Q9 仕事での誇れる実績や成功体験は?
「よくぞ納めてくれた、タイダよ」
広い王城。
先日、結婚パーティーを行ったときとは違う厳かな趣。
タイダは目の前にいる整った初老の男性が確かに王様なんだと再確認しながら口を開く。
「はっ!宮廷の諜報から頂いた事前の資料あればこその成果でございます」
流石にこのシチュエーションでドヤ顔出来るほどタイダの面の皮は厚くなかった。
しかし、といった様子で王様はタイダに言葉をかける。
「諜報の資料をもとに調停をつつがなく終わられたのはそなたの功績じゃ。
それを誇らないのは逆にあやつらに悪い、そうは思わぬか?タイダよ」
「…そうですね、この栄誉、有り難くお受けいたします」
そう、つつがなく終わった謁見。
そして王様は話は終わったとばかりにフランクなオッサンになった。
「して、タイダよ…」
「なんでしょうか?陛下?」
「もう公務は終わった!ワシのことは義理父さんと呼べぃ!」
「ゴリ押しし過ぎたろ、ジジイ」
タイダは毎度のローズマリーとの婚姻の推し進めっぷりに呆れるように突っ込みを入れた。
もう、フランクすぎてフランクリン=ルーズベルトなのだ。
「ふぉっふぉっふぉ…しかしタイダよ!ワシの計画はお主が思わぬところで着々と進んでおるのじゃぞ!?大臣よ!」
「はっ、此処に」
フランクリン=ルーズベルトな王様は大臣を呼び寄せると一つの書状を読み上げた。
「勇者タイダを魔王討伐の功績とと今回の調停の実績を鑑みて男爵位と当地区の管理、運用を任命する!」
「名付けて、(二人を阻むものなんて何もないですわ!結婚してくださいまし!タイダ様)作戦です!」
「立案者はお前か!?大臣!?」
「ははは、なんのことでしょう?タイダ様?」
威厳とは掛け算で表すのかと思わんばかりの言動。
ノリが完全にグラビティ-ゼロになったこの場所でタイダは何度目かのため息をついた。
そして、帰り際に先ほど思い出した異世界間の交流を慎重に行く旨を王様に伝えると王様は少し思案しながら深く頷いた。
「フム、そうしたらあれもタイダに任せてみるか…」
王様はタイダが居なくなった謁見広間で一人考え込みながら呟いたのだった。
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