第136話 イルミネーションとか無いよ

「初めて見たんです、道路から水が出てるの」

「そうなんだ…」

 関東圏では消雪道路というものが無いらしい。

 知らなかった…全国的に設備されているものだと思っていた雪国育ち。

「スマホに動画撮ったんですよ…ウフフ」

 関東圏に住む、知り合いの女の子、珍しいらしく車の助手席からジーッと消雪道路を見ている。

 飽きないようだ。

「綺麗だろうな…早く夜にならないかな」

「何が?」

「ん?あの噴水、イルミネーションでライトアップされるんでしょ、クリスマスだもん、12月だけ?」

「噴水…じゃないよ…イルミネーションとか無いから…アレ、雪を消す水…」

「……マジ?」

「マジ…」

「なんだか、ガッカリだよ…」

「光ると思ったんだ?」

「綺麗だと思うよ…光ったらさ」

「うん…運転しにくいだろうね…光ったらさ」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る