第191話 観ないなら借りなきゃいい

「DVD借りる」

 買い物袋で溢れる助手席から『彼女さん』である。

「凄い買い物の量だね…」

「そう? こんなもんだよ、どこでも袋、袋って店員さんも大変だよね」

(キミみたいのがいるからだよ…1回の買い物で、こんなに買うようなキミみたいのがいるから…)


「三浦春馬、死んだね~」

「自殺みたいだね」

 レンタルコーナーは彼が出演した作品はレンタル中が多い。

「1巻が無いじゃんよ‼」

(まぁそうだろうな…そういう奴がいっぱいいるんだよ…死んだら観たくなるような奴がさ)

 正直、まったく興味がない。

「すいませ~ん、コレ、レンタル中ですか?」

『彼女さん』店員さんにアレコレ聞いている。

(基本、しつこいんだよな…)

 正直、興味が無いので、やりとりがイラつく…。

 レンタル中なのだと納得して、他の作品を借りることにしたようだ。


 その作品…まぁクソつまらない。

 ラリーレーサーの話なのだが…本を読んでいる僕には車の音が公害レベルでうるさい。

 チラチラ観ているだけだが…ストーリーどころか、セリフまで先読みできちゃうレベルのチープさだ。

「なんか豪華な出演者だよね~」

 三浦春馬…端役っぽいが…。

 主人公の兄が不倫で叩かれた俳優さんである。

「不倫って何でいけないの?」

(人妻と付き合っていた僕に聞くかね?)

「ワタシ、不倫したっていいと思うよ‼ みんなで叩いてさ‼」

「あのね…俳優さんとかはイメージが大事なんじゃない、企業広告に採用してるのに不倫とかイメージ悪くなるでしょ、一般人と被害の範囲が桁違いなんだよ」

 持論を展開して憤慨している『彼女さん』

(この感じ…この独特のイラつき…久しぶりなような…)


 ハッと気づいた。

「あのさ…『彼女さん』…『通』に似てるね」

「えっ?」


 なんだか解らんものを大量に買う。

 単純な映画、車系映画が好き。

 基本、自分正しい説。


 なんだか…『通』といるみたいだ。

「あのさ~、コレ兄弟だったの?」

 冒頭2分で解るよね?


 そして…語るだけで、まったく内容を理解してない。

(似てるんだわ…やっぱり)

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