「私も変わらないじゃん」

「まあ、そうか」

仙機術自体が使えないのだ。どんな使い手がいようと、ここでは無力化されてしまう。

ここから脱出できれば仙機術は使えるのだ。まずはここを登り切るしかない。

だが……、そのあとはどうすれば良い。

三人でかかっても、サリーヌの操る旧文明の遺産を相手には出来ない。

もっと戦力があれば話は変わってくるとは思うのだが……。

「いやぁ、あそこから出るのはいつぶりかなぁ」

「……ねえ、ここどこ?」

どこか呑気な男と怯えるイズミコ。

この二人では、戦力にならない。

(このまま、仙機術が使える範囲まで進んだら、脱出に専念するのが一番?)

実際、今出来そうなことはそれである。外の通信も出来るようになれば、ヤマノ教師に助けを求めることもできるだろう。

だが、森野は首を横に振る。

(アレをこのまま放置して助けを待つのは、リスクが高すぎる)

間違いなく、森野たちを落とした時あれは起動していた。既に動く準備は万全だったのだろう。起動のきっかけは……、悔しい事に森野たちが仙気を使ったりした事のようだった。

このまま放っておけば、今次の瞬間でも人類に牙をむくかもしれない。これを放置するのは、やはり問題がある。

そこまで考えて、森野は頭を抱える。

本来ならば自分には守る存在がいて、こんな所で倒れるわけにはいかない。

だから、極力無理な戦いは避けたいのだが……。

(……厳密に言えば、三人がかりで対抗できない訳じゃない。三人がかりだったから対応できなかった)

森野には得意な戦い方がある。幼いころから経験したある事情から、『一人で生き残る事』に関しては、ずば抜けて成功率が高い。

(……私一人なら……多分どうにかできるかもしれない)

先ほどの場面だってハノンやエリスが近くに倒れていなかったら、まだ縦横無尽に動けたのだ。だがあの場面では人質を取られたり、味方が攻撃の巻き添えを食らう可能性があった。それを懸念した森野は、いたしかたなく降参したのであった。

(でも、二手に分かれるってことは、純粋に前線で戦える私がいなくなるということ。みんな無事に脱出できるの?)

この疑問ばかりは、答えは出ていた。

ハノンとエリスのみならばそれは可能。

だが、戦う気力の無い男とイズミコが入ると、おそらく足手まといになる。

(といってもこの男は、なんとなく生き延びることはできそう。……最大の問題はイズミコちゃんか)

なにせ記憶が無いことが原因か、多くの事に怯えている。こんな状態では、事あるごとに足がすくんで動けなくなるであろう。

なんとか、せめて自分で動くほどの気力を沸かせることは出来ないものだろうか……。

「……ねえ、イズミコちゃん。あなた、本当に何も思い出せないの?」

森野は、再度イズミコに問いかけた。

しかしこの質問は、もう何度も繰り返されたことであった。

イズミコはビクリと体を震わせて、カタカタと震えながら答える。

「解らない……解らないの」

「なんでも良いの。何か思い出せることは無いの?」

「私、なんでこんな所に居るの? なんでここを出ようとしているの?」

「あなたは……ついさっきまで、大きな目標を持っていたはずなの。大きな願いをかなえようと躍起になっていたはずなの。それが、あなたがここに居る理由よ」

「わたし、何をしようとしていたの? 解らない、解らないよぉ」

森野はため息をつく。やはり、同じことの繰り返しのようだ。

だが、無理のないことかもしれない。何か大きな目標に対して動いていた人間から、その目標を取り上げたとしたら……。無気力になってしまうし、動けなくなってしまうだろう。

……いや、下手すれば生きる意欲さえ……。

と、そこで不意にハノンがイズミコに詰め寄った。

「ねえ、ここを出る意味も解らないん?」

「……え?」

困惑するイズミコ。だがハノンハ続ける。

「じゃあ、あの檻に居て意味があるん?」

「私には解らな……」

「ううん、解るじゃん。普通に考えれば、あそこでじっとしている意味なんて無いじゃん」

「…………」

うつむくイズミコ。だが、ハノンは逃げるイズミコの視線に、食らいつくように顔の位置を下げる。

「イズミコ、生きてるじゃん。生きている人間が、あんなところでずっと何もせず、のうのうと過ごすことなんてあり得ないじゃん」

「……いやぁ、耳が痛いなぁ。僕は二年間あそこだったからねぇ」

余計なヤジを飛ばした男をキッと睨むと、ハノンは話を続ける。

「生きる目的が無い。何かをする意味が解らない。……そんなの、みんな元々持っている謎じゃん。その謎は、あんなところに居たって解らないんよ。動かないと、解らない。ううん、解らなくても動く。迷って迷ってそれでも動くから、人は何かのために行動を起こす理由を見つけられるんじゃん?」

