二心同体!?

そして翌朝、私はふと目が覚めた。時計を見てみると朝の4時。陽もまだ暗い。どうやら今日は身体が私の言うことを利いてくれるようだ。


「貴彦くん、起きてる?」


私は貴彦くんにそう言った。しかし反応がない。まだ眠っているようだ。そういうことで私は3ヶ月ぶりに家の中を探った。特に何も変化がなくて安心した。少し物が増えた気がするけど。そして着替えの後、朝陽が昇ったタイミングで朝食の準備をする。食材は貴彦くんが用意したと思う品を使う。久しぶりに作る料理。夏場の朝食はさっぱりしたものを食べたい。ということで私は冷やしパスタと野菜サラダ、そしてフルーツと特製ドリンクを作った。


そして朝食を食べ終え、まだ時間があったため、シャワーを浴びる。そして、


「優奈さん起きてますか・・・って、なんで全裸!?」


どうやら貴彦くんが目を覚ましたようだ。私は勢いでシャワーを止めた。


「貴彦くんやっと起きたの?でも、どうやら今日は私が身体を動かす日みたいよ」


私は貴彦くんにこう言った。そしてシャワーを済ませ風呂から出る。すると貴彦くんが私にこう言った。


「失礼な話になるかもしれないけど、俺は優奈さんのシャワー中、身体を動かそうとした。でも、身体が言うことを利いてくれない。とりあえず、一度病院に行かないといけないみたいだ・・・」


やっぱりね。昨日、私は何度も身体を動かそうとした。けど、最後まで身体が言うことを利いてくれなかった。そして私は貴彦くんにこう言った。


「で、私の今日の予定は?」


すると貴彦くんは、


「今日は夕方まで暇。4時から10時までテレビ番組の収録があるけど」


と言う。そして私は時計を見た。時刻はまだ朝の8時前だ。


「ありがとう。今日は時間があって助かったわ」


私は貴彦くんにそう言った。




私は外出着に着替え、貴彦くんの指示に従い病院に向かった。


「真鍋先生はいらっしゃいますか?」


私は病院の受付でこう言った。すると受付のお姉さんは、


「脳外科の真鍋先生でしたら、2階の医局にいます」


と言ったので、私は2階に向かった。




私は受付の人の案内通りに医局へ入る。そして、


「真鍋先生はいらっしゃいますか?」


と私は言った。すると、


「真鍋?なら私ですが・・・って浅井くんかね!?」


と言った。どうやらこの人が真鍋先生だ。


「・・・浅井くん、って言いましたよね?私は相沢優奈なんですけど」


私は真鍋先生にそう言い、昨日貴彦くんが言った事情と昨日今日あった現象を説明した。




「なるほど・・・優奈ちゃんの中身が戻ってきたのか。そして浅井くんの中身は引っ込んだわけね」


真鍋先生はこう言った。そして、


「優奈ちゃん、君に話したいことがある。時間はあるかね?」


と私に言った。そして私は、


「今日は夕方から仕事なんで、多分大丈夫だと思いますけど・・・」


と言った。時計を見たらまだ朝の9時半だ。そして真鍋先生は、


「なら大丈夫だな。午前中には話は終わる」


と言い、私にあることを告げた。


「優奈ちゃん、君は病気で脳死状態になった。しかし、君の死が惜しいと思った私は脳を移植することで君が復活することに賭けた。そして事故で死んだ浅井くんの脳を君に移植した。その移植手術は奇跡的に成功した。しかし、優奈ちゃんの人格そのものが復活するとは・・・」




そう、私は一度死んだんだ・・・でも今の私がこう元気にいるってことは・・・




「まぁ、一言で言えばこうだ。これからは2人で身体を共有することになる。どっちが身体を動かすことができるかはその日次第。もしかしたら、2人とも身体を動かすことができるかもしれない。俺から言えることは、2人ともお幸せにな。幸い身体は君1人だけだからスキャンダルとも無縁だろう」


真鍋先生はさらにこう言った。貴彦くんも聞いているのだろうか。




そして真鍋先生の話は終わり、自宅に戻った。そしてこれから昼食を作ろうと思った時、貴彦くんは私にこう話をかけた。


「人の話を黙って聞くのも大変だな。しかし、真鍋先生もお幸せにか。俺、優奈さんみたいな女性と一緒になれて嬉しいよ」


私は貴彦くんの話を聞いて顔を赤らめた。そして私は、


「貴彦くんもデリカシー考えてよ!どうして顔も知らないような男と一緒になるのよ・・・」


と言った。


そして私は黙々と昼食を作る。貴彦くんは何か小言を言っていたが、私はその話を聞かなかった。


昼食を食べ終えた後、私はリビングと部屋の清掃を済ませた。貴彦くんが定期的に清掃をしてくれていたのか、綺麗であまり手間をかけなかったけど。清掃中、私は貴彦くんに「貴彦くん、やっぱ私の部屋を掃除していたの?」と話しかけた。貴彦くんは、「ああ、こまめに掃除していたよ」と言った。貴彦くんも部屋のことはちゃんと気にしていたようだ。




私は清掃を終え、収録のためテレビ局に向かった。


家からテレビ局への移動はタクシーを使った。移動中、私は貴彦くんに「私、いつか貴彦くんの顔を見てみたいなぁ・・・」と小声を漏らした。すると貴彦くんは、「ん、俺の顔か?あんまり期待しない方がいいと思うぞ」と言った。




そしてテレビ局での収録を終え、私は自宅に戻った。久しぶりの収録。やっぱり私はテレビに映ることが好きなんだなと思った。


私はふと時計を見る。夜の10時半か。今日は朝早かったしもう眠い。結局シャワーを浴びて寝ることにした。貴彦くんは収録中、何か小言をぶつぶつ言っていた気もするが、私はテレビの収録に集中していてそれどころではなかったし、どうやらもう眠ってしまったようだ。




そして翌朝、私はある異変を感じた。

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