ep9/36「後輩っていうことになるのかな」
「ああぁぁ遅刻するーー! 今日はテストなのに!!」
AM:8:45、ハナは悲鳴を上げてリビングを駆け回る。跳ねるサイドテールは雑に束ねられただけで、身に纏うセーラー服はまだリボンを締めていない有様だ。それを見守るアヤカもまた、着かけの制服にぼさぼさの髪という姿を晒している。
起床してから3分、2人は仮眠だけをとって学校へと向かおうとしていた。
「だいたいさ! なんだよりにもよって、こんな日まで朝帰りなのぉ……島の外へ行く時はだいたい土日だし、夜に行ったらそのまま学校だし! ここまでして皆に秘密にしなきゃならない理由って、なにかあるのかなぁ?」
「さぁ。ただ、2時間じゃ眠った気がしないのは間違いないわね……ふぁぁ」
大きな欠伸を隠そうともしないアヤカは、ぴたりと足を止める。彼女の青い瞳が向けられる先には、未だ温もりを残す二段ベッドの布団。ベッドの魔力に引かれて彷徨い出す魂は、もはや半分が寝室へと戻ろうとしていた。
「あ、もうだめ。あと5分だけ寝て来るから……ちょっとだけ、あと少しだけベッドに」
「だめ! 絶対起きられないからダメ! アヤも諦めて準備してよー、もう!」
「はぁい」
大きな欠伸で涙が滲む目元を拭い、アヤカは精一杯の素早さで以て身支度を整え始める。髪を梳かそうとして絡まり、服を着ようとしてはボタンを掛け違え、果てにはそのままの姿でふらりと玄関へ向かい始めたアヤカを、ハナの手が引き留める。
「アヤ、ちょっと動かないでね」
自分の格好はハナに任せるまま、アヤカは眠たい視線でボーっとハナを見つめる。そしてグッと突き出されたマグカップを前に、アヤカは何のことやらと首をかしげた。
腰に手を当てるハナは、そんな顔したって誤魔化されないんだから、と無言の内に宣言しているようで。逃がさないとばかりに目を細めるハナを前に、アヤカはしぶしぶマグカップに手を伸ばす。
「はい、コーヒー! 飲んでね!」
「うへぇ……苦い」
「はい、制服! じっとしててね!」
「うっ……襟元締めすぎ、苦しいわ」
半ばハナに締め上げられるような恰好のアヤカは、未だ飲み干していないコーヒーカップをテーブルに置く。テスト開始まで残り5分、もう悠長に飲んでいる時間など無い。
どうしよう、と頭を抱えるハナは、もはや時計の秒針が刻む音にすら怯えているようだった。
「遅れても仕方ないわよ。だって私たち、朝帰って来たんだもの。一度のテストくらいスタッフの人たちがなんとかしてくれるわよ」
「でもっ、でもっ、わたし前のテストも赤点だったし、その前のテストだって」
「え、ハナ、あなたまさかそんなに……」
「ちょっとー、あからさまに引かないでよ! とにかく今回のテストに出られなかったらマズイの! あぁ、マズいマズいマズいマズい――――って、あれ?」
何やらブツブツと唱えていたハナは、ふっと呟くのを止める。アヤカの位置では横からしか見えない顔には、なぜか怪しげな笑みが浮かんでいた。
「ふふっ……ふふふっ……」
「ち、ちょっと! プレッシャーでおかしくなっちゃったの?」
「今から間に合う方法、あるじゃん!」
パッと顔を輝かせたハナは、唐突にアヤカの腕をガシっと掴む。
いきなり何をしようというのか。脳裏にそんな疑問が浮かんだ途端、アヤカにはその答えが分かってしまった。こんな光景は過去に一度見覚えがある、たしかその時は自分の方が――――。
目論見に気付いたアヤカの目の前で、ハナは意気揚々と宙に唱え出す。
「
「あっ、ハナ、まさか」
「
朝の慌ただしさをそのまま残したリビングに、唐突な歪みが生まれる。
空間転移座標、固定。ようやく着終えたばかりのセーラー服を纏う少女たちは、そのぽっかりと空いた歪みの中へと飲み込まれて行く。消えゆく彼女たちを見送るのはコーヒーカップ、空間転移の弾みでふっと湯気が揺らいだ。
コンマ数秒後、2人の姿はリリウスのコックピット内に出現していた。
音も無く現れ出た少女たちの姿は、床から20cmと離れていない空中に浮いている。重力にひかれて落ち始めれば、風を孕んだスカートはふわりと膨らんでいく。
足先が触れるまであと数cmというところで、ハナは大きく息を吸っていた。そして足が着く間もなく、やけくそ気味の叫びがコックピット内に響いていた。
「もういっちょ!