森野とエリスは顔を見合わせる。いつも子供っぽいハノンが、随分と説得力のある話をしている。いったい、何があったというのか。

だが、その言葉にも、イズミコは怯えた表情で答える。

「……違う。私は何か目標があったはずなの。……なのに、それが全部わからない。そんな状況で動いていいの? 動いて、持っていたはずの目標とは逆の方に進んでしまったら、どうするの? 取り返しのつかない事になったら……」

そんなハノンが、イズミコの肩をガシリとつかんだ。

「キャっ!!」

ビクリと怯えるイズミコ。だが、ハノンはゆっくりと息を吐いて答えた。

「そんときゃ、私が助けてやるじゃん」

「……え?」

イズミコは目を見開いた。

「いや、私なんて出る幕じゃないかもしれないじゃん。イズミコを助けてくれる人なんて、きっといくらでもいる。……私は一人知っている。イズミコを助けるだろう人を、一人確実に知っている。間違ったことをしちゃったり、しようとしたり、そんなイズミコを止めようとする人物はちゃんといるんじゃん」

「……そんな人が居るの?」

「保障するじゃん。あたしが知る上で、きっと迷いを断ち切れる天才じゃん。だからきっと、あいつならイズミコの迷いを消し去ってくれるじゃん」

「……でも、本当に解らない」

だが、その『解らない』には、先ほどよりもどこか聞く耳があった。

だから、ハノンは言った。

「きっと、あいつならこう言う。『やってから考えろ』ってね」

そのセリフに、森野とエリスは噴出した。

「あっはっは、そりゃ最近のあの子が言いそうなセリフねぇ」

「……全く、ハノンさんは私たちの中では、一番彼女のことを理解してる気がします」

その言葉に、ハノンは赤面する。

「ば、馬鹿じゃん!! 私がそんなに理解してるわけ無いじゃん!!」

慌てるハノン。そのハノンをじっと見つめ、イズミコは考える。

本当に解らなかった。

なんで自分がここに居るのか、何をしようとしていたのか、なんでここから移動しているのかさえ、イズミコには解らなかった。

だが、目の前の彼女は言った。彼女の知る人物はそう答えるだろうと言った

『やってから考えろ』

無茶苦茶である。そのあとの結果が心配だからこそ、今考えてしまうのだ。

だから行動に移せないのだ。

問題をすっ飛ばした、無理やりな理論だ。

だが、同時に言ってくれた。

『その時は私が助けてやる』

『イズミコを止める人はちゃんといる』

良いのだろうか、こんな訳のわからない自分が、そんな人たちの助けを借りていいのだろうか?

良いわけがない。迷惑なんて掛けられない。きっと自分がやることなんて、大勢が迷惑する所業だ。そんな気がする。

そんな事は出来ない。そんなことに甘えてはいけない。

なのに……。

不意に、男が気付いた。

「なんだイズミコ。泣いているのか?」

イズミコが頬に手を当てると、水滴が流れていた事に気づく。

それは、イズミコ自身も理解していた。

とても安心してしまったのだ。

その言葉に甘えられる事実に、自分が動いて良い事実に安心してしまったのだ。

「……ねえ、私にお姉さんがいるの?」

イズミコは男に尋ねる。

「そうだね、君はすっかり忘れてしまったようだけど、君にはお姉さんが居たねぇ」

「……うん。全然覚えていない」

だが、周りの会話から察するに、イズミコもその姉のことを中心に忘れているであろうことは理解できた。

つまり、忘れてしまったはずの彼女の生きる目標や願いは、きっとその姉が知っているはずである。

……正しいか、正しくないか。イズミコにはやはり判らなかった。だが彼女があえて今自分がやらなくちゃいけないとなると、おそらく、これ以外の他には無い。

「……すみません。私、姉に会いたい」

その言葉に、ハノンとエリスは固まった。

そもそも、この少女は今回の件に関しての実行犯である。

そんなイズミコを、果たして主犯のサリーヌに会わせて良いものか……。

目的を持ってくれたのは構わないのだが、……いささか危険な事柄のようにも思えた。

だが、森野はニコリと笑う。

「良いんじゃない? それがあなたがここから動く原動力になるのなら」

「で、でも森野先輩!!」

慌てて口をはさむエリスに、森野は笑いながら答える。

「大丈夫よ。こんなふうに記憶を消すようなことをしてるって事は、サリーヌもイズミコをこれ以上使おうとは考えて居なかったってことじゃない。今さらサリーヌのもとにこの子を向かわせたからって、こちらが不利になることは無いわ」

