テーマと裏話【ネタバレ】
◆第二部「魔王の手紙」のテーマ
第二部のテーマ・キーワードは「青い鳥」「手紙」「悲恋」「伝説と真実」です。
また、もう一つの軸・モチーフとして「童話」を絡めています。
ここでは各テーマについて語っていきます。
◆手紙・魔王の手紙
この物語の重要なテーマの一つであり、サブタイトルにもなっている「手紙」。
「魔王の手紙」とは、冒頭でヴァイスの元に届いた魔王討伐依頼の手紙のことでもあり、さらには国王シュバルツ一世から魔女ブランシェに送られた「懺悔の手紙」のことでもあります。
始まりは、一通の手紙だった。
――終わりもまた、一通の手紙だった。
それがこの物語のテーマとなっています。
第二部の冒頭で届いた手紙について「
◆青い鳥
ヴァイスの元に始まりの手紙を運んで来た青い鳥。
そして最後に空へと飛び立っていった青い鳥。
「青」はヴァイスの象徴・イメージカラーでもあります。第二部の中でヴァイスは仲間との絆を見直しながら彼なりに成長していきます。そして物語の最後に、彼の心は新たな冒険に向けて再び飛び立って行きました。
◆悲恋
「種族を超えた叶わぬ恋」「寿命の違い」というテーマも、第二部では繰り返し描いています。
人魚の伝説。人魚と人間の王子との恋。
カッツェ→リエーヴルへの恋心。
アリーセ→カッツェへの恋心。
魔女ブランシェからシュバルツ一世への恋心。
シュバルツ一世から魔女ブランシェへの愛情。
どれも最終的には悲しい結末を迎えてしまいますが、バッドエンドは好きじゃないので、悲しいだけで終わるわけではない――「相手の幸せを想う気持ちこそが大事」というようなテーマで描きました。
◆伝説と真実
第二部において(第一部でもそうですが)、「伝説」というものは当てにならないものの象徴となっています。
「人魚の伝説」――人魚は儚く美しい存在かと思っていたが、意外と野蛮な性格の生き物だった。
「魔王の伝説」――世界を恐怖に陥れた魔王はおらず、本当は心優しい白魔導師だった。
噂には尾ひれがつき、長い時間の経過とともに、いつの間にか真実とは全く異なる「伝説」が出来上がって語り継がれてしまうというようなことを象徴しています。
多くの人によって語り継がれる伝説が、真実とは限らない。
「幻術の森」で幻影と戦ったのもそうですが、「曇りのない眼で真実を見極めよ」という感じでしょうか……。
◆先入観と思い込み・対称性と共通項
事前に抱く「魔王」のイメージと、「魔女の真実の姿」は対照的な存在として描きました。
「魔王」と聞いて思い浮かべるのは「男性・恐怖・暴力・悪」というイメージではないでしょうか。(男性が悪だと言っているのではありませんよ)
しかし真実の姿は「女性・治癒・平和・善」という真逆の性質をもつものでした。(女性が善だと言っているのでもありませんよ)
「伝説と真実」についてもそうですが、思い込みとは真逆なものを表したかったのです。
また、それに対して「ヴァイス」と「魔女ブランシェ」には共通項があります。
「王宮に仕える白魔導師」「長寿なエルフ族」「東の王都に住んでいたが、そこを離れた」。
長寿なエルフ族として、短命な他種族との永久の別れを悲しむ宿命。
ヴァイスが道中で感じていた憂いは、森で孤独に過ごしていた魔女ブランシェの悲しみとも重なります。
第二部はヴァイス自身の心の内を振り返る旅でもありました。
◆ラスボス戦・バトルについて
ごめんなさい。今回もやっぱりラスボス戦(魔王との闘い)というものはありませんでした。
でもアース・ドラゴンやグリフィンとの闘いで五人とも大分頑張ったのと、結界解除と幻術破りでヴァイスの見せ場も作れたので、良かったのかなと思っています。
第二部は白魔導師のヴァイスを主役に据えたのですが、彼は平和主義者なのでヴァイスが留めを刺すシーンというのはどうしても作りにくいのです。その代わりとして、謎解きというかヴァイスの機転で問題を解決していくというスタイルを入れています。
私は戦闘描写が苦手でうまく書けないのですが、第一部よりも若干頑張って戦闘を増やしました。ジュエルスライム・アースドラゴン・グリフィンと、中ボスが三体出てきます。
続く第三部でも引き続き、うんうんと唸りながら戦闘描写を入れております。
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