「だ、だから、待っ――――」
転移開始。出現してからほんの数秒後、2人の姿はコックピット内からも消え失せていた。
次に彼女たちが現れたのは、コックピット内とは打って変わって明るい空間。二回目の空間転移で体勢を崩すアヤカは、ふわっと内臓を浮き上がる感覚を味わっていた。
あ、私落ちてる。
その予想は裏切られることなく、次の瞬間には落下の衝撃が彼女を襲った。
「いたっ……!」
「ぐぇっ!」
アヤカの身体の下からは、少女が出すとは思えない――出してはいけない――声が上がる。まさかと思ったアヤカが視線を向ければ、そこではお尻の下敷きになったハナがじたばたともがいていた。
潰れたカエルのような声を上げて、ハナはビタンビタンと床を叩き始める。
「アヤぁ、おもい……だずげ、で……」
「お、おもっ?! 重くないわよ!」
思わず顔を赤くしたアヤカは、飛び退くように立ち上がる――――はずだった。
しかし、踏み締めたはずの両脚は踏ん張りが利かず、咄嗟に伸ばした手さえ力が入っていない。まるでマラソンを走り切った後のように緩む四肢は、鉛と化した全身を支えられなかった。束の間の浮遊感、反射的に伸ばされた手が虚しく宙をかく。
「あぅ……っ!」
転倒。アヤカもまた、教室の床へ打ち付けられてしまった。
すっかり涙目のアヤカは、同じく四苦八苦しながら起き上がろうとするハナを見やる。そして、どちらともなく差し出した手に縋りながら、2人は遭難者のような風体で廊下に出ていた。
「こ、これで、二人とも……お互い様……へへへ」
「いたた。ハナも、大丈夫?」
「だ、駄目かも……なにこれ、なんでわたしたち……こんなに、疲れてるの? 一緒に
2人が落下したのはとある空き部屋。恐らくはハナが目論んだ通りに、目指すべき教室はすぐ近くにあった。ひーひー言いながら木造りの廊下を這い進んでいく頃には、時刻は既に9:00を過ぎようとしていた。
疲れで重さを増す足取りは、ようやく教室の前へ。鉛筆がカリカリと紙上を走る音を聞きながら、2人は自首するような心地で教室のドアに手をかける。
「つかれたぁ……明日からは普通に登校しよ……」
「私も悪かったわ。休まないで
「うん」
結局、疲労困憊の二人が教室に辿り着くのは、1時間目のテストの途中となった。
それも
眠気でボーっとする頭でテストを終え、昼休みを終え、午後の授業を意識もうろうとしながら過ごす。そんな学生としての一日を終えた頃には、2人は既に疲れ切っていた。肉体的にというよりも、むしろ精神的に。
そして放課後。下校時刻を促すチャイムが鳴り響く正門付近で、ハナとアヤカは帰路に就いていた。自然と寄り道へ逸れていく足取りは、海沿いの遊歩道へと向かう。
「アヤ、今日のテストどうだったぁ?」
「全然ダメだったわ……初めてハナと補習になるかも知れないわ。ええ、
「そこを強調しなくてもよくない?!」
初陣から三週間。あれから何度出撃してもマカハドマとは遭遇出来ず、アヤカとハナのパイロットとしての日々は一時の奇妙な平穏を取り戻していた。非日常だと思っていた戦いが、いつの間にか2人にとっての日常へとすり替わっていた。
そんなハナの瞳には、どこか憂えるような色が浮かんでいる。横顔を陰らせるサイドテールは、海風に弄ばれるまま肩をくすぐっていた。
「わたしたち、こんな風にしてていいのかなぁ」
こうして穏やかに流れていく時間さえ、歯痒い。ぽつりと零れ出たハナの本音は、ともすればアヤカの心をも見透かしたような鋭さを帯びている。
普通に起きて、普通に登校して、普通にテストを受けて。
こうして日常を過ごしていることにこそ、違和感を覚えてしまう――――そのことに対する違和感こそが、未だ彼女たちを日常に引き留めているのかも知れなかった。
「いいのよ、きっと。これが普通なんだって忘れちゃいけないんだわ。忘れていない内は、私たちはまたここに帰って来られる。そんな気がするの」
「アヤ……」
「せっかく
今やリリウスの最優先目的は、統合司令固体〈マカハドマ〉。マカハドマ討伐を期した一大作戦は、水面下で着々と進められている最中だった。
どこかやるせない気持ちを抱きながら、アヤカの視線は海へと向けられる。風に揺れる遥か遠くの海面には、高さ300mは下らない鉄柱が数十本と突き出していた。
――――島の近くにまであんなものを持ち込むなんてね。
海底から伸びている鉄柱の数々。それらは全て、百年以上前に対マカハドマ戦争で滅んだ各地から持ち帰って来た遺物だった。今朝、リリウスの手で運んで来た
そして遥か遠くの沖合には、水平線を突き破るほどの巨大な鉄塔がそびえ立っていた。
「でもさぁ、マカハドマを探すっていっても、最近は全然見つからなかったよね。今度の作戦も本当に上手くいくのかなぁ?」
「それでもやらなくちゃ。必ず仕留めてみせるのよ。そうでないと、いつかはここも……」
アヤカは既に理解していた。本格的なマカハドマ討伐作戦が始まれば、どんな手段をも使うことになるのだと。かつて禁忌とされた力に手を染めることになろうとも、背に腹は代えられない。
しかし、それほどの作戦を前にしてもなお、未だに実感は湧いて来ない。力不足、その言葉がアヤカの脳裏をよぎって行った。
「あんなもので倒せるのかしら……」
「およよ? おーい! アヤもハナもこっちこっちー!」
沈滞した空気を打ち破る勢いで、底無しに明るい声が聞こえて来る。自然と沈んでいた視線を上げてみれば、そこにはぶんぶんと手を振るヒカリの姿があった。
「あら、ヒカリ?」
手を振りながら、そして短めのツインテールを揺らしながら、ヒカリはいつものようにパタパタと駆け寄って来る。そして2人の懐に飛び込むや否や、グッと顔を近づけていた。
「まず最初に言っておくからね! あたしにテストのことは聞かないこと、いいね!」
「まだ何も言っていないじゃない……」
「ヒカリの補習はいつになりそう?」
「だからっ! ハナっちも言わないでって! あれほど……うっ、心が痛むからっ!」
ハナの無慈悲な一言で、ヒカリはオーバーリアクション気味に胸を抑える。これからやって来るであろう補習を覚悟したその姿は、アヤカからすればいっそ悲壮ですらあった。
そして、どうしてヒカリがここにいるのか。彼女にはそれが分からない。
「ところでヒカリ、あなたの家ってこっちだったかしら?」
「まー、家は逆の方なんだけどね。今日はちょっち用事がありまして」
「えーなになに! ヒカリがどこ行くのか、わたし気になる!」
「あはは……そのね、今日はちょっとねーちゃんの病院に行く日でさ」
ヒカリは気まずそうな苦笑いを浮かべながら、ぽりぽりと頬を掻く。いつかリリウスを見つめる時に漂わせていた雰囲気が、今は彼女の表情を曇らせている。
その様子を目にしたアヤカとハナは、どちらともなく顔を見合わせる。こと今の2人にとって、リリウスに深く関わっていた人物が気にならないはずもない。
「たしかアカリ先輩って、今年の春までは……?」
「そ、ねーちゃんは春までアレに乗ってたみたいだよ。一度は
「そうね。その事はあまり周りに広めないでって、ヒカリも言っていたわね」
「そうそう、公然の秘密ってやつ? 知ってる人はもう知ってるっていう感じだけど、あんまり広めることでは無いかなって。うん、それに、ねーちゃんもあまり思い出したくないみたいで」
ほんとは明るい人なんだけどね、とヒカリはぽつりと呟く。どこか悔しそうに蹴り出された足に、路傍の小石が転がされていった。
「だから今は、前まで仲良かった子たちも会いづらいみたいで、ねーちゃんも寂しがってるんだぁ。その、もしよかったら……アヤっちとハナっちも来ちゃう? 来ちゃいます?」
「最後に会ったのは入学式の時だったかしら、随分前になってしまうわね」
「いいっていいって、ハナっちはどうする?」
「りょーかいっ! わたしも行こうかな。ヒカリのお姉さんってどんな人かなぁって、前から気になってたの」
「そうと決まればレッツゴー! ありがとね、お2人さん」
徒歩で向かう先は、海辺から島の中心部へと食い込んでいく。いずれ海へとつながる水路を遡るように、セーラー服姿の3人は夕暮れの川沿いを進んでいった。
季節はちょうど、晩夏とも初秋ともつかない季節の境目。頭上からは侘しいセミの鳴き声が、足元からは初々しいスズムシの鳴き声が聞こえて来る。
「それで、お菓子とか持って行かなくていいの?」
「いいよ。ああ見えて、ねーちゃんは意外と体重気にするし――――」
アヤカは雑談に賑わう2人をよそに、流れていく川面を見下ろしていた。水面は刻一刻と姿を変える水晶となって、青い瞳に夕陽の反射を映り込ませる。
その時、きらりと、エメラルドグリーンの銃弾が視界を横切っていった。
ハッとして視線を彷徨わせるアヤカは、すぐにその正体に気付く。川面を滑るように飛んでいくのは、翡翠のように艶めく一羽のカワセミ。温い空気を裂きながら飛んでいく姿は、まさに季節の移り変わりを告げてくれていた。
――――あれに乗っている間に、夏も終わってしまうのね。
けっして眩しくない西空を見上げてみれば、サナギの巨躯が視界に映り込む。
夕陽を遮るようにそびえ立つリリウスは、島の街並みに長い長い影を落としていた。先を歩いていたハナが影に踏み込むと、アヤカもまた陰った地面を踏み締める。
そして、先頭を歩いていたヒカリは、赤い夕陽を浴びながらくるりと振り返った。
「あっという間に過ぎちゃうものですなぁ。はぁ、乙女の夏は短いものよ……そろそろアレも始まる頃だし!」
意気揚々と反応を窺うヒカリをよそに、アヤカとハナは揃ってと首をかしげる。
「あれって?」
「なんのこと?」
呆れたように、あるいは本気で驚いているかのように絶句するヒカリは、信じられないという思いを顔面に張り付けていた。そして次の瞬間には、精一杯のジェスチャーもどきを交えながら叫んでいた。
「な・つ・ま・つ・り! 一週間後だけど、まさか2人とも忘れてないよねぇ?!」
「あっ」
「そういえばっ!」
自分と同じくらい、夏祭りを楽しみにしているはず。その期待を裏切られたヒカリはむくれた様子で、小動物よろしく頬を膨らませている。ゴメンゴメンと頭を撫で始めたハナにされるがまま、ヒカリはすっかりへそを曲げた様子でいる。
そんな他愛ないやり取りこそが、アヤカに見えない壁を感じさせていた。寂し気に口から零れ出た一言は、風にさらわれて大気に溶け去っていく。
「――――戻って来られるか、分からないかな」
晩夏の夕暮れに、一陣の風が吹く。
アヤカとハナは長かった夏の終わりを感じながら、ヒカリはあっけなく過ぎ去った夏の終わりを感じながら、それぞれの髪を揺らしていった。
乱れた金髪をかき上げるアヤカは、人知れぬ決意を込めて口を開く。
「夏まつりには絶対に行くわ、必ず」
「まぁそれはそうだろうけど……改まった顔しちゃって、どしたの?」
「楽しみにしてる、ってことよ」
旅立つ者と待つ者。3人の進む先には、病院が見え始めていた。
* * *
「ねーちゃん、来たよー」
「失礼します」
「失礼しまーす……?」
個室のドアをくぐった3人は、病院らしい清潔さを帯びた空間に足を踏み入れる。やや気後れした様子のアヤカとハナに向けて、窓際から軽やかな声が掛けられた。
「あれれ? 2人ともヒカリのお友達?」
「は、はい、初めまして! ハナと言います」
「お久しぶりです、アカリ先輩。入学式で一度ご挨拶しただけですが……」
挨拶する2人をしげしげと見つめるアカリは、髪を下ろしたヒカリにそっくりだった。
ヒカリとよく似て小柄な身体は、今はカーディガンを纏っている。入院しているとはいうものの、その姿からは何か病を患っているという印象を感じられない。
「ほほうー、あなたがハナちゃんでこっちがアヤカちゃんね……ふむふむ、ヒカリがいっつも話しているのはこの子だったの――――」
その時、アカリの背後からバッと手が伸びた。不意に口を覆われたアカリはバタバタともがくも、慌てている様子の
「ちょっ、ねーちゃん! ほ、ほんと人をからかうのが好きなんだからぁ」
「そうそう。ハナちゃんのことも一杯話しているよね。ヒカリってそればっかり」
「勘弁してよ、そうじゃないでしょぉ!」
天真爛漫なヒカリが、
その光景を目の当たりにして、アヤカとハナは軽い衝撃を覚えていた。そしてリリウスの先代パイロットという肩書に対し、心のどこかで抱いてしまっていた警戒心が、あっけなく溶け去っていくのを感じる。
アカリは慌てる
「ねぇ喉渇いちゃった。ヒカリ、ちょっとお水替えて来てもらえる?」
「了解! でも、ねーちゃん、変な話しちゃダメだからね! 分かった?」
「はいはい、そんな話しないから」
ヒカリはやや疑うような視線で姉を見つめながら、早足で個室を後にする。ぱたぱたと廊下を叩くスリッパの足音は、徐々に遠くなっていった。
個室に残っているのは、アカリを含めて3人だけ。ほぼ初対面と言っていい相手に対し、アカリはすっかり砕けた態度でベッドに身を沈めていた。
「さてと……アヤカちゃんとハナちゃん、後輩が遊びに来てくれるなんて嬉しいよぉ! 最近はヒカリ以外に来てくれる人なんて、たまーにしかいなかったからね」
「それは、良かったです。ヒカリさんにはいつもお世話になってばかりで」
「いいっていいって、むしろ姉としてはヒカリが振り回してばかりじゃないかと心配だよ……」
姉として、先輩として、元気過ぎる妹が何かやらかしてはいないかと心配するその姿。最初は身構えていたアヤカとハナにとっては、それが微笑ましくもあり――――。
だからこそ、次にアカリの口から発せられた言葉には、揃って固まってしまった。
「で、私が先代なら、あなたたちは
「……ッ!」
凍り付いたアヤカとハナを前に、アカリはどこか寂し気にほほ笑む。先代というだけでは知り得ないはずの正体は、一瞬にして看破されてしまっていた。
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