第159話 賢くなっていた?

「チーズにハマってた時があってさ、チーズ余ってんだよ~」

 なんだか逢った早々に、鞄から冷凍焼きおにぎりと、アルミに包まれたチーズを取り出す。

 焼きおにぎりにチーズをふんだんに掛けている。

(多いな~しつこそうな味になるんだろうな~)

 レンジに入れてチンする。

 彼女さんである。


「はい、食べて」

「あっ…僕が食べるんだ?」

「……そうだよ」

 当たり前だろといった顔だ。

(なんか妙にチンが早かったような…)

 チーズは溶けている、焼きおにぎりが…

 割り箸で真ん中を刺してみる。

(うん…硬い)

「まだダメだった~」

「うん…もう一回温め直すよ」

「うん」

「僕…焼きおにぎり好きじゃないんだよ」

「アタシも、あんまり好きじゃない、何が美味しんだろうね?」

(じゃあ…なんで持ってくるんだ…)

 なんだろう…もう、チーズが焦げてカリカリしてきたので生っぽい焼きおにぎりを食べた。

(チーズの味しかしねぇ…出来損なったリゾットみたい)


 唐突に…

「ソイソースって知ってる?」

「醤油…だけど…」

「やっぱ、知ってんだ」

「うん…大豆じゃんソイって」

「なんだってね~、知らなくてさ~、知ったとき爆笑した」

(なぜに爆笑?)

「あのさ~20世紀ってさ~1901年から2000年までだってさ、知ってた?」

「うん…?」

「だから、なんで1900年から1999年じゃないんだろうってさ~」

「…元年が1だから…0からカウントすれば9なんだけど。1から数えるから100年は1~100…キリスト生誕から数えるからね、今は2000年代で21世紀…」

「キリスト?」

「世紀はキリストの産まれた年から数えるからね…正確には誕生日なんか誰も知らないんだけど…」

「世紀ってキリストのせいなの?」

 驚いた顔で僕を見る。

「キリストのせい?」

 なんだ? キリストのせいってなんだ? なんか恨みでも?

「そうだったんだ~」

 なんか納得したんだか…してないんだか…


 しばらく逢わない間に、なんか賢くなっていた?


 彼女と別れて家に帰って…下痢した。

 彼女と逢うと、僕は腹を壊すようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る