交通機関でのハラスメントに取り組む日本

【以下は仏「ル・モンド」紙の記事に基づく翻訳です。元記事のリンク:http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2017/06/27/le-japon-s-attaque-au-harcelement-dans-les-transports_5151534_3216.html】


大勢の女性が電車や地下鉄内で被害を受けている痴漢の問題への人々の関心を高めるために、東京でキャンペーンが開始された。


日本は、大勢の女性(多くの場合、未成年)が被害者となる通勤の交通機関内での痴漢よる性的侵害に対して、本格的に取り組むことを決定するだろうか?


6月6日に、東京都警察と関東地区の19の鉄道会社は、被害者と目撃者が触られた場合に、「勇気を持って」注意し、「痴漢が犯罪である」ことを思い起こさせることを目的とした漫画を利用している張り紙により、昔から続くこの現象に対する新しいキャンペーンを開始した。


多くの鉄道グループが同時に電車内に監視カメラを設置することを発表した。JR東日本は、2018年春季から、毎日100万人超の乗客を乗せ、痴漢スポットとして知られている、日本で最も人の出入りの多い山手線の550本の電車内でカメラを設置する計画を立てた。痴漢は、満員の車両内で、ピーク時に最もよく発生するため、この決定はある程度は予防的であるとされている。


この対策が過去にすでに実施された対策に追加されたとしても、有効かどうかを決めるのは難しい。ポスター掲示の複数のキャンペーン以外に、特定の鉄道会社は、2000年からピーク時の女性車両を実施した。



「私たちは泣き寝入りしません」

2017年2月、福岡県警は、高校生と大学生との協力により、スマートフォン向けのアプリを提案した。それは、最近暴行があったと知らされた場所を地図上に表示するアプリである。アラームのボタンはまた、110番に回るよう定められている。


1月に痴漢抑止活動センターが、痴漢の被害にあった高校生の提案により、「私たちは泣き寝入りしません」のメッセージ付きのバッジを販売した。


今年のキャンペーンの新しさはまた、「痴漢」と告発された人に「逃げない」よう訴えかけることである。3月以来、痴漢と告発された十数人の男性が逃げるために線路に飛び降りた。5月15日、ある男性が逃げようとしたとき、横浜の青葉台駅に来る電車にはねられて死亡した。


大勢の男性が、痴漢の誤認を恐れている。実際、逮捕されると、近親への連絡が事実上できなくなり、また弁護士の利用が制限されながら、23日間続く可能性のある拘留に至る恐れがある。このような性的な事件に巻き込まれると、男性は解雇され、家庭生活を失うと想像する。



多くの場合、被害者は沈黙する

2006年に、防衛医大の教授が1人の被害者の証言に基づき決定された、22カ月の禁固刑を不服として上告し、事件は最高裁に持ち越された。そこでは、原告側が犯人を誤った可能性があったと見なした。この事件は、大きな反響を呼び、2008年には、痴漢冤罪で訴えられた若者の話である、周防正行監督の『それでもボクはやってない』が一定の成功を収めた。


少額短期保険株式会社の社長・杉本尚士氏が、不当に告発されていると考える男性に法的支援を提案する、保険契約を1年に6,400円で2015年に発売することに決めたのは、この映画を見た後である。保険加入者は48時間、弁護士の助言を無料で受けることができる。


容疑者の逃走のケースがメディアに掲載されると、月当たり数十に停滞していた、申し込みの数が跳ね上がるだろう。「この問題を心配している人に支援を提案するために、私たちはいます。」5月29日に杉本氏は、毎日新聞に説明している。


ポイントは、暴行を話さないという最もよくある選択を行う被害者の苦しみを忘れさせることではないはずである。毎年、およそ1,800人がこうした事件の容疑にかけられる。しかし、さまざまな調査によると、世界経済フォーラムの2016年版「ジェンダー・ギャップ指数」で111位の国では、若い女性の3分の2が触られるままになり、彼女たちの90%が注意しない、ということである。



新しい法律

警察の2014年の数字によると、暴行の被害者のせいぜい5%が暴行を注意する、ということである。この割合は増大するだろう。なぜなら、国会で、6月16日に刑法における強姦の条項の修正を採用したからである。これらの条項は、日本人の女性に投票権がなかった1907年に採択されて以来、決して変更されてなかった。


6月18日に終了した国会の会期の終わりに入手した新しい条文は、さまざまな団体および重要人物により支持されている。支持者の中には、13歳のときに父親により性暴力を受け、被害者への支援のための戦いの最前線にいる山本潤さんが含まれる。新しい条文では、取調べのための被害者による告訴を義務付けていない。これからは、第三者が告訴を行うことができる。また、科せられる処罰は今後、これまでの3年から5年の禁固刑になる。


ただし、条文の範囲は限られたままである。被害者は、あらゆる抵抗を困難にしているおどし、圧力、脅迫、または殴打の証拠を常に提示しなければならない。その上、新しい法律は、専門家がこのような犯罪のより良い予防のために不可欠であると判断しているにもかかわらず、加害者へのケアのためのいかなるプログラムも準備していない。

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