第149話 それは流行らないだろ…
半年ぶりに『彼女』に逢った。
たまたま和三盆のキャラメルを貰ったので、『彼女』に食べてもらおうと思った。
ただ逢いたいだけの口実なのかもしれない。
相変わらずの鼻にかかった声が、懐かしい。
コンビニで、やたらと買い込む、車の中で溢しながら食べる。
変わらない。
タバコも止めれないようだ。
事前に予想していたので、車を洗車に出した際に車内は後日にしておいた。
どうせ溢す。
タバコも吸うだろうから、オゾン脱臭器も買った。
相変わらず細い身体、思わず抱きしめたくなる…
それはしないと、事前に約束したのだ。
「なんか懐かしいね」
彼女が笑う。
(嫌いになれれば…どれほど楽か…)
コロコロと変わる会話も変わってない。
「地元は祭りだよ」
「うん、今日はヒマかな?」
「どうだろうね、天気が崩れそうだから、多少は混むんじゃない」
「そうかな~」
「あぁ、祭りに行った人から聞いたけど、今年はタピオカの屋台が目立って多いそうだよ」
「あぁ…アレ…なんで人気なんだろうね?」
「さぁ? 見た目気持ち悪いし、僕は飲まないけどね」
「ね~カエルの卵だよね」
「見た目がね、気持ち悪いね」
「……見た目?」
「うん目玉に見えるね」
「あ~解る」
「ゼラチンかと思ったら、芋なんだって」
「芋…なの?」
「うん、そうみたい芋の一種なんじゃないの」
「カエルの卵じゃないんだ…」
「……えっ? カエルの卵だと思ってたの?」
「うん…だから気持ち悪いと思ってたよね…」
「うん…カエルの卵だとしたら…あんなに周期的にブームにならないんじゃないかな…ゲテモノ扱いだろうし」
「だよね…不思議だったんだよね…」
相変わらずだった…。
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