第164話 年寄りは困る

 我が家は仲が悪い。


「ちょっと桜雪、相談があるんだけど…」

 大概、金の話である。

 父親がバカで、母親は見栄っ張りである。


「メールの返信したいんだけど」

「何を今さら…」

「この人から、何通もメールが入ってくるの、アドレス間違えてますって送っていいものかどうか?」

「……それ…迷惑メールじゃないの?」

「知らない人なんだけど、誰かにみたいだから、違いますよって知らせないと、?」

「困らないんだよ、返信してくる人を待っているんだから…拒否設定しても違うアドレスで送って来るから、無視していいから」

「そうなの?」

「詐欺とかに繋がるから、送り返さないで」

「そう…困ってるわけじゃないのね」


 こんなメール詐欺、誰が引っかかるんだと思っていたが…身近にいたよ。

 困っているんじゃないか?という発想は無かった。


 詐欺とは他人の善意に付け入るものなのだと知った。

 ホントに、この夫婦は何度、人に騙されても学習しないのである。


 知らない人が使づいてきたら詐欺師だと思っていただきたい。


 というか…善意に付け込む詐欺は本当に悪質だと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る