エピローグ3 バニル

 それは少し前。


 爆裂娘とゆんゆんが爆裂魔法を撃った日の朝、ゆんゆんが最後の挨拶をしてきた日の事だ。



「成程、今になってあの脳みそ爆裂娘が恋しくなったのか? なるほどなるほど! 同性ながらも恋に目覚めたというわけか! よかろうよかろう」


「そうじゃありません!!!」


 と、我輩達に相談しに来たゆんゆんが全力で否定する。


「なんだ違うのか」


「バニルさん。ゆんゆんさんは、めぐみんさんを独りにしておくのが可愛そうと言ってるんですよ。なにか名案はありませんか?」


 そんな事は言われなくてもわかっているのだが……。


 そもそも、この店主はなぜ我輩に丸投げをしてくるのだろう?


「人任せ店主よ。なぜ我輩に丸投げをする? 我輩をなんでも解決する便利屋と勘違いしているのではないか?」


 ウィズは微笑み。


「ええ。バニルさんなら解決してくれますよね?」


 …………。


 ……まぁ、方法はなくはないのだが。


 しかし、それは忌々しくも考えただけで恐ろしい内容で----。




 我輩が沈黙していると。


「ごめんなさい。私、最後の最後で決意が鈍っちゃって。もう大丈夫です。一人でなんとかしますから!」


「本来なら寿命間近の残りカスとはこういう事はしないが。我輩はこう言った。『もし何か困ったことがあれば、この街でも有名なウィズ魔道具店という所に相談するがいい。さすれば、貧乏で腹ペコ店主と、ご近所の評判も良くとても頼りになるバイトが全力で協力しよう!』と。ゆんゆんよ、これは契約だ。我が庇護下になるというのであれば、地獄の侯爵の名において、忌々しくも考えただけで恐怖する素敵なアドバイスを汝にプレゼントしよう。……さあ、どうするか選ぶがよい」


「忌々しい……恐怖する……アドバイス」


 ゆんゆんが緊張し唾をのむ。


「わかりました。アドバイスをお願いします」



 我輩は考えただけで吐き気がする言葉を、ゆんゆんに送る。




「それでは神頼みをしようではないか」




「「え?」」



 ゆんゆんだけではなく、ウィズまでもが変な声を上げる中、我輩はニヤリと口元を歪めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る