第160話 ストロー

 彼女さんがドリンクを持ってきた。

「コレなに?」

「カルピスと…カルピスと、メロンソーダとカルピスソーダ」

(カルピス率高いな…)

「氷も入れてきた~」

「そう…」

 僕は氷が苦手だ。

「コレも貰ってきた~」

 ウェルカムドリンクのオロ〇ミンC…ガチャガチャいうくらい貰ってきたようだ。

「いっぱい持った来たね…」

「パクッてきた~」

 多少の罪悪感はあるんだ…よかった。


「コレ飲んで」

「何コレ?」

「たぶん、カルピス」

(確率論だな…)

 ん?

 なんかさ…コレ…カルピス?

 飲んだ感じ、甘くない…なんならグレープフルーツのスポーツドリンクみたいな感じだ。

「カルピス」

「甘くないんだけど…」

「そう? 氷入れ過ぎた?」

「うん…あのさ。コレ飲みにくくない?」

「なんで?」

「入って来ない…」

「なにが?」

「カルピス…というかドリンクが、ストローおかしくない?」

「そんなことないよ~ ……うん…なんか飲みにくいね」

「でしょ」

「詰まってるのかな~」

「いや…ストロー咥えてみ」

「うん」

 引き抜いたストローを彼女が咥え、僕が反対側を指で抑える。

「吸って」

 スイーッ……

「吸えるじゃん」

 当然だろうといった顔の彼女さん。

「うん…反対側塞いでるのに吸えちゃダメじゃん」

「はっ? そうだ!! 頭いいね」


 吸えないストローより、それを当然だと疑問を抱かない彼女に驚いた。

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