第163話 具は無いんだ

「あのね、コレ飲んで、最後の一口」

 飲みかけのエナジードリンクを僕に差し出す彼女さん。

「うん…別にいいんだけど…」

 飲んでみると…

(一口分すらねぇ…)

 なぜ、これだけの量を残してギブアップしたのか?

 そういえば思い出した…

 その昔、舐めたキャンディ、最後の一噛みレベルになると、僕の口に突っ込んできた彼女さん。

「どうせくれるなら、新しいのがいいんだけど…舐め終わりを口に突っ込んでくるのはなぜ?」

 僕の問いかけに彼女さん

「最後まで舐めると、カロリーを全部摂取したような気になるから…」

 不思議な理論を唱えたことを…

(コレもそういうことなんだろうか…)

「味噌汁持ってきた…飲んで」

(エアナジードリンクの後で?)

「体にいいんだよ」

(だから…エナジードリンクの後で?)


 とりあえず飲んでみた。

「うん…具がない…ね」

「うん、食べた」

「えっ…具だけ食べたんだ…」

「うん」

(ワカメとか入ってたんだろうな…海藻好きだから…具だけ食べて汁はいらなかったんだろうな…)


「なんかさ…アソコが色になってきた気がするよ…」

「トドメ色?」

「そう…紫っていうか…今日も婦人科行ってきたんだよ…」

「ドドメ色でしょ…」

「ドドメ? トドメ色じゃないの?」

(何にとどめ刺す気でいるの?)

「トドメだと思ってたよ…ホントにドドメ?」


 まぁ…歯医者も婦人科もずっと通っているわけだが…早く健康になるといいね。

 他人のこと言える僕じゃないけど…健康診断G評価 胃が壊滅的に悪い

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