第158話 扇風機

 客室が寒い…

 これから客が入るというのに、この冷蔵庫のような寒さ。

 サービス号としていかがなものか?

 今日は、女子高生とコンビで客室清掃だった。

「寒いですね」

「冷房とかになってない?」

「なってないですよ、というか、このホテル冷房と暖房切り替えられないんですよ」

 そうだった…ホテル全体で二者択一なのだ。

「そうだったね…不憫な事だ」

「だから今は暖房です」

「まさかの暖房で、この寒さ?」

「ですね」


 昼休み、休憩室へ戻る。

「此処も寒いね…」

「隙間風がね…」

 別のグループが戻ってきた。

「寒い部屋なかった?」

「ありましたね…冷蔵庫みたいな部屋がありますね」

「各フロア、2~3部屋は暖房効かないよね」


「あっ、桜雪さん、扇風機回しますか?」

「……なぜ?」

「……さぁ?」

「寒いって話してたよね」

「してましたね」

「で? なぜに扇風機を?」

「いやぁ、なんか扇風機が桜雪さんの方、向いてたから」


 なるほど!! ってならねぇよ…

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