1.夏祭のお茶会、ひい





真っ暗な空に泳ぐ、


様々な錦、黄昏の光魚






それはプラネタリウムよりも、自然で


夜の月よりは、にぎやかで




ふわり、ふわり


揺れて、光る金魚。










この夜には、私以外、誰もいない。









金魚に、手を伸ばそうとする、




その空に張っていたシャボン玉が壊れて、


天上から、一気に水が零れ落ちる。








まるで、ノアの洪水

大きな瀧が、私を飲み込む







意識が遠くなる、

息が、出来ない。





光魚が自由に泳ぐ、

私は酷くもがく、
















「たすけて、」










零れるのは声じゃなく、小さな泡。


口いっぱいに、海水が入り込む









伸ばした手なんて、届かない。




私は、思わず、意識を手放そうと――



























「久しぶり、」


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