「……まあ、そうかもしれませんが……」

「だけど、イズミコちゃん。あなたのお姉さんはかなり危険な人よ? それでも会いに行く?」

その言葉に、不安な表情を浮かべるイズミコ。

だがしかし、彼女は深くしっかりとした頷きを見せた。

「会ってみる。そして、そのあとに考るわ!!」

その言葉に、森野は目を細めて満足げに笑った。

なんにせよ、イズミコが自分の意思で動いてくれるのなら、ずっと作戦を立てやすくなる。

「エリスちゃん、ハノンちゃん。とりあえず、仙機術が使えるようになったら、すぐに行動に移すわよ」

「何か作戦があるのですか?」

「二人はこのおじさんと一緒に、脱出を試みて。で、通信がつながったら、すぐにヤマノ先生に事態を報告。指示を仰いで」

「森野先輩は、どうするのですか?」

「私は、イズミコをお姉さんの居るであろう場所まで案内するわ。さっきの部屋なら、おそらくたどり着けるし」

「……ですが、一人で大丈夫なのですか?」

「んー、そうねぇ」

エリスの問いかけに、森野はクスリと笑う。

「私も最近負け続きだからねぇ。ここらで少し大暴れさせてもらうわ」

その瞳は、深く静かな、それでいて激しい光を帯びていた。





「うりゃああああああああああああああああ!!」

「はああああああああああああああああああ!!」

高速で八方から攻撃を繰り広げるスカイライン。真正面から特攻するイースフォウ。二人の戦法はお互いの長所をカヴァーしあう、見事なものであった。

しかし対するサリーヌは、その両手に持つ『四風』を操り、圧倒的な攻撃力で二人を苦しめていた。

「ふふふ、すごいですわねお二人とも。ただの部品とはいえ、旧文明の遺産の技術で作られたこの『四風』。それを二つも使用しているのに、全然落ちないんですもの」

しかし、イースフォウもスカイラインも、ぎりぎりの戦いをしている。

数でいえば、『四風』が大量に壁に埋め込まれていた先ほどの部屋の方がすさまじかった。この部屋は黒クロとヒールの保管のこともあるのか、先ほどの部屋のようにはなっていなかった。しかしイースフォウとスカイラインは、むしろ部屋での先ほどの戦闘よりも苦戦している。

スカイラインは先ほどの戦いとの違いを考える。前の部屋のものは自動的に動いていた。あれはおそらく、ある程度のプログラムによって動かされていたはずだ。故にパターンも解りやすく、避けやすかった。

しかしサリーヌという使い手があの杖を持つことにより、その機械的なパターンが無くなった。臨機応変に彼女が動いて、避けにくい攻撃してくる。

加えて、サリーヌは戦い慣れている。服装からどうやら仙機術使い。下手すると、軍人くらいにはなっていたのかもしれない。イースフォウやスカイライン以上に、戦いが上手いのだ。

これは、2対1のハンデでは足りないかもしれない。いや、かもしれないというよりは確実に足りない。スカイラインもイースフォウも、抜群のコンビネーションで攻撃を続けるが、全く致命傷を与えられずにいる。

(まったく。さっきラインは、こんな人と一対一で戦っていたの?)

イースフォウは改めて感服した。おそらく、自分一人ではあんなに時間は稼げなかっただろうと思った。

(でも、なにか策を練らないと、勝てない)

策。しかし、イースフォウもスカイラインも、連戦が祟って残る手札も少なかった。

(私は充伝器も無いし、ラインも仙気がそろそろ限界。長引かせても、この戦いは不利になる一方だ)

伝機を振りながら、イースフォウはちらりとスカイラインを見る。

どうやら彼女も同じようなことを考えていたようである。イースフォウにも解る程度には焦りの表情が見て取れた。

もはや、今にでも仕掛けなければならない。

やることと言ったら、単純な話である。自分たちの持つ最高の必殺技を、相手にぶつけるしかない。

イースフォウとスカイラインの視線が交わる。お互いにコクリと頷きあった。

(良く考えるんだ。ラインが逆流を当てやすい状況を作るには……)

スカイラインの最高の技は、今のところ刹那の逆流であろう。

だが、あの技は速度は速いが直線的なところがある。

より効果的にぶつけるとしたら、相手の動きが止まった一瞬である。

その一瞬を作るとしたら……。

「Please protect me!! 石の剣!!」

イースフォウには、一つの手しか思い浮かばなかった。

「四風よ!!」

風の渦が、イースフォウに迫る。仙機術等到底及ばないような、強大な力。

だがあえて、あえてイースフォウはそれを受け止めた。

「っぐ、ぐうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「あらあら、ついに逃げる事が出来なくなったのですか?」

サリーヌは笑いながら風の力を強める。

だが、それで良かったのだ。

攻撃に集中する時こそ、わずかな隙が生まれたのだ。

その一瞬は本当にわずかだったが、スカイラインの刹那の逆流なら飛び込むことができたのだ。

「良いのよ。そもそもヴァルリッツァーの仙機術は、受けることに意味があるんだから」

「何ですの!?」

サリーヌは、不意に懐に出現したスカイラインに驚愕する。

「食らえ!! これが逆流だぁああああああああああああああ!!」

一気に暴走した仙気を解放する、その攻撃は、一気にサリーヌに襲いかかって……。

「……ふふ、おしかったですわね」

容易く避けられてしまった。

「っくぅ!!」

轟音。しかし、その攻撃は、むなしく空を切り裂いただけであった。

スカイラインは舌打ちをする。

四風から放たれた風が推進力となり、サリーヌは瞬間的にその場から脱出できたのだ。

速さも刹那には及ばないにせよ、それはまさに、彼女の扱う刹那と同じ理論の移動法……。

「ふ、ふざけんじゃないわよ!!」

歯ぎしりするスカイライン。彼女の最高の技が、彼女の戦法とと同じような方法で避けられてしまったのだ。

悔しくて狂い死にしそうであった。

「ふふふ、じゃあ、そろそろ墜ちなさい」

スカイラインは覚悟を決める。仕留められなかったのだ。せっかくイースフォウが作ったチャンスを、不意にしてしまったのだ。

仕方がない、甘んじよう。スカイラインの負けであるのだ。

「私の負けよ、やっちゃって」

「ふふふ、じゃあお言葉に甘えて」

次の瞬間だった。

グキョリと、サリーヌの胴に衝撃が走った。

「カハッ!!」

サリーヌの口から愚痴が漏れた。

「まったく。私でトドメを刺せれると思ったんだけどねぇ。あなたに任せちゃったわ、イース」

「ええ、まかせて大丈夫だったでしょ」

サリーヌは自分の胴に食い込むソレを確認した。

「……な、……伝……機?」

それは先ほどまでイースフォウが持っていたはずの伝機だった。

「相変わらず、伝機を投げるなんて、無茶苦茶だわ」

「へへ、良いじゃない。当たったんだから」

そのまま、サリーヌは大地に沈む。

クリーンヒットだった。その威力は、以前受け止めたことのあるスカイラインも良く知っていた。

とりあえず、サリーヌはほぼ間違いなくこ動けない。

「っつぅ!!」

スカイラインも、その場に足をつく。

「だ、大丈夫ライン」

「……少し仙気を使いすぎただけよ。そういうあなたも、さっきから動けてないじゃない」

「……いやぁ、さっきの攻撃が思った以上にきつくって。ちょっと腰がぬけちゃってるのよ」

満身創痍。だがそれでも、二人はサリーヌに打ち勝ったのだ。

「……今そっちに行くわ、イース」

「ごめん、ライン」

「大丈夫よ、……待ってて」

ゆっくりと、スカイラインが立ちあがる。体がふらふらするが、それでも何とか歩けそうだった。

しかし、それでも彼女は少し辛さを感じた。欲を言えば、誰かに肩を借りたいくらいだ。

「手伝ってあげますわよ?」

不意に、スカイラインの背後から声が跳んできた。

「ライン!! 避けて!!」

イースフォウの叫び声が聞こえる。

しかし、殆どそれと同時に、背中に衝撃を受けた。

「グハッ!!」

スカイラインは一瞬息が出来なくなる。そしてイースフォウのもとまで吹っ飛ばされた。

ドカンと、二人は衝突する。

「ら、ライン。大丈夫!!」

「ゴホッ!! カハッ!! ゴホッ!!」

咳をしながら。涙目でスカイラインは自分を吹っ飛ばした人物を確認する。

確認するまでもない。そこには、サリーヌが立っていた。

「危ないわぁ。危うく、倒されちゃうところだったわ」

言葉はまだ穏やかであった。しかし流石に今回は、その顔は完全に怒りに歪んでいた。

「少しだけ、攻撃力が低かったのですわ。おかげで気を失わずに済んだのですわ」

もう、流石の二人も動けなかった。

立ち上がれない。これ以上戦えない。

自分たちの最後の手も、相手に通用しなかったのだから……。

「……あら、戦意喪失ってことですか? まだまだ私は楽しめそうでしたのに……」

そんなこと言っても、もうすでに二人に残された手はほとんど無いのだ。気力ももう沸き上がらない。仙気など、練ることができるわけがない。

スカイラインは殆どの仙気を絞り出してしまい、イースフォウは使用していた伝機が手元に無いのだ。

他に何をすることもできず、二人は互いを抱き合った。

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