邂逅
昼食後、俺は暇潰しのため少し出かけた。家から出て数分歩くと公園があった。
そして俺は公園で少しぼーっとしていると、制服を着た女子高生に声をかけられた。
「あなた、相沢優奈さんですよね?体調大丈夫なんですか?これから暑くなるしもう無理しちゃダメですよ」
「そうですが・・・って、お前・・・」
顔を見ると、
「?」
「あ、まぁ一応退院したからね・・・今は家に戻ったの。その高校の制服は赤坂学園だよね?」
俺は優奈さんになりきりそう答えた。そして2人はベンチに座り、白石は俺にこう話をかけた。
「そうです。よくわかりましたね」
白石はそう言い、さらに話を続ける。
「2週間前になりますかね・・・私の好きな人が事故で亡くなったんです。私高2で彼とは去年の秋に知り合って、今年同じクラスになったんです。で、私は始業式で彼に告白したんですけど、結局交際は断られました。でも彼は今好きな人はいないと言って、それからはよく彼に話をかけたんです。彼も私の話によく反応して、でも結局は友達以上恋人未満って感じでした。だから彼をデートに誘おうとした矢先に・・・」
優奈さんもとい俺は白石の話を聞く。白石、俺をデートに誘おうとしていたのか。
白石とはかれこれ半年以上の付き合いだった。きっかけは高1の秋の文化祭。文化祭でお互いのクラスが同じ出し物をすることになった。出し物の内容は演劇。とはいえオリジナルの作品だったけど。そして俺と白石はメインのカップル役に選ばれた。
とはいえ、文化祭が終わると白石と話す機会はほとんどなくなった。俺も白石も普段は友達といることが多かったから、顔を合わせたらとりあえず挨拶するくらいだった。
高2になって同じクラスになった。始業式当日に白石に告白された。しかし俺は交際を断った。俺には白石のような可愛い女の子と付き合うには正直釣り合わないと思ったからだ。しかしその後、毎日のように白石に話しかけられた。正直ウザいと思ったが、一応話には付き合った。そして告白から2ヶ月近くが経ち、そろそろ白石と付き合おうかと思った矢先に・・・
「ところであなた、まさか自殺しようと思ってないよね?」
俺は白石に話をかける。そして白石は、
「自殺なんて考えてないですよ!ちゃんと学校にも通ってますし。でも、彼がもうこの世にいないという現実はまだ受け入れられません。頭ではわかっていることですが、感情がその現実を受け止めることができないんです」
と答えた。そして俺は、
「やっぱり大好きな人が急に亡くなると辛いよね・・・心にポッカリ穴が開くというか。私はその経験がないけど、あなたの気持ちはよくわかったわ。彼も天国であなたのことを見ていると思うから・・・」
と言った。まぁ俺は今、優奈さんの中身になってお前の隣にいるんだけどな。そして俺は、
「あなた名前まだ聞いてなかったわね。よかったら名前教えて」
と言った。お前の名前くらい知ってるんだけどな。そして白石は、
「白石梨沙です」
と答えた。そして俺は、
「梨沙ちゃんね。私、あなたと友達になりたいの。よかったらLINEでも交換してください」
と白石に言った。せめてこれは白石への罪滅ぼしだ。そして白石は、
「まさかゆうにゃんからLINEを教えてほしいと言われるなんて・・・大歓迎です!」
と言い、お互いLINEを交換した。そして、
「私と会ったこと、そしてLINEを交換したということはとりあえず秘密にしてね。私もメンバーにはそんなこと言わないと思うし・・・まぁ何か用事があったら私にLINE入れて。私もあなたに用事があったらLINEを入れるから」
と俺は言った。そして白石と別れ、自宅に戻った。
自宅に戻った俺はすぐに夕食の準備をする。夕食の準備を済ませると、気になるテレビの特番があるためそれを見ることにした。夕食中になるが仕方ない。そして夕食を済ませ、テレビを見終わった俺はさすがに疲れたのか、部屋のベッドに寝転ぶ。そしていつしか寝てしまったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます