1995年の東京の地下鉄での13人のテロリストが処刑を待機中
【以下は仏「ル・モンド」紙の記事に基づく翻訳です。元記事のリンク:http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2018/01/29/treize-auteurs-de-l-attentat-dans-le-metro-de-tokyo-en-1995-en-attente-d-execution_5248797_3216.html】
日本の最高裁は、まだ未解決の最後の訴訟事件を棄却し、サリンによる攻撃の原因である、オウム真理教の13人に死刑判決を下した。
1月18日に最高裁が1995年3月に東京の地下鉄で起きたサリンによるテロ行為に対する判決を求める、最後の被告人の上告を棄却したことにより、20年余り続いた訴訟が終結した。6年にわたる逃亡で、高橋克也は最終的に逮捕され、その後2015年に終身刑を宣告された。死刑を宣告された、オウム真理教の教祖である麻原彰晃の控訴の棄却に続く、その上告の棄却により、裁判は終わる。
この訴訟マラソンは、不調に終わる。オウム信者による犯罪の動機を始めとして、多くの質問が答えのないままである。一部の信者は高等教育を受けており、上流階級の出身であった。高等裁の判決は、別の効果がある。すなわち、死刑囚監房で運命の日を待っている122人の中のオウムの13人の死刑判決を実行することである。米国とともに、日本は、死刑を行うG7の最後の国である。日本の場合は絞首刑である。
東京の地下鉄の5両目のピーク時間でのテロ行為は、大きな感情的衝撃を日本に及ぼした。国による危機管理の機能低下に光を当てた、阪神大震災(6,000人が死亡)の2か月後に勃発したテロ行為は、オウムを監視下に置いていた警察の怠慢を明らかにした。日本人は、自分たちが脆弱であることを発見した。日本は以前、60年代の終わりの学生運動のテロリズムの化身である赤軍の暴力のような突発的な暴力により知られていた。しかし、動機は、イデオロギーに基づいていた。オウム真理教の事件においては、破壊的な至福千年説により押し流された若者の危険な逸脱が問題である。公然と非難したり、戦ったりする敵はいなかった。日本は、この事件の原因を自らのうちの探し求める必要があった。
狂気あるいは社会の産物?
オウム真理教は、日本で急激に増えているセクトの一部を構成していた。オウムは、漢方薬店を経営していた、弱視で、髭を生やした、髪の毛の長い、松本智津夫(後に麻原彰晃と名乗る)により1989年に創設された。インドでの滞在の後、彼は、彼の言うアポカリプスを生き延びることができる超自然的能力を獲得するための、宗教と疑似科学的技術のがらくたに基づく「教義」を練り上げた。そして彼は、日本の10,000人の信者に加えて、すぐにロシアに35,000人超の信者を持つカルト集団を創設する。
幻覚剤、長期にわたる絶食、睡眠の剥奪。信者は、ときには家族とともに、オウムに全財産を贈与した後で、一種の集合住宅で暮らした。オウム信者は、「自分を守るために」有毒ガスの製造に身を投じる。1994年から、グルの命令で(訴訟で彼は否定した)、代理人が「敵」を暗殺し、その後、東京の地下鉄で、オウムを「迫害」していた「国に対する攻撃」を起こす。
オウムの陰謀の発見は、世論を驚かせるだろう。メディアは、麻原の終末論的思想に心を奪われた、幻滅した少数の若者の不安について論じるのを避けることを選び、「狂気」の淵で身を滅ぼした子どもをはねつける。小説家の村上春樹は、オウムの犠牲者と信者が対談した一冊の本、『アンダーグラウンド』を著す。この本で、著者は、彼としては、オウムもそれを世に出した社会の産物であると考える。世間を騒がせた、オウム事件は、犠牲者の家族の記憶を除き、記憶から消える。
常にカルトは存在する
オウムの犯罪の犯人の処刑は、裁判に終止符を打つ。しかし、この危険な逸脱への疑問は解消されない。オウムはアレフと名前を変え、今でも存在する。アレフには、麻原彰晃を崇拝する1,500人の信者がおり、警察は彼が処刑された場合、トラブルを排除できない。
法務省は、処刑の実施の決定を下さなくてはならない。多くの場合、処刑まで何年間もかかる。死刑囚は、絶対的な孤独の中で、永続的な監視下に置かれ、毎朝、ある日、独房の前で停まる通路の看守の足音を数える。ある者は正気を失う。処刑は、完全な秘密のうちに執行される。家族には、処刑が行われた後に通知される。
調査によると、日本人の大多数は、死刑の維持に賛成ということである。東京の地下鉄のテロ行為により喚起された動揺により、裁判官はより多くの死刑判決に駆り立てられた。2012年に安倍晋三が権力の座に戻って以来、21人の処刑があった。2017年に処刑された4人の中には、犯行時に未成年だった者がいた。
日本弁護士連合会は、2020年のオリンピックに向けて死刑廃止の呼びかけを開始した。在京フランス大使のローラン・ピックは、10月10日の世界死刑廃止デーの機会に寄せたメッセージの中で、このイニシアチブへの支持を表明したが、それは、ソーシャルネットワーク上に敵意に満ちた、とまでは言わないまでも、否定的な反応を呼び起こした。オウム信者が恩赦を受けるのも、彼らの執行が世論に大きな動揺を呼び起こすのも、ほとんどありそうにない。
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