第165話 差別と区別

『ニマッとしたら…』の方で書かせていただいた私がバイトしている清掃業での話…「女性の職場」の続きである。

 新人さんのすね毛が凄いという話なのだが…それを読んでいただけると繋がります。


 この日は新人さんお休みだった。

「あの人、爪も無いのよ…もう無いの、病気なんだって…桜雪さん気づいた?」

「いえ…爪までは…初日のすね毛のほうが凄くて…」

「やっぱり‼ 黒い毛がモジャモジャと生えてたよね、アタシの見間違えじゃ無かったんだー」

「見間違えだと思ったんですか?」

「だって、あんな、すね毛生える?」

「そうなんですよね、巻いた太い毛がすねに沿って付けたみたいに生えてましたよね…僕も2度見しましたよ」

「Sちゃんもすね毛は処理してるんだって、ソレ聞いただけでもビックリしたのに、あんな綺麗な足してるのにね」

「女性も剃るには剃るでしょ?」

「アタシ? 剃らないよ、毛、生えないもん、腋毛とかは剃るわよ、足の毛なんて女は生えないわよ」

「いや…生えるよ、僕、今まで付き合ってきた人、みんな処理してたよ」

「そうなの?」

「まぁ個人差ありますからね」

「それよりね、あの人、旦那さんも皮膚科通ってるんだって、本人も爪無いし…病気だってね~」

「あのさ…ソレって水虫…はくせい菌ってやつ」

「水虫? 指だよ」

「菌だからさ…どこにもでも出るよ…爪水虫…足から手に広がったんじゃないの?」

「……あの人さ…唇にも赤い出来物あるのよ…関係あるの?」

「ソレは…ヘルペスじゃない?」

「旦那…皮膚科通ってるんでしょ? 夫婦で水虫とヘルペス、ピンポン感染させてるんじゃない?」

「ヘルペスってうつるの?」

「ウイルスだしね…うつるよね…飛沫、粘膜…」

「お弁当食べるの…凄く遅いのよ」

「痛いんじゃない? 炎症で…」

「おかず…全部、レンジでチンだって…」

「……それは…関係ないでしょ」


「アレね…水仕事とか大丈夫なのかしら?」

「それ以前に…心配しなきゃならんのは…コッチのほうへうつさないでほしいってことですよね」

「うつったら嫌よね~」


 大丈夫だろうか…清掃業として大丈夫なんだろうか?

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