第二話 事件、当日

母との大戦の後日、おれは通学路を歩いていた。

しかし母へのプレゼントがカメラのプリントアウトだけとは……俺はもっと母に恩返ししたいのにいいのだろうか。というかいい年こいたばば……母が一体なにを撮っているというのか、最近肌身離さず持っているし。

そんなことを考えながら俺は学校に着いた。


「おっすー、ニンニク魔術師!」


俺が席について早々変な事を言っているこいつは林翔。まぁ俺と保育園からの仲で腐れ縁ってやつだ。


「おっす、昨日お前に呪いの魔法かけといたわ」

出来る俺は綺麗に返す。


「やっぱなー、昨日彼女にキスしようしたらニンニク臭いって言われたんだよ」


ちなみにこいつはリア充である、○ね。


はぁ、皆いじってくるしもうトイレに行こうかな……

そんな事を思っていると先生が入ってきた。


「ほら、早く席についてー。出席とるよー」


あぁ、やっとイジられない憩いの時が……


「出席番号27 ぷっ、ニンニク魔術師ー」


もうやだ、何この学校早く帰りたい。


先生ですら俺をいじってくる学校に昼休みがやってきた。


昼休みとはそう! グループで弁当を食べる時間でありクラスで最もカーストが顕著に現れる時間と言っても過言ではないだろう。

俺の愛しの伊藤桃子は1人で鍵のついた屋上で弁当を食べるアバンギャルドな子だ。日当たりが良くて気持ちいいらしい。鍵がかかっているので窓から渡って屋上に行くのが他の女子は怖くて一緒に行けないらしく一人で昼ごはんを食べている。

そこも良い……!


ちなみに自慢ではないが俺の母の弁当はうまい。今日もワクワクしながら弁当を開けると白米に海苔で



ニンニク魔術師

と書いてあった。それを見た瞬間に大声で笑う翔


「おい翔! お前母さんにあだ名のこと教えただろ!!」

「はっはっはっ、Twi●terに載ってる動画もみせてやったぜ!」

「殺す!絶対にだ!!」


というかそれ以上に海苔で魔を書けた事に驚くわ。

俺が親の技術に感動しつつ喧嘩をしていると


バン!!!!

俺達の喧嘩はその音に遮られた。皆が音の方を見るとそこには勢いよくドアを開け駆け込んでいた先生がいた。



「はぁはぁ、みんな落ち着いて聞いてくれ」


全くこの平和な日常に


「今、この学校に」


そんな慌てるようなことが


「吸血鬼が向かっている」


あるわけない……よな?

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