その5 なんで人型なん?
巨大人型兵器の「文章媒体への最適化」については先ほどまでつらつらと書き連ねていたが、次にその外見・構造の描写の仕方についても述べていく必要があると思うので語っていきたい。
まず踏まえておくべき点。
巨大人型兵器は現代の技術では実用化できない。故に現代技術の延長線上でそのまま考えてもかなり非現実的であろう。前方投影面積が大きくて発見されやすく、被弾しやすい。構造が複雑。脆い。車両より積載量が小さい。接地圧が高すぎて地面に足がめり込む。
うん?んなこたぁ分かってる?無粋なこと言うな?
やかましい。私も無粋なのは分かってる。
だがそれを踏まえてでも言う必要はあるのだ。分かってる上でやってるならいいが分かってなくてやってると悲惨である。
ここで唐突だがジョン・ホールドマンの「終わりなき戦い」を例に取ってみよう。この作品では、作中でテクノロジーレベルが発達しすぎ、最後には宇宙服を着た兵士が棍棒と盾で戦うようになる。停滞フィールドという装置の仕業である。これが作動している周囲では一定以上の速度が無効化されるのだ。ビームもレーザーもミサイルも。結果低速の斧や棍棒で白兵戦をやらかすことになる。これの場合は宇宙服だが、「人型である」理由付けにそのままつながる。
また、何と戦うかも兵器の形態を決める重要な要素である。「マクロス」シリーズのバルキリーやデストロイドは人型だが、これは「巨人型異星人相手の白兵戦や施設の制圧に備えて」である。あれは敵の種族と同じ形なのだ。立派な理由であるし、後からそれを利用した様々な戦技が生まれたというのも面白い。
また、拡張身体としての「FSS」シリーズにおけるモーターヘッド(最近のリファインされた奴は読んでないのよ)もよい。亜光速近接戦闘できる超人の肉体の拡張であるから人型である必要があるわけだ。
このようにフィクションには様々な理由で作られた人型兵器や超技術がある。そして、それはそのままドラマでもあるのだ。せっかくドラマを作れるのに作らないのはもったいないではないか。だからあなたが作品を作るなら作風にあった理由を付けるべきであろう。
ちなみに私がこの手の理由付けするときは発想の転換を重視している。
とりあえずぱっと思い浮かぶ巨大人型兵器の欠点と、その欠点となりうる理由を列挙してみよう。
それをすべて「巨大人型兵器を実用化しなければならなかった要因」に転換してみよう。
すると巨大人型兵器が実用化されたのはまさしくそれらを兼ね備えていたからとなる。
もちろん、理屈抜きで押し通すという選択肢もありではあるわけだが。
では今日はこのくらいで。
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