第195話 女だからか?

「桜雪ちゃん電池変えて」

 彼女さん体温計を持ってくる。

 うん…そういえば…

 いつぞや髪を切りに行ったとき、車の営業が美容室に顔を出した。

「桜雪さん、いつもお世話になってます」

「アレ? どうしたの?」

 髪を染めている最中に美容室に入ってきて挨拶された。

「外に車が停めてあったので、ココの美容師さんにもお世話になってまして」

「そうなの」

「ありがとう直った?」

「はい電池が切れただけでした」

「そうなんだ~」

「えっ? 車の?」

「そうだよ、いきなりロックが解除できなくなって呼んだの」

 美容師が笑いながらこたえた。

「それだけ? そんなことまでやらされてるの?」

「いえいえ、アフターサービスみたいなものですから」

 営業は笑っていたが…

「それじゃ桜雪さん失礼します」

「うん…僕が言うのもなんだけど…ご苦労様」

 彼が帰った後、美容師に聞いてみた。

「電池交換できないの?」

「できないよ、キーの開け方も知らない、いきなりだもんビックリして呼んだの」

「おいおい…ココをさぁドライバーで開けるとボタン電池が入ってるんだよ、それをね…」

「いいの、やれないの」


 彼女さんといい、美容師といい…女の子は電池交換しないのか?

 いや違うな…

「美人は得だな…」

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