第39話 忘れられていた話

 昨夜、夕食後。どこかの誰かが書いたネットアニメ読んでた嫁が急に……。


 「キスもボディータッチもない、見つめ合うだけの恋愛ものなど、あだち充だけで十分!」


 と豪語する嫁。


長男「まあ、不自然だよね。今時、中学生にもなったらキスくらいしてても驚かないし」 

次男「高校にもなったら、性行為あっても不思議じゃないからね」


 普通の会話のように話していた。だが疑問を感じたので嫁に訊いてみる。


私 「こういう会話って親子でするもんか? 」

嫁 「中学生から性教育ちゃんとしてきたから大丈夫」


 それは夫婦で決めたことだから知ってるけど……。


私 「そういうもん? 」

嫁 「この子達が成長したら必ず必要になる話なのに、家でできない話がある方がおかしいじゃない」

私 「んー、んじゃ今までにもこういった話してきたの? 」


 嫁、長男、次男、それぞれに「してきたよ」と答える。


私 「俺、初めての気がするんだが」

嫁 「そういえばそうかもね。忘れてたわ」


 長男は今22歳。中学生一年生(12歳だったかな?)からと考えると10年間忘れられてたことになる。


私 「一応、俺にも教えていてくれていいんじゃない? 」

嫁 「男性の恋愛観や性的知識なんて、この子達の役に立つわけないじゃない。基本的なことは、男は勝手にネットでエロサイトとかで調べるんだし。女の私が教えていればいいのよ」

私 「いや、そうかもしれないけれど……一応は」

嫁 「今判ったんだからいいじゃない」


――釈然としないけれど、まぁ、いいか。


 と、少し寂しい気持ちを抱えて、風呂に向かった湯煙でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る