Q4 仕事で大切だと思うこと・こだわりは?
「このシュークリームってやつ、ヤバすぎです!」
「地元の牛乳を使ったこだわりの一品だからな」
先ほどとほとんど変わらない冒頭、しかしここがラーメン屋と違う点が一箇所だけある。
そう、カップの有無だ。
地元民のアベック…ならぬカップル御用達のこの店は洋菓子屋に併設されたカフェで至高のスイーツタイムを過ごす事のできる定番中の定番のデートスポットなのだ。
ラーメン屋を抜けた二人はウィンドウショッピングなどというちゃらちゃらしたデートらしきものを楽しんだ後、とっておきといわんばかりにこの店のドアを叩いた。
だが先ほども空気を読む気のまったくなかった二人の事、何故かここでは一切甘い空気などなくタイダはいかにもなビジネスライクの話を始めるのであった。
「それで、今後のスケジュールなんだが…」
「分かっていますよ、タイダ。装備を取りに部屋へ戻った後に上へ報告って奴ですね?」
「そうだ、ホウ・レン・ソウは大事だからな」
「なんですかそれ?」
「報告、連絡、相談だよこっちの世界ではこれらを略してほうてんそうって言うんだ。向こうでも徹底させていただろ?」
そう、タイダが魔王討伐で、徹底させたもの。それは伝達システムの徹底であった。
今では当たり前にあるものであるそれを異世界、「ガーデン」で普及させる事によって魔王軍との戦闘にも貢献し、魔王討伐の際の補給を磐石にしたのが王国を勝利に導いた
「そういえばタイダには相談を余りされなかったような…」
「そんなの、どこかにでも相談なんかした日には貴族街道まっしぐらだったろうが…とにかくツユ、王様に報告よろしくな」
「まぁ…不服ですが承知いたしましたよーそういえば王女には…」
「ああ、どうせ、かまって…カムエッテ王女の事だお前とコイバナしたくて王様の横をスタンバってるだろうよ」
「かまってちゃんの事をカムエッテ王女と呼ぶのやめてくれます?」
「おい、逆だバカ野郎」
そんな事は端に置いといて、ツユにジェスチャーされるほど王族なのにぞんざいに扱われるカムエッテ王女に涙を…
…いや、あの振り回し振りなら納得だとタイダは思いながらツユの次の話題に耳を傾ける。
「そういえば少し話を戻すんですがタイダ、就活とは?」
「ああ、要は「ガーデン」で言うところの商人とか貴族に雇ってもらうよう自分を売り込む事だな」
「そしたらタイダは魔法も剣術も戦術指揮もいけるんで楽勝ですね!」
「ツユ、こっちの世界では魔法も剣術も戦術指揮も就活じゃ評価されないんだ…」
「え!?じゃぁ、タイダは何をアピールするんですか!?」
「とりあえず、異世界行っても何とか順応出来るコミュニケーション能力とかかなぁ…」
「このシュークリームみたいにふっわっふわですね」
「…まぁ、就活ってそんなもんよ」
「此方で仕事に着くのは大変そうですね…とりあえず私は報告に戻りますよ。」
こうして、初めての異世界体験を終えたツユは再びやって食う…やってくる事をタイダと約束し、自身の世界へと戻っていった。
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