ハーフ&ハーフ

昨日は優奈さんが身体を動かしていた。そのせいで俺は1日中暇だった。俺は優奈さんに今日の予定を色々伝えたが、身体が1つしかないと不便だな。そして、どうやらテレビの収録中に俺は眠ってしまったらしい。




「貴彦くん、起きてる?」


俺は優奈さんにそう言われ目が覚めた。


「ん?優奈さん、おはよ・・・」


俺はそう返した。目が覚めたらすでに朝食を作っているようだ。どうやら今日も優奈さんが身体を動かしているみたい。俺は出番がなさそうだな。優奈さんの作る料理と俺が作る料理は一見すると似てるけど、どことなく違う。優奈さんの方が手早く、かつ繊細に作っている。味は知らんが。そして料理が完成し、優奈さんは食事のタイミングに入る。そして優奈さんが冷やしうどんを口にした瞬間、俺はある違和感を感じた。


「ん!?」


俺はふと声を出した。すると優奈さんは、


「貴彦くん、どうかしたの?」


と問いかけてきたのだ。俺は優奈さんが食べた物に味覚を感じた。昨日は俺が何か言っても優奈さん以外には何も聞こえなかったし、優奈さんが食べても何とも感じなかった。


「優奈さん、食べ終わったら話がある」


俺は優奈さんにそう言った。




数十分後、優奈さんは朝食を食べ終えた。俺は最後まで優奈さんの朝食に味覚を感じたが、優奈さんの作る料理と俺が作る料理ではやはり味が違うな。そして俺は優奈さんにこう言った。


「優奈さん、昨日となんか違わないか?」


すると優奈さんは、


「ううん、私は何も変わってないけど・・・」


と言った。そして俺は、


「優奈さん、俺ちょっと身体を動かしてみる」


と言い、身体を動かす。すると優奈さんは、


「!?ちょっと待って!」


と言った。やはりこれは・・・


「どうやら俺も優奈さんの身体が動かすことができるみたいだ・・・」


俺はそう優奈さんにこう言った。すると、


「どういうこと?」


と優奈さんは俺にこう言った。そして、


「優奈さんも身体を動かしてみて!」


俺は優奈さんにこう言う。そして優奈さんは身体を動かす。


「2人で身体を共有しているみたいだな・・・味覚や感覚も共有しているみたい」


俺はそう口を漏らした。優奈さんも、


「そうみたいね・・・」


と言った。




その後洗濯を済ませ、仕事に向かった。意外と行動の違いで揉めることはないんだな。俺と優奈さんは性格や嗜好が似てると思ってたけど。


俺と優奈さんは仕事に向かう前、ある取り決めをした。それはスケジュールの調整・管理は俺が担当し、普段の行動は優奈さんの意向を優先することだった。要は俺が優奈さんの専属マネージャーになるわけだ。




仕事が終わり、夕方には自宅に戻った。仕事の内容は漫画雑誌のグラビア撮影だけだったので意外と短かった。しかし何度も着替えるため、それが意外としんどい。まだ優奈さんの身体は意識するなぁ・・・


帰宅すると、夕食の準備に取りかかる。今日の夕食はご飯と冷たいコーンスープ、あと冷やししゃぶしゃぶと野菜サラダもあった。そして缶ビール。俺は優奈さんに「なんで缶ビールがあるんだよ」と言ったが、優奈さんは「もう20歳なんだからいいでしょ」と言った。




事件は夕食後に終わった。夕食中、そして夕食後に2度ビールを飲む。そして朝洗濯した衣服をベランダから取り出そうとした時・・・


「うわっ!」


ベランダから落ちそうになり、俺は一瞬声をあげ、手すりに捕まった。そしてなんとか衣服は取り出したが、優奈さんは酔っ払ったのか、俺の言うことに反応しない。こっちは平気だぞ。


「優奈さん、聞いてるか!」


俺は優奈さんに少し怒鳴るように言った。すると優奈さんは、


「ん~たかひこ、なにかいったぁ~」


と言ってきた。この人ビール一杯で酔うほど酒弱いんか。


とりあえず俺は顔が少し赤くなったため、ベッドに寝転がった。しかし優奈さんは「暑い」と言い出し、服を脱ぎたがる。


・・・そして結局下着姿になった。そしてしばらくすると、優奈さんは酔いを覚ました。


「あれ?なんで私下着姿になってるの?ちょっと貴彦くん、私の知らない間になんかしたの!」


優奈さんは酔いから覚めた途端、俺にこう言った。俺は、


「俺は知らん!お前がビール一杯で酔っぱらったからだろ!お前酒めっちゃ弱いみたいだから飲むな!」


と言った。すると優奈さんは、


「あれ?そうだっけ。だったらゴメン・・・でも貴彦くんもちょっと酔ってるんじゃない?でも、その貴彦くんも可愛いけどね~」


と言い出した。優奈さんにそんなこと言われると俺・・・




結局その後服を着直し、シャワーを浴びた。そして歯磨きを済ませ、寝支度に入る。その後、寝る前に俺は優奈さんにこう言った。


「今度休みの時、俺と優奈さんの実家に行きましょう」


俺がそう言うと、優奈さんは、


「・・・うん、そうね。私も貴彦くんのこともっと知りたい」


と言った。とりあえず明日は東京ドームでライブのリハーサルがある。そして土日はライブが2日間にわたって行われる。オフはライブが終わった次の月曜と火曜だ。その時に2人の実家に行こう。




俺はこうして眠りの底に沈んだ。

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