告げたこと、告げられたこと

土日は東京ドームでライブだった。2日間、ドーム全体、5万人近いファンが熱気に包まれた。さすがは人気アイドルだ。その中でも、「ゆうにゃーん!」という声援と「相沢優奈」と書かれたタオルがどのメンバーよりも目立っていた。そして、優奈さんの歌とダンスも流石だった。




そして月曜日。この日は一日オフだった。ちなみに明日もオフ。この日は朝食後、食事の買い出しをした。そして昼食を済ませ、ひと足早く夕食の準備をしたあと、俺の家に行くことにした。


俺の家は優奈さんの家から電車で20分強、そしてタクシーで10分近くかかった。




俺は優奈さんに、「今誰かいる?」と言われた。時計を見てみると夕方の5時。俺は、「両親共働きだしなぁ・・・でも、姉ちゃんと妹はもう学校から帰ってきたんじゃないか」と言った。


俺は家のインターホンを鳴らす。すると妹の千歳ちとせの声がし、家に上がった。俺の家に入るのは1ヶ月半ぶりになるだろうか。


「初めまして、相沢優奈です。貴彦くんのことで話を聞きたいんです」


リビングに上がった優奈さんは千鶴ちづる姉ちゃんと千歳、2人にこう言った。そして、


「なんで優奈ちゃんが私の家に・・・」


と千鶴姉ちゃん(大4)は言う。そして千歳(中2)は、


「ゆゆゆ、優奈さん。兄とはいいい、いったいどんな関係でしたか?」


と緊張しながら言ってきた。そして優奈さんは、


「まぁ、ちょっとした知り合いです。でも、最近亡くなったと聞いて・・・」


と言い、千鶴姉ちゃんは、


「なんであの子が優奈ちゃんの知り合いだったのかはわからないけど、あなたも貴彦が亡くなったのショックなのね・・・」


と俺の生まれた時から最近までの写真が載せられたアルバムを見ながら言った。そして優奈さんは、


「はい・・・」


と小声で漏らした。数日前に知り合ったのによくもそんな嘘言えるな。


そして優奈さんは千鶴姉ちゃんに案内されて、俺の部屋に入った。部屋の中は俺がいた時のままだった。


「この部屋、あの子が戻ってくると思って、あのままにしているのよ・・・」


と千鶴姉ちゃんは言った。それに対し優奈さんは、


「・・・そうですね。そうした方が彼も喜ぶと思います」


と言った。いやいや。俺、あなたの中にいるから!




そんな感じで優奈さんは家を出た。家を出る時千歳は、


「優奈さーん、よかったらまた家に来てくださーい!」


と言った。




帰宅後、夕食を食べる。夕食時、優奈さんから、「明日は私の家行かない?」と言われた。まぁ、実際は一度行ってるんだけど。


夕食後は風呂の準備をし、そのまま入浴する。風呂では、「やっとあなたの顔がわかって安心したわ。裸を見られるのももう慣れたかも」と優奈さんが言ってきた。そして俺は、「俺も優奈さんの裸ならもう慣れた気がする」と言った。


そして入浴後、優奈さんは寝支度をしてベッドに入る。そして優奈さんは、「貴彦くん、おやすみ」と言った。俺も、「優奈さん、おやすみ」と言い、眠りについた。




そう、俺はこの日常がずっと続くものだと思っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る