第二部の誕生秘話【ネタバレ】

 ここでは、第二部「魔王の手紙」の誕生裏話を書いていきます。

※第一部および第二部のネタバレになりますので、未読の方はご注意ください!※


* * * *


 実は、第一部「はじまりの詩」が、「ラスボスがいなかった!」「ラスボス戦がなかった!」という衝撃の終わり方をしたので、作者の私も若干不完全燃焼な部分がありました。

 それに「小人族ドワーフ」や「獣人鳥族ハーピー」、「世界樹」などの設定も頭の中では考えていたのに第一部で描き切れなかったこと、「ファンタジーな100のお題」で消化しきれなかったキーワードが残っていたことから、五人をもう一度新たな冒険に旅立たせて残りのアイディアを全部書き切ろうと思ったのでした。


◆前提:架空の世界地図

 あの世界の地理ですが、現実世界の世界地図を縮小したものをイメージしています。(次に示す例は位置関係を説明するためのもので、物語内の縮尺はだいぶ違います)

 第一部では〈北の村〉=ロシア辺りからずっと南下していって、〈南方諸島〉はインドネシアやフィリピンの辺りにあります。〈竜の巣〉は南半球、オーストラリアの辺りのイメージ。

 第二部では先ほどの〈南方諸島〉から東大陸の中部=メキシコ辺りに飛空艇で飛び、〈東の王都〉=カナダに向かって北上します。〈浮島〉は太平洋のど真ん中、ハワイの辺りです。また位置的にはアメリカのど真ん中に〈世界樹〉を含む〈密林ジャングル〉があります。ちなみに密林ジャングルはアマゾンをイメージしています。(人魚の棲む大きな川=アマゾン川)


* * * *


 さて、話は戻り。どんな風に第二部の設定が出来上がっていったかを振り返ってみます。先にも書きました通り、「ファンタジーな100のお題」を見ながら話を考えました。以下は、作者の脳内思考です。


(作者脳内)

「第一部では西大陸を北から南に制覇したから、今度は隣の大陸を北から南に北上するか……」

「第一部終了時点で五人は〈南方諸島〉にいるから、その続きの第二部は、地球の反対側にあたる東大陸の北側〈東の王都〉に向かおう」


(ファンタジーな100のお題「エルフ」「故郷」を見て)

「東の王都はヴァイスの出身地だから、ヴァイスを主役にしよう!」

「第一部がノエル最強(?)と五人の出会いの物語だったから、第二部はヴァイス最強の物語、もし続くなら第三部・第四部・第五部でレイア・カノア・カッツェの物語をそれぞれ書こう」


(ファンタジーな100のお題「勇者と魔王」を見て)

「ラスボスは〈魔王〉にしよう」

「攻撃魔法が苦手な白魔導師のヴァイスを、ラスボス戦で活躍させるにはどうすればいいか……」

(ファンタジーな100のお題「凍った森」「結界」を見て)

「幻術とバリア! ヴァイスでなければこれを解除できなかったということにしよう」


「さて。ラスボスの魔王を魔王を倒すだけではつまらない。何かどんでん返しを入れないと……」

(ファンタジーな100のお題「魔法使い」を見て)

「”魔王”は魔物じゃなくて人間。”邪悪な魔法使い”だな」

「さらにその正体は、男じゃなくて女。”魔女”だったということにしよう」

「しかも”白魔導師”。本当は善い人だったというオチにしよう」


「第二部の冒頭はどうしようかな……」

(ファンタジーな100のお題「手紙」を見て)

「『はじまりは、一通の手紙だった』――お、これいいね!」

「じゃあそれと対になる物語のオチは? 『終わりもまた、一通の手紙だった』かな」


「物語の結末になる手紙とは、どんなものだろう?」

(ファンタジーな100のお題から「滲んだインク」「罪の記録」「審判の日」

を見て)

「魔女が魔王と呼ばれるようになった背景には、一通の手紙があった。この手紙によって真実=罪の記録が明らかになり、審判にかけられるんだな」


 こうして、第二部の物語の大筋ができました。


「さて、他に消化できそうなお題は何かな?」

「”大きな樹”……世界樹だな」

「”花束、宝石、花売りの娘、真珠1粒”……カッツェとアリーセのお話」

「”吟遊詩人、歌姫、人魚の声”……吟遊詩人のハーピーと、人魚伝説」

「”ドワーフ”……ドワーフも出さないとね! ドワーフと言ったら、鍛冶屋でしょう」

「”賢者の石”……魔王の話に絡めよう」

「”浮島”……空中都市も出そう。浮島に行くために、飛空艇も出せるね!」


 あとは足りない部分に「童話」の要素を付け足して、第二部の物語を詰めていきました。


「キーワードに”人魚”があるから、”人魚姫”の物語をアレンジしよう」

「”白雪姫”の”毒林檎”。食べると人魚の武器である声が出なくなることにしよう」

「ドワーフは”白雪姫”の七人の小人だな」

「”幸せの青い鳥”。物語の手紙は青い鳥が運んできた。物語の締めも青い鳥。青はヴァイスの象徴でもある」

「”宝石”――”幸福な王子”の話も絡めたい」

「シンデレラのカボチャの馬車→カボチャの敵」

「不思議の国のアリスの兎→獣人兎族」


 こんな感じです。

 そして第一部と第二部で100のお題で使えそうなものは使い切ってしまったので、続く第三部「色紡ぐ音」では新たな方針を軸にして物語を考えています。


* * * *


 と、ここまで書いて思いましたが、他の作者様はどのように物語を創っていらっしゃるのかも興味があります。

 私の場合、アイディアの元になるキーワードや、何らかの「縛り」が多少あった方が書き出しやすいです。

 そして物語の結末まで決めてから書き始めます。最初と最後を対比させたりするのが好きなのと、途中で矛盾が出ないように後から戻って書き直したりするからです。物語は「終わらせる」前提で、どうやってそこに向かわせるかを考えながら書いています。


 でも長編連載が得意な方などは、設定だけ決めて結末は決めずに書き出す方もいらっしゃいますよね。つらつらと自作語りをしてきましたが、他の方の創作秘話なども見てみたいです。(*'ω'*)ノ